「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ 結成趣意書」 2007年2月8日

  「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」設立呼びかけ人
                         
NHK視聴者、市民の皆様

私たちは次のような目的で「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」(略称「視聴者コミュニティ」)を発足させました。

 (1) 政府・総務省によるNHK受信料支払い義務化に反対すること。
 (2) 公共放送における視聴者の権利拡大と、政治権力からの自立を求めること。
 (3) NHKがより優れた番組を提供するよう監視・激励すること。

 この会は、ちょうど2年前から活動してきた「NHK受信料支払い停止運動の会」がさる1月29日のNHK裁判控訴審判決を区切りとして本日解散するのを受けて、同会の後身として、同時(同日)に発足したものです。

 NHKは昨年3月31日に発表した「新放送ガイドライン」に、予算・事業計画の国会承認を得るにあたっても、会長以下全役職員が放送の自主自律を堅持することが公共放送の生命線であると明記しました。しかし、その後も、NHKが政治家の注文どおりの報復人事を実行したり、総務大臣の放送命令を何の抵抗もなく受け入れる現実をみれば、政治から自立した公共放送には程遠い姿といわざるを得ません。

また、上記のNHK裁判控訴審判決で、編集権を放棄してまで政治家の意思を忖度して番組を改編したと断罪されたのを省みず、即日上告するというNHKの愚行は政治におもねる体質の根深さを露呈したものといえます。

 私たちは、政治に弱いNHKの体質を断罪した今回の東京高裁判決を礎にして、NHKが権力を監視する公共放送に脱皮するよう促す視聴者運動の担い手として奮闘していく決意です。

 とはいえ、NHKをめぐる情勢は現在、いわゆる3極構造の様相を呈しています。NHKを挟んで政府・総務省と、NHKを公共放送として再生させようとする私たち視聴者の運動が対峙している状況です。そして、その当面の中心的な争点は総務省が国会上程を企図している「受信料支払い義務制」です。これは視聴者のNHK批判を封じ、受信料を準税金として国家権力を背景に「徴収」しようというものです。私たちは、受信料の値下げと抱き合わせで義務化法案が上程されようとしていることに惑わされず、視聴者の権利を置き去りにして、義務のみを強化し、罰則化に向かうことが必至の義務化に反対する全国的な運動を展開する決意です。

 私たちの会は次のことをめざしています。

1.NHKを視聴者主権の公共放送に改革するために、視聴者・市民に情報発信・意見交流の場を確保しつつ、運動体としても活動すること。
2.インターネット中心の情報発信・情報交流を核に、会報(ニューズレター)を発行すること。

当会の目標を実現するために次のような活動を実施します。

.ホームページを通じて情報発信し、視聴者の討論・情報交換の場を提供する。
.会報(ニューズレター)を隔月刊行し、会員及びNHK理事、経営委員、メディア関連団体・関係個人等に送信・送付する。
.会報には、NHKに関係する論説、情報を提供し、番組ウオッチコーナー、投稿の場を設け、広く意見を掲載する。
.NHK及び経営委員会に対し、質問・意見送付や情報公開請求を行う。
.放送番組への意見投稿などを機動的に行い、NHKの経営・財務内容、番組編集の監視・視聴者参加を実践する。
.専用電話・メール・FAXにより、視聴者からの相談窓口活動を行う。
.視聴者から寄せられた意見・声を整理してNHKに改善を申し入れる「視聴者の声代弁」活動を行う。  
.単独であるいは他の友好団体と共催で、不定期にシンポジウム等を開催する。
.NHK、NHK経営委員会、政党・政治家、行政等への要請行動を行う。 

「NHK受信料支払い停止運動の会」の呼びかけに応えて、受信料の支払いを再開される方々、なお支払い停止を続ける方々、従来から受信料を支払っておられる方々―、それぞれの思いの違いを保留して、日本の公共放送を時の権力者の手から視聴者・市民の手に取り戻すことを目指す私たちの運動に参加くださることを心より訴えます。
                                                                                              以上

呼びかけ人 (2007年2月8日現在)
 今場啓史(日本航空機長)
 倉本頼一(滋賀大学教員)
 近藤義臣(群馬大学教員)
◎醍醐 聰(東京大学教員)
○宮沢さかえ(フリ-ライタ-)
◎湯山哲守(京都大学教員)
○山中 章(三重大学教員)
○渡辺 力(元日本航空機長) 
◎共同代表  ○運営委員
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 会則 

