新聞や放送、出版など各分野のジャーナリストで組織する「日本ジャーナリスト会議」と市民団体「放送を語る会」は10日、NHKの籾井勝人会長が定例記者会見で戦後70年にあたり従軍慰安婦を 番組で取り上げるかどうかについて、「正式に政府のスタンスがよくまだ見えない。慎重に考えなければ」などと話したことを受け、政府の方針に従って番組を 制作することを表明したにほかならないとして、即刻辞任を強く求める要望書をNHKに出した。経営委員会に対しても籾井会長の罷免(ひめん)を求めた。

 要望書では、NHKが政府から独立した放送機関であることや、放送法に不偏不党や番組が何人からも干渉、規律されることがないと定められていることを明記し、「政権党の意に従うと宣言したに等しい」としている。

 市民団体「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」も同日、経営委に対し、籾井会長の罷免を求める申入書を提出。罷免決議ができなければ浜田健一郎委員長が辞職するべきだと主張した。

 一方、経営委はこの日、定例の委員会を開いたが、委員会への付議事項がなかったために籾井会長は欠席した。浜田委員長は「(会長発言について)委 員会で意見交換をしたが、近いうちに会長から真意を確認してから、委員会としての考えを述べたい」と話した。上村達男委員長代行は「(会長発言の)文言を 見た限りでは遺憾だが、委員長が真意をただすということですから」と述べた。また、市民団体などの申し入れについて浜田委員長は「委員に配布はしている が、議論はしていない」とした。