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2019年1月23日 (水)

辺野古での土砂投入工事をめぐる報道についての質問書を提出

「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」は、辺野古沖での基地建設工事に関する最近のNHKの報道には重大な問題があると考え、6つの項目にまとめた質問書を明日、24日、NHKに出向いて、視聴者部の2名の副部長と面会の上、提出することにしました。
提出先は、上田会長、木田放送総局長、小池報道局長です。別々に提出します。
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                                                                        2019年1月24日
NHK会長 上田良一様
NHK放送総局長 木田幸紀様
NHK報道局長 小池英夫様
                         辺野古での土砂投入工事をめぐる報道についての質問書
                                                              NHK を監視・激励する視聴者コミュニティ
                          共同代表 湯山哲守・醍醐 聰
                    
 皆様におかれましては公共放送をつかさどる重責を担われ、ご多忙のことと存じます。
 以下、質問書を提出します。別紙の宛先へ、本年2月5日(火)までに文書でご回答をくださるよう、お願いいたします。

問題の経過
 (1)去る1月6日に放送された貴局「日曜討論」に出演した安倍首相は沖縄辺野古での土砂投入に関連して「土砂投入に当たって、あそこのサンゴは移している」、「砂浜に存在した絶滅危惧種は砂をさらって、しっかり別の浜に移した」と発言しました。希少資源のサンゴの保全に十分配慮した上での土砂投入であると言わんとしたものです。
 しかし、沖縄防衛局が移植したサンゴは埋め立て海域全体のサンゴ7万4千群体のうちの9群体にすぎず、その9群体も今回の土砂投入区域外のものでした。
 放送直後から、「事前に収録した録画の放送であるにもかかわらず、なぜ事実と異なる首相発言をそのまま放送したのか」という疑問、批判が多数、貴局に寄せられたと伝えられています。
 この点を質した報道機関の取材に対し、貴局は「NHKの自主的な編集判断」と応答するのみで、訂正も謝罪もないまま数日、経過しました。
 1月11日の「ニュース・ウオッチ9」で、ようやく安倍首相の発言が事実と異なっていたことを伝えました。

 (2) 1月21日、防衛省は辺野古埋め立て区域に存在すると指摘されていた軟弱地盤対策のための設計変更を検討することになったと伝えられました。軟弱地盤の存在は2016年に沖縄防衛局がまとめた地質調査報告書で確認され、国会でも取り上げられてきました。沖縄県の見通しでは、設計変更には約1500億円、5年ほどの年月がかかるとのことで、県知事の承認が必要とされることから、辺野古沖の埋め立て工事は大幅にずれ込むことが必至の状況です。
 しかし、この件について、NHKは21日夜7時のニュースでも9時のニュースでもまったく取り上げませんでした。

〔質問1〕
「あそこの」「別の浜に」とはどこを指すのか、常識的に理解不能な安倍首相の発言を、その場で問い返すことなく終わった司会者の見識が問われますが、事前録画で、放送前に首相発言の真偽をチェックする時間があったにもかかわらず、事実上の否定報道が5日後の11日の「ニュース・ウオッチ9」となったのはなぜですか? 

〔質問2〕
今回の「日曜討論」の件に限らず、NHKは放送に関する外部からの疑問、質問に対して、自主的編集を盾に実のある応答を拒むのが通例になっています。これについては、後ほど質問しますが、自主的というなら、貴局内の自主的放送審査組織である考査室は、1月6日の「日曜討論」における安倍首相発言の放送のあり方について、放送後、どのような考査をし、担当部署に伝え、やり取りをしたのか、なにもしなかったのか、お聞かせ下さい。

〔質問3〕
1月11日の「ニュース・ウオッチ9」は、「辺野古埋め立て 土砂投入前にサンゴ移植急ぐ 防衛省」という大見出しで、先の安倍首相の「サンゴは移植した」という発言が事実と食い違うことを伝えたあとで、「しかし、残りのおよそ7万4000群体の移植は県の許可が得られていないことなどから進んでいません。このため防衛省はサンゴが生息する区画に土砂を投入する前に移植するため、今後、県との調整を急ぐことにしています」と放送しました。
このような伝え方は、沖縄防衛局は希少資源の保全のためにサンゴの移植を進めようとしているが、沖縄県が許可しないのが原因で移植が進んでいないという認識を誘導するものです。
 しかし、沖縄県が移植を許可しないのは、移植ではサンゴを保護できる保証はない、繊細な環境のなかで生息するサンゴは水流や光の強さが少し変わるだけで死滅する恐れがある、サンゴの保全を考えるなら土砂投入は避けるべきという専門家の判断も参考にしたものです。
 こうした沖縄県や専門家の意見を伝えることなく、政府・沖縄防衛局の言い分だけを一方的に伝えるのは、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」と定めた「放送法」第4条第1項4の規定に反していると当会は考えます。これに対する貴職の見解をお示し下さい。

〔質問4〕
 1月21日に防衛省が土砂埋め立て海域における軟弱地盤対策のため設計変更を検討することになったという事態は辺野古沖での新基地建設に甚大な影響を及ぼすと予想されます。しかし、NHKは当日、夜7時のニュースでも9時のニュースでも、歌舞伎町で起った発砲事件を時間を割いて伝える一方で、軟弱地盤の問題はまったく伝えませんでした。
 なぜ、このような話題の取捨選択がされたのか、その理由、基準をご説明ください。