Ⅰ.会の名称
 本会の名称を「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」とする。

Ⅱ.会の目的
 本会は、NHKを政治その他いかなる外部の干渉からも自立した、視聴者主権の公共放送に改革することを目指す視聴者運動体として位置づける。

Ⅲ.主な活動
 本会はⅡの目的を達成するため、以下の活動を行う。
 1.ホームページを主たる手段として、会からの情報発信、視聴者
  の討論・情報交換の場を提供する。 
 2.会報(ニューズレター)を刊行(当面隔月。必要に応じて臨時
  発行)し、会員をはじめ、NHK理事、経営委員、メディア関連
  団体・個人等に送信・送付するほか、購読を希望する団体・個人
  に有料で配布する。また、ホームページにも掲載する。
  毎号、NHKに関わる論説、情報、番組ウオッチコーナー、
  投稿意見等を掲載する。
 3.NHKや経営委員会に対して、質問・意見送付や情報公開請求、
  放送番組への意見投稿などを機動的に行い、NHKの経営・財務
  内容、番組編集を監視・激励しつつ、視聴者の声を番組編成・
  制作に反映させる活動を行う。
 4.専用電話・メール・FAXにより、視聴者からの相談に応じる
  活動を行う。
 5.視聴者から寄せられた意見・声を整理してNHKに改善を申し
  入れる「視聴者の声代弁」活動を行う。
 6.単独であるいは他の友好団体と共催で、不定期にシンポジウム等
  を開催するほか、対NHK、NHK経営委員会、政党・政治家、
  行政等への要請行動を行う。

Ⅳ.組織
 1.会員
 ①本会の趣意書と本会則に賛同し、次項で定める年会費を納めた者
  を会員とする。 
 ②会員はⅢの2で定める会報を無料で入手できるほか、会報あるい
  はホームページへ投稿することができる。ただし、投稿の採否は
  運営委員会内の編集委員の判断によるものとする。 
 ③会員は運営委員会への事前通知により、随時、脱会できるものと
  する。
 ④運営委員会の議を経て、会の趣意書あるいは会則に違反し、会の
  信用を傷つける言動を行った会員を脱会させることができるもの
  とする。
   
 2.会費
    年会費を1,000円とする。
 3.運営委員ならびに本会の運営
   ①会発足時の呼びかけ人の中から運営委員を選出する。
   ②本会は運営委員全員から構成される運営委員会の合議で運営
    するものとする。
   ③本会の活動方針は運営委員の過半の同意を以って決定するもの
    とする。ただし、特段の事情により協議に参加できない運営委員
    が生じた場合は、当該運営委員を除く運営委員の過半の同意で
    決定できるものとする。
 4.共同代表
  運営委員の互選で共同代表(2名)を選出する。
  共同代表は運営委員会を召集するほか、会を代表する活動を行う。
 5.任務の分担
  運営委員のなかから、次の担当者(兼務可)を選任する。
      ・ホームページ担当
      ・ニューズレター編集担当
      ・広報担当
      ・Eメール担当
      ・専用電話担当
      ・会計担当
・その他
 6.事務局員
 運営委員会の議を経て、運営委員以外に若干名の事務局員を置くこと
 ができるものとする。事務局員は運営委員会の了承を経て、運営委員
 会の活動に参加できるものとする。
 7.会の解散
  本会は運営委員会の議を経て解散するものとする。
 8.会則の改訂
  本会則は運営委員会の議を経て改訂できるものとする。
    以上(2007年2月8日)

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入会申込みはこちらから
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「開かれたNHKをめざす全国連絡会」参加の呼びかけ
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http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-6b56.html と同じものです。)

「開かれたNHKをめざす全国連絡会」は2009/03/13に「署名にご協力いただいたみなさんへ御礼とご報告(開かれたNHK経営委員会をめざす会)」(または”ニューズレターNo.10”の5ページ)で
”「開かれたNHK経営委員会をめざす会」では、この取り組みを今後どのように継承してゆくかを議論し、次のステップに進みたいと考えています。 新たなご提案をまとめることができましたら、再びみなさまに呼びかけたいと思います。----とご報告しましたが”
「めざす会」を発展改組した新組織で、これまでの運動の経験を生かし、新たな共通の活動目標を実現するための全国連絡組織として本年6月に再出発したものです。
 (以下はその呼びかけ文です。)
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「開かれたNHKをめざす全国連絡会」参加の呼びかけ
                   2009年6月22日
         開かれたNHKをめざす全国連絡会
  (世話人)
松田 浩(メディア研究者・元立命館大学教授)
醍醐 聰(NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ共同代表・東大教授)
岩崎 貞明(メディア総合研究所事務局長・放送レポート編集長)
隅井 孝雄(日本ジャーナリスト会議代表委員・京都ノートルダム女子大学客員教授)
         (参加団体)
                                    NHK問題大阪連絡会
                                    NHK問題京都連絡会
                                    NHK問題を考える会(兵庫)
                                    NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ
                                    放送を語る会

 「開かれたNHK経営委員会をめざす会」(以下、「めざす会」)は2008年10月結成され、〝視聴者主権〟の理念のもとNHK経営委員候補の推薦運動を中心に取り組んできました。
この運動がめざしたのは、政府(内閣総理大臣)がNHK経営委員の選定と任命の権限をにぎる現行の仕組みに公募・推薦制導入の道を開き、経営委員選任のプロセスを、よりオープンで視聴者参加型の公正な枠組みに改革していくことでした。桂敬一・湯山哲守両独自候補の擁立運動は、そのための重要な第一歩でした。

