日本郵政による番組制作への介入に関して「抗議と質問」の文書提出しました。
2019.10.01 「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」は、<日本郵政による番組制作への介入に関して「抗議と質問」の文書~NHK経営委員会の対応と上田会長の対応について~>を提出しました。
文書は下記にあります。
(1) 経営委員会宛て 日本郵政による番組制作への介入に関する対応への抗議と質問
(2) 上田会長ほかあて 日本郵政による番組制作への介入に関する抗議と質問
(1) のPDFダウンロ-ド
(2) のPDFダウンロ-ド
以下は面談の記録です。
日 時:2019年10月1日 11時30分~12時20分
手交した見解の宛先
① N HK経営委員会委員長 石原 進 様 NHK経営委員 各位
② NHK会長 上田良一 様、 放送総局長 木田幸紀 様、 NHK理 事 各位
NHK:経営委員会事務局 松沢明次 副部長
広報局視聴者部 藤田浩之 副部長、 七尾秀明 副部長
視聴者コミュニニティ: 醍醐 聰 共同代表、 渡辺 力 運営委員
渋谷のNHKに出向いて、経営委員会事務局と視聴者部と50分面談し、①経営委員会宛と➁理事会宛に「抗議と質問」を提出し約15分で要旨を説明。その後、別途質問。
≪質疑≫
1)視:番組ツイッターに公開していた動画とは、放送した番組の一部か?
NHK:確認して後でお伝えする。
2)視:藤田さんは昨日、電話でのやり取りの中で、日本郵政のクレームでNHKが影響を受けたことはないと言われたが本当にそう言えるのか? 昨年4月に放送された「クロ現+」の続編は、昨年8月に放送予定だったが…?
NHK:「クロ現+」ではないが、今年7月に二回目の放送があった。
視:時期が問題だ。一年も遅れた。当初時期に放送されていたら、不正販売の拡大を防げた可能性がある。その意味では影響を受けたことになる。
3)会長の番組編集権をめぐるNHKと日本郵政のやり取りについて。
視:日本郵政から「放送法上、最終的な番組編集権は会長にあることを持ち出された」と報道にあるが、放送法の何処にそのような定めがあるか?
NHK:即答できないので確認しましょう。
視:放送法の中で会長の職務に触れたのは、第51条第1項の「会長は、協会を代表し、・・・その業務を総理する」という定めだけ。調べなくてもこれくらいは答えられるのではないか。ここでの「業務を総理する」という文言から、会長に番組編集権がある、会長は番組編集にも関与するなどと解釈するのは明らかに飛躍ではないか?
NHK:追って確かめてから答えたい。
4)上田会長が、「会長の編集権について、番組幹部の説明は放送法の共通理解と違っていた」と非を認める文書を届けたと報道されている件について。
視:番組編集権について、NHKの正式理解は? 番組幹部は文書回答したのか?口頭で説明したのか?
NHK:確認する。事実として知らない。
視:「編集権と編集責任は最終的には会長にあるが、具体的な運用の権限は各番組制作責任者に段階を追って授権されている」というのが、これまでNHKが表明してきた公式見解ではないか? だとしたら、伝えられているような日本郵政に対する番組幹部の説明は舌足らずな点はあったかもしれないが、従来からの公式見解に沿ったものであり、取り立てて非はなかったと思うが。
NHK:確かめてから、追って答えたい。
5)経営委員の中から「ネットで情報を集める取材方法はおかしい。非はNHKにある」との強硬意見がでたと報道されている件について。
視:NHKの取材の方法についてきめ細かなルールを定めたのは、「NHK放送ガイドライン2015」だと理解してよいか?
経:ガイドラインに詳しく書かれていることは承知している。
視:では、ガイドラインのどこかに、公益に資する情報提供でも内部からの通報を呼び掛ける取材は控える、あるいは戒めるような決まりはあるのか?経営委員に対して事務局から何か助言したことがあるか?
経:確認する。
6)「厳重注意」を主導したのは経営委員会の首脳陣と報道されている件について。
視:「首脳陣」とは誰を指すのか?
NHK:新聞の言う「首脳陣」との言葉の定義が分からない。
視:経営委員会の中では首脳陣と言えば、委員長か職務代行者しかいないではないか?
NHK:分からない。新聞報道をベースに質問されているが、報道が事実かどうか、確
かめないと何ともいえない。
視:もし、誤報なら、毎日新聞は経営が傾くくらいの信頼失墜になるから、十分な裏
付け取材をもとに報道したと思う。NHKは事実と違うとして訂正なり抗議なりの
申し入れをしたか?
