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2019年10月15日 (火)

日本郵政による番組制作への介入に関して「抗議と質問」の文書の更新版を提出しました。

当会は去る10月1日、日本郵政による番組制作への介入に関して 経営委員会とNHK会長宛てに「抗議と質問」の文書提出しましたが(→こちら)、NHK視聴者部から回答延期の申し入れがありましたので、前の質問書をその後の情勢を踏まえ更新して本日NHKに提出しました。

質問は大きく3つの項目に分け、それぞれ、2~3の細目に分けて、項目ごとに石原経営委員長あるいは森下委員長代行の言動が、「放送法」「NHK放送ガイドライン2015」に違反したもの、または違反した可能性が強いものである点を指摘し、責任の認識を質しています。
【質問1】NHKに対する日本郵政からのクレームに関する経営委員会の対応について
【質問2】NHK会長への「厳重注意」がなされた際の議事について
【質問3】本件に関する議事録の作成、もしくは不開示についてこれら質問について、10月24日(木)までに文書による回答を求めています。新しい質問書は以下のとおりです。

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NHK経営委員長 石原 進 様                    2019年10月15日
同 委員長職務代行者 森下俊三 様
同 経営委員 各位
                    NHK を監視・激励する視聴者コミュニティ
                       共同代表 湯山哲守・醍醐 聰
                       
日本郵政によるNHKの番組制作への介入に係る経営委員会の対応に関する質問(更新版)


本年10月1日に貴委員会宛てに提出しました文書「日本郵政による番組制作への介入に関する経営委員会の対応への抗議と質問」のうちの2項目の質問を、その後の国会審議、野党合同ヒアリングに出席された貴委員会委員の応答ならびに関連報道にもとづき、以下のように差し替えます。本質問書について、10月24日(木)までに、書面で、別紙宛てにご回答くださるよう、お願いします。

簡保生命保険の不正販売を取り上げた「クローズアップ現代+」(2018年4月24日放送とその続編のための取材)に対する日本郵政グループの一連の干渉(以下、「本件」という)について、日本郵政副社長の鈴木康雄氏は、NHKのガバナンス体制を問題にしたものであって、番組への圧力を意図したものではないと釈明しています。
しかし、
①日本郵政が昨年7月以降、NHKの当該番組制作スタッフが番組専用サイトにアップした動画の削除を執拗に要求したこと、②日本郵政が鈴木康雄氏名で貴委員会宛てに送付した文書の中で「放送番組の企画・編集の各段階で重層的な確認が必要である旨指摘」した事実に照らせば、NHKに対する日本郵政の一連の干渉の本意は、自社商品の不正販売の実態が内部通報でさらに公になるのを食い止めようとした点にあったことは明らかです。

【質問1】NHKに対する日本郵政からのクレームに関する経営委員会の対応について

〔質問1-1〕 日本郵政のNHKに対する一連の抗議・処置要請が、NHKのガバナンス体制を問題視する口実のもとに、個別の番組編集、そのため取材をけん制し、干渉、圧力を及ぼす狙いが本意であったことを十分、認識できたにもかかわらず、貴委員会は、それを跳ね返すどことか、逆に日本郵政のクレームを取り次ぎ、上田会長に「厳重注意」をしました。そして、それが大きな要因の一つとなって、「クローズアップ現代+」は番組専用サイトにアップしていた動画を削除し、予定されていた続編を延期することになりました。
このような経緯に照らせば、貴委員会の対応は「放送法」第32条で禁じられている個別の番組編集への直接の干渉または間接の干渉(干渉の斡旋)にあたると判断できます。
この点を貴委員会はどのように認識しておられるか、各委員の意見を集約した上での説明を求めます。

〔質問1-2〕 経営委員長職務代行者の森下俊三氏は、昨年10月5日付で日本郵政3社の社長名で経営委委員会宛てに文書が送られる前の9月25日に鈴木副社長と面会し、鈴木氏からNHKへの不満を直に聞いていたことが判明しました。その際、森下氏は「経営委員会に正式に申し入れてほしい」と述べたと伝えられています(『朝日新聞』2019年10月12日)。
下線部分の報道は事実かどうか、森下氏に説明を求めます。事実でないなら、すでに訂正を申し入れられたのか、あるいはすみやかに訂正を申し入れる予定があるのか、お答えください。

〔質問1-3〕 そもそも、経営委員が、自社商品の不正販売が社会的に大きな問題となり、当該問題を取り上げたNHKの番組の取材対象となった法人の首脳と非公式に面会し、そこで聞き取ったクレームを経営委員会に取り次ぐ言動をするのは、「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」と定めた「放送法」第3条に抵触する疑いが濃厚な行為です。
さらに、森下氏の言動は、NHKの全役職員が「放送とは直接関係のない業務にあたっても」「放送の自主・自律の堅持が信頼される公共放送の生命線であるとの認識に基づき、すべての業務にあたる」と定めた「NHK放送ガイドライン2015」に違反する行為に当たると当会は考えます。
これについて、森下氏はどのように認識されているか、また、経営委員会はどのように認識され、対処されるのか、お答えください。

【質問2】NHK会長への「厳重注意」がなされた際の議事について

〔質問2-1〕 報道によれば、ある経営委員は、経営委員会名で上田会長に「厳重注意」をした際、委員の間で意見が分かれ、議決をしないまま注意がされたと語っています。
 このような「議決を経ないまま」との報道は事実なのかどうか、議事録に基づいて、あるいは全経営委員の確認を経て、明らかにされるよう求めます。

〔質問2-2〕 報道が事実とすれば、経営委員会名でのNHK会長に対する「厳重注意」は、「経営委員会の議事は、別に規定するものの外、出席委員の過半数をもつて決する。可否同数のときは、委員長が決する」と定めた「放送法」第40条第2項に明確に違反する行為となります。となれば、経営「委員会の会務を総理する」(「放送法」第30条第3項)責務を負った石原経営委員長が法令違反を放任した責任は極めて重いことになります。
この点について経営委員各位はどのように認識されているのか、石原経営委員長は責任をどのようにとるつもりなのか、明確にお答えください。

【質問3】本件に関する議事録の作成、もしくは不開示について

〔質問3-1〕 森下委員長職務代行者は、10月3日に開かれた野党合同ヒアリングにおいて、「議事録は作成したが、相手方がある話なので内規により公開をしない」と発言しました。しかし、翌4日に開かれた野党合同ヒアリングに出席した高橋正美経営委員は、「非公表を前提に議論しており、議事録はない」と発言しました。
 議事録の作成・存在に関して、森下氏と高橋氏の発言のどちらが真実なのか、お答えください。

〔質問3-2〕 NHKのガバナンス体制あるいは会長の番組編集権に関わって経営委員会が会長に「厳重注意」をするのは前例のないことですが、これは「放送法」第29条の1のハで定められた「協会の業務の適正を確保するために必要なものとして次に掲げる体制の整備」に関わる経営委員会の正規の職務の一環として行われたものと考えられます。
 であれば、こうした経営委員会の職務の執行に係る協議は議事録に残すのが「放送法」に基づく経営委員長の義務です。にもかかわらず、高橋氏の発言のとおり、当該議事について議事録を作成していないとすれば、石原経営委員長の脱法責任は免れません。
 また、議事録は作成しているが、内規により、「相手方」云々を理由に公開しないのなら、それは経営委員会の内規を法令に優越させ、「放送法」第41条後段の定めを脱法する行為とみなして差し支えありません。
 この点について、石原経営委員長は議事録の作成・公表に係る「放送法」遵守責任をどのように認識されているのか、お答えください。   以上

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