それは、安倍元首相や菅元総務相によって送り込まれた古森重隆・経営委員長(フジフィルム社長)のもとで経営委員会が政府・財界によるNHK支配の道具に変えられ、公共放送が危機にさらされていたなかで、それに歯止めをかけ、「自主・自立」のNHK、「視聴者主権」のNHKへと大きく流れを変えることを意味していました。
 幸い「めざす会」の呼びかけは各方面から広く支持され、「NHK経営委員の公募・推薦制と古森重隆氏の不再任を求める」署名では全国から15,023筆の賛同者名簿を集めて、内閣府や野党各党に提出することができました。

また桂敬一・湯山哲守両独自候補推薦の賛同署名は2061筆に達し、川口幹夫・元NHK会長をはじめ、放送倫理・番組向上機構(BPO)初代理事長清水英夫氏、ジャーナリスト・元共同通信社長原寿雄氏、経済評論家内橋克人氏、福岡大学名誉教授石村善治氏(言論法研究者)など多くの著名な方々から力強い推薦メッセージをいただくことができました。
 シンポジウム「開かれたNHK経営委員会をめざして」や院内集会「視聴者・市民の候補者と各界・諸政党との意見交換会」などを通じて世論に訴え、各政党まで議論の輪に加えてメディアで大きく取上げられたことも、運動として貴重な収穫でした。

 今回のNHK経営委員の選任過程は従来と大きく異なる展開をみせましたが、その背景に視聴者・市民運動のこうした高揚があったことを見落とせません。政府の名簿提出に先立って古森重隆委員長が異例の一期限りで辞意を表明したこと、参議院で政府の提案した4候補のうち古森経営委員長を支えた再任候補2名と財界出身の新任候補1名が野党の反対で不同意になったこと、また政府が2月に再提出した名簿から財界出身の候補者が削られていたことなど――これらは、いずれも運動がもたらした成果でした。 

私たちの推薦した桂敬一・湯山哲守両候補の選任こそなりませんでしたが、視聴者・市民の運動がNHK経営委員選任をめぐって放送史上かつてなかった新しい局面をつくりだした事実は、「めざす会」が経営委員選任にあたって提起した3原則(①公募・推薦制の導入②選出基準の明確化と選出過程の透明性確保③国会同意に先立っての委員候補者の視聴者向け所信表明)とともに、今後の運動への大きな足がかりになるものと確信します。

任期満了の経営委員選任をめぐっての今回の推薦運動は、委員が決まったことで一応、決着をみました。
これまでの署名活動と候補推薦活動を収束させるにあたり「めざす会」は会を発展改組し、次の活動目標を掲げて、今後より大きな視聴者・市民運動に取り組むことを、ここに全国各地でご協力いただいたみなさんにご提案します。
「めざす会」を発展改組した新組織「開かれたNHKをめざす全国連絡会」は、これまでの運動の経験を生かし、新たな共通の活動目標を実現するための全国連絡組織として再出発します。
各地の皆さんに広く議論をお願いすると同時にし、趣旨に賛同する多くの団体や個人の方々が、この運動に参加してくださることを心から期待します。

「開かれたNHKをめざす全国連絡会」

《 活動目標 》
①    公共放送・NHKが自主・自立の立場で「放送の公共的機能」を貫けるよう、〝視聴者主権〟の理念にもとづいて各種の取り組みを進める。必要に応じて見解表明や署名運動、申入れなどを行う
② 視聴者・市民に開かれた公共放送に向けて会長・経営委員の公募・推薦運動を引きつづき推進する。また委員選任の公正な仕組みについても改革案を研究、提起する。
③    NHKをめぐる国会審議のあり方については、予算・事業計画案の国会提出に先立って与党が審議・承認する放送法逸脱の慣行を廃止させるなど、政府・与党の政治介入を封ずるための方策を追求する。
④    政府・与党による政治介入の根源である現行電波・放送行政の仕組みを変え、政府からの分離をめざして合議制「独立行政機構」などの導入を研究・提言する。
⑤    膨大な数の〝テレビ難民〟世帯の出現が危惧される2011年7月のアナログ放送一方的打ち切りに反対し、停波時期については、民主的な合意形成を求めていく。
⑥    視聴者・市民の立場から制作者・ジャーナリストの「内部的自由」確立のために尽力し、放送労働団体などとも連携してその実現をはかる。
⑦ その他、広く放送の公共性を守るために、必要に応じて、さまざまな取り組みを行う。
⑧  以上の目的を達成するためには、広範な世論と社会的合意の形成が欠かせない。そのために各方面の研究者、職能団体と力をあわせて視聴者・市民の立場に立ったメディア政策やコミュニケーション政策の確立をめざし、シンポジウム・講演会等を通じて広く国民的論議を組織する。
                          以上