NHK:私にはわからない。
視:議事録に残していれば、はっきりすることだ。
視:文書での質問は期日までに文書でお願いするとして、今、口頭で質問したものには確認出来たら、早目に文書で回答してもらえないか?
NHK:今日の口頭での質問をメモで頂けないか?
視:わかった。メールで良ければ質問文書を届ける。 以上
(文責:渡邉)
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(1) 経営委員会宛て 日本郵政による番組制作への介入に関する対応への抗議と質問
2019年10月1日
NHK経営委員長 石原 進 様
NHK経営委員 各 位
日本郵政による番組制作への介入に関する経営委員会の対応への抗議と質問
NHK を監視・激励する視聴者コミュニティ
共同代表 湯山哲守・醍醐 聰
http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/blog/
さる9月26日付けの『毎日新聞』の報道により、日本郵政グループが、昨年7月以降、かんぽ生命保険の不正販売を取り上げた「クローズアップ現代+」(2018年4月24日放送)に関して、NHKならびにNHK経営委員会に対し、執拗な抗議と対処を求めていたことが明らかになりました。こうした抗議を受けて、NHKが続編の放送を「延期」したことも明らかになりました。
このこと自体、NHKの放送番組に対する不当な干渉、圧力であり、看過できませんが、さらに重大なのは、日本郵政から貴委員会宛てに届いた、「NHKのガバナンス」を名目に上田会長に対する指導・監督の要請を取り次ぐ形で、貴委員会が上田会長に「厳重注意」をしたことです。
しかし、問題の番組は社会を揺るがした、かんぽ生命保険の悪質な不正販売を伝えた貴重なものであり、郵政職員に情報提供を呼びかけたことも、公益に資する取材方法の一つであり、問題視するいわれはありません。また、NHKが日本郵政に対して行ったNHK会長の編集権なるものに対する説明は、NHKが従来から国会内外で示してきた見解を踏襲したものであり、かりに多少の説明不足があったとしても、仰々しく「注意」をするには及ばないものです。
むしろ、不正のさらなる発覚を恐れ、放送行政を所管する総務省の元事務次官という肩書を使って、公共放送に圧力をかけた日本郵政の行為こそ、厳しく指弾されなければなりません。
にもかかわらず、貴委員会の上田会長宛て「厳重注意」は、「ガバナンス」を口実にした、経営委員による個別の番組への干渉であり、こうした行為を禁じた放送法第32条に違反する行為です。
こうした貴委員会の今回の対応は、一部の委員から「郵政側の要求は言い掛かりであり、応じるべきではない」という反対意見があるなかで、石原委員長ら首脳陣の主導で進められたと伝えられています(『毎日新聞』前掲記事)。
そこで、当会はこの件について、貴委員会に対し、以下の通り、抗議を申し入れるとともに質問をします。質問については、書面で、10月11日までに別紙宛てにお送りいただくよう求めます。
抗議と申し入れ
1.日本郵政グループからの不当な干渉に抗議するどころから、それを取り次いで上田会長に「注意」をした貴委員会の対応は、「NHK放送ガイドライン2015」で、経営委員を含むNHKの全役職員が放送業務の生命線として厳守することを誓約した放送の自主自律に背く行為である。このような視聴者の信頼を裏切る貴委員会の行為に厳重に抗議するとともに、速やかに「注意」を撤回し、放送への不当な干渉・圧力に屈した自らの姿勢を謝罪するよう求める。
2.今回の対応を主導したとされる石原委員長は、悪名高い籾井勝人氏をNHK会長に選任する選考を主導した張本人であったが、その会長選考にあたって「政権・与党の関係がしっかり築ける方がいい」と公言している(『朝日新聞』2016年6月29日)。
このようにNHKの自主自律の基本すら理解できていない石原委員長のもとで、経営委員会が次期会長選考を進めるのは容認できない。直ちに石原氏の委員長並びに経営委員辞任を求める。
質 問
1. 前掲『毎日新聞』の記事によれば、日本郵政が貴委員会に対してNHKのガバナンス体制の検証を求める文書を送ったのは昨年10月5日とされているが、それ以降の経営委員会議事録を検索しても、本件が議題にされ、議論が交わされた形跡は一切ない。なぜ、このような形になったのか
――経営委員会で議論しなかったのか、議論はしたが議事録に載せなかったのかーーー理由を添えた明確な説明を求める。
2. これまで当会は貴委員会宛てに何度か質問書を提出してきたが、貴委員会は「経営委員会議事録や委員長の国会答弁で説明済み」として回答を拒んできた。