〔質問5〕
土砂埋め立て海域における軟弱地盤の問題は2016年以来、国会でも取り上げられてきましたが、NHKはこの問題について、これまでのニュース・報道番組でどのように(いつ、どの番組でも含めて)、伝えてきたか、ご説明ください。

〔質問6〕
今回の件に限らず、「放送法」第4条や「NHK放送ガイドライン」などにもとづいて、NHKの番組内容について質問をした側に対し、NHKは「局の自主的編集判断」を盾に、実のある回答を拒むのが通例になっています。
しかし、NHKに認められる「自主的編集判断」とは、視聴者からの質問を遮る盾として認められたものではなく、NHKが監視の対象とする様々な権力の介入を防ぎ、視聴者の知る権利に応えるためのものです。
この意味から、NHKがニュース報道等の編集過程・内容についての放送後の質問について、説明を拒めるのは次の場合に限られ、それ以外はむしろ、積極的な説明責任があると当会は考えています。これについて貴職はどう考えられるのか、見解を求めます。
①取材源(公的機関でしかるべき職務権限を持つ者は除く)の秘匿を必要とする場合。
②個人(公的機関でしかるべき職務権限を持つ者は除く)のプライバシ―を保護する必要があると認められる場合。
➂営利企業に競争上の不利益を及ぼすと合理的に判断される場合。
                                                             以上
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この質問書の(PDFでのダウンロードはこちら

質問項目の1~3は、1月6日に放送されたNHK「日曜討論」において安倍首相が事実と食い違う「サンゴ移植」発言をしたことに関するNHKの報道のあり方に関するものです。

質問項目の4,5は、土砂埋め立て海域で確認された軟弱地盤NHKの問題に検討するNHKの報道の不作為に関するものです 。

質問項目の6は、NHKが従来から、番組に関する質問について、「自主的編集判断」を盾に回答を拒むのは視聴者への説明責任に背くものと考え、編集の過程の説明を控えることができるのは、どのような場合かについて、当会の考え方を示したうえで、NHKの見解を質すものです。
回答は、2月5日(火)までに文書で求めることにしています。
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議事録です。
2019.1.25
辺野古での土砂投入工事をめぐる報道についての質問書を提出(報告)
日 時:2019年1月24日 11時30分から30分
NHK:広報局視聴者部 藤田浩之 副部長、  原 徹 副部長
視聴者コミュニニティ: 醍醐 聰 共同代表、  渡辺 力 運営委員
質問書の宛先
①    NHK会長     上田良一 様
②    NHK放送総局長  木田幸紀 様
③    NHK報道局長   小池英夫 様

≪面談について≫
 初めに、質問書(3ページ)を読み上げ、問題の経緯と6項目の質問を説明。
Q:これまで担当者からは「宛名になくても報道局(長)には届ける」との説明だったが、今回は宛先にもなっているので必ず届けてもらいたい。回答日を指定しているが事前に連絡いただければ多少の遅れは問題ない。回答文とは別に補足のメモもあればよろしく。
Q:質問1に関して、昨日、放送総局長が発言されているが、質問書は総理の録画をやり直せと言っているのではなく、「あそこ」「別の浜」との総理発言に疑問も呈さない司会者の見識と、総理発言の訂正にどうして5日もかかったかをお聞きしている。
放送直後からネットや全国紙から反応が大きかったので、その反応を見たうえで調査し訂正放送となったのか?NHKの自主的判断ではなかったのかどうか?
Q:録画放送の場合、録画撮りの段階で、今回の安倍発言のように明らかに事実と異なる発言があった場合、放送までに、どのような対応をするかのルールはあるか?

A:ご指摘のようにNHKのガイドラインにはそのようなルール・定めはない。
NHKの公式見解ではないが、実態は「ケースバイケース」だ。
Q:「自主的」というなら、質問2に書いているように「放送後の考査室の対応」はどうだったかについて説明してほしい。近年、毎月一回目の理事会に報告される考査室の報告は考査の中身に全く触れていない。
Q:これまでのNHKからの回答は視聴者部からだったが、質問書の宛先人は回答内容を了解あるいは認識しているのか?

A:回答内容は、宛先本人が必ず確認している。文書決済の形ではないが「承認」している。
Q:今日のやり取りは特に問題ないだろうから、会員に知らせるためレポートを会のホームページに載せる。
                                                                        以上
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2月7日、NHKから2通の文書が届きました。

1)1月4日の質問書の回答
*「文書開示判断期間延長のご連絡」(差出人 NHK会長)
 紅白歌合戦の新聞広告に関する情報公開請求についての連絡です。
 ・延長の理由:「開示等の判断に今しばらく時間を要するため」
 ・判断を行う期限:2019年3月8日

Entyo

*2019年1月24日付で提出した質問書への回答
 
・安倍首相のサンゴ移植発言についての放送のあり方
・辺野古沖の軟弱地盤に関する報道の経緯
・番組の編集判断に対する視聴者からの質問・意見への応答のあり方に関する質問への「回答」です。 → 回答文書は,「5」を除き、従来からの応答(個別の番組の編集判断等に関する答えは差し控える)の繰り返しです。

Mg396

河野外務大臣の「次の質問どうぞ」の連発を思い起こしました。
なお、この文書の差出人は広報局視聴者部ですが、質問書を提出した時の面会応対者(視聴者部・藤田副部長)の説明では、回答文書は名宛人(今回でいえば、上田会長、木田放送総局長、小池報道局長)に回付され、了承を経たものになるとのことでした。

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