例えば、2016年7月8日付けで、石原氏が新しい経営委員長に選任されたのを受けて質問書(別添)を提出したが、7月19日付で届いた文書は、「経営委員会としての考え方につきましては、経営委員会及び経営委員会終了後の記者ブリーフィング、国会における答弁などで公表しており、個別のご意見、申し入れなどに対する回答は、差し控えさせていただいております」というものだった。
しかし、この時の当会の質問は、石原氏の上記の「政権・与党の関係がしっかり築ける方がいい」という発言、あるいは「原発を全廃すれば、電気料金が2倍となり」、原発ゼロでは「日本国家が潰れ、失業者だらけになる」という経営委員在任中の発言、さらには石原氏が九州財界人とともに安倍首相と会食したのは、NHKの自主自律、政治的公平と相容れないことを質したものである。
これらに対する回答にあたるものが経営委員会議事録等に一切ないことを確認のうえ、提出した当会の質問書には木で鼻をくくるような文書を送って済ませる一方、不当な介入にあたる日本郵政からの要請は、仰々しく取り次いで、会長に「注意」をした、この本末転倒の非対称な対応は、なにゆえか、明確な回答を求める。
以上
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(2) 上田会長ほかあて 日本郵政による番組制作への介入に関する抗議と質問
2019年10月1日
NHK会長 上田良一様
NHK放送総局長 木田幸紀様 ほか理事各位
日本郵政による番組制作への介入に関する上田会長の対応についての抗議と質問
NHK を監視・激励する視聴者コミュニティ
共同代表 湯山哲守・醍醐 聰
http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/blog/
さる9月26日付けの『毎日新聞』の報道により、日本郵政グループが、昨年7月以降、かんぽ生命保険の不正販売を取り上げた「クローズアップ現代+」(2018年4月24日放送)に関して、NHKならびにNHK経営委員会に対し、執拗な抗議と対処を求めていたことが明らかになりました。こうした抗議を受けて、NHKが続編の放送を「延期」したことも明らかになりました。
また、NHK経営委員会が日本郵政からの要請を受け、上田会長に対し、会長の番組編集統括上の問題として「厳重注意」をしたのに対し、上田会長は日本郵政に対して、昨年11月6日、謝罪文書を送っていたことも明らかになりました。
しかし、問題の番組は社会を揺るがした、かんぽ生命保険の悪質な不正販売を伝えた貴重なものであり、郵政職員に情報提供を呼びかけたことも、公益に資する取材方法の一つであり、問題視するいわれはありません。むしろ、不正のさらなる発覚を恐れ、放送行政を所管する総務省の元事務次官という肩書を使って、公共放送に圧力をかけた日本郵政の行為こそ、厳しく指弾されなければなりません。
また、石原進委員長が主導したとされる経営委員会の上田会長宛て対応要請は、「ガバナンス」を口実にした、経営委員による個別の番組への干渉であり、こうした行為を禁じた放送法第32条に違反する行為です。
この件について、当会は貴職らに以下の通り、抗議を申し入れるとともに質問をします。質問については書面で、10月11日までに別紙宛てにお送りいただくよう求めます。
抗議と申し入れ
日本郵政ならびに経営委員会からの違法・不当な干渉に押し切られ、日本郵政に事実上の謝罪文書を送った上田会長の対応は、「NHK放送ガイドライン2015」で、NHKの全役職員が放送業務の生命線として厳守することを誓約した放送の自主自律に背き、「NHK会長、副会長および理事の服務に関する準則」の第4条で定められた職務への忠実義務に違反する行為である。
このような視聴者の信頼を裏切る上田会長の行為に厳重に抗議するとともに、速やかに謝罪を撤回し、放送への不当な干渉・圧力に屈しない姿勢を内外に表明するよう求める。
質 問
これまで当会ほか、いくつかの視聴者団体がNHK会長、放送総局長宛てに提出した質問や情報公開請求に関しては「NHK独自の編集権」を盾にいっさいの回答を拒んできたNHKが、元総務事務次官の肩書を添えた申し入れには易々と応じ、抗議に対して、事実上の謝罪文書まで届けたのはなぜなのか?
不当な干渉にはひれ伏すかのように即応し、視聴者からのまっとうな質問には木で鼻をくくったような対応をするのはなぜなのか? あるべき姿から逆立ちしたそのような対応を改める意思があるのかどうか、明確な応答を要求する。
以上
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