二つの質問書を提出 ~経営委員長選任にあたって、経営委員に対し、政権・与党から働きかけがあったとの報道について~、「石原進氏の経営委員長就任にあたっての質問書」
質問書の概要は以下の通りです。(PDF添付して下記に貼り付け)
■経営委員会(全経営委員)宛て→PDFはこちら
「新しい経営委員長選任に関する質問書」
~経営委員長選任にあたって、経営委員に対し、政権・与党から働きかけがあったとの報道について~
■石原進経営委員長宛て→PDFはこちら
「貴職の経営委員長就任にあたっての質問書」
1.籾井勝人氏を会長に推薦された貴職の責任について
2.政府・与党、政治からの自立に関する貴職の見解について
3.原発再稼働に関する貴職の発言について
4.「日本会議福岡」の名誉顧問に就任されている件について
──────────────────────────────────────
NHK経営委員会 御中 2016年7月8日
NHK経営委員 各位
新しい経営委員長選任に関する質問書
~経営委員長選任にあたって、経営委員に対し、政権・与党から働きかけがあったとの報道について~
NHK を監視・激励する視聴者コミュニティ
共同代表 湯山哲守・醍醐 聰
http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/blog/
経営委員の皆様におかれましては、重責の職務にご多用の日々をお過ごしのことと存じます。
6月28日、貴委員会は全員一致で石原進氏を新しい経営委員長に選任されましたが、この件について、当会は経営委員会の自律性、視聴者からの信頼性に照らして以下のような黙過できない報道に接しました。
また、6月28日の経営委員会終了後に行われた記者会見における石原委員長の発言の中にも黙過できない点がありました。
そ
こで、当会は石原委員長に関わる点は別途、同氏宛てに質問書を提出しますが、以下は経営委員全員に関わる問題ですので、経営委員会宛てに質問をいたしま
す。問題の重要性に照らし、この質問について、書面で7月19日までに別紙宛てにご回答くださるよう、お願いいたします。
6月29日の「朝日新聞」朝刊は、新経営委員長選任の経緯を伝えた記事の中で次のように記しています。
「一方、経営委員の1人は、『政権・与党サイドの関係者から、石原氏を推薦するよう求められた』と打ち明ける。ある政権幹部は『次の会長の人選を考慮すると、石原氏の方がより政府・与党の影響を反映しやすいと判断した』と語る。」
委員各位は先刻ご承知のことと思いますが、「経営委員会委員の服務に関する準則」は第2条で、「経営委員会委員は、放送が公正、不偏不党な立場に立って国
民文化の向上と健全な民主主義の発達に資するとともに、国民に最大の効用と福祉とをもたらすべき使命を負うものであることを自覚して、誠実にその職責を果
たさなければならない」と定めています。
また、「NHK放送ガイドライン2015」は、「全役職員は、放送の自主・自律の堅持が信頼される公共放送の生命線であるとの認識に基づき、すべての業務にあたる。日々の取材活動や番組制作はもとより、NHKの予算・事業計画の国会承認を得るなど、放送とは
直接関係のない業務にあたっても、この基本的な立場は揺るがない」と定めています。ちなみに、「放送法」第49条で明記されているとおり、経営委員も
NHKの役員です。
〔質
問〕 経営委員各位の中で、「朝日新聞」の上記の記事が記したように、政権・与党サイドの関係者から、石原氏を推薦するよ
う求められた方がおられるのであれば、そうした働きかけはNHKの自主自律を根本から踏みにじる行為であり、働きかけを受けた経営委員は、「経営委員会委
員の服務に関する準則」第2条ならびに「NHK放送ガイドライン2015」に照らして、毅然とこれを拒む必要があります。働きかけを受けられた経営委員
は、働きかけにどのように対処されたか、経営委員会として全経営委員に確認のうえ、ご回答ください。
〔申し入れ〕 経営委員各位の中で、「朝日
新聞」の上
記の記事が記したような、政権・与党サイドの関係者から、石原氏を推薦するよう求められた方がおられないということが確認できたのであれば、記事の中の当
該指摘は経営委員会の信頼を著しく傷付ける誤報ということになります。そうであれば、経営委員会名で朝日新聞に記事の撤回と謝罪を求められるよう要望しま
す。貴委員会がこの要望にどう応えられたかをお知らせください。
以上
──────────────────────────────────────
NHK経営委員会 2016年7月8日
委員長 石原 進 様
同報 経営委員 各位
貴職の経営委員長就任にあたっての質問書
NHK を監視・激励する視聴者コミュニティ
共同代表 湯山哲守・醍醐 聰
http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/blog/
6月28日に開催されたNHK経営委員会で貴職は全員一致で新しい経営委員長に選任されました。この機会に当会は、貴職に対し、一連の質問をさせていただ
きます。経営委員長としての重責を担われ、ご多忙の日々をお過ごしのことと思いますが、今回の質問はどれもNHK経営委員会の自主自律、視聴者・国民から
の信頼に直結する、きわめて重大な問題ですので、書面で7月19日までに別紙宛てにご回答くださるよう、お願いいたします。
1.籾井勝人氏を会長に推薦された貴職の責任について
籾井勝人氏はNHK会長に就任以降、「政府が右と言う時、左とは言えない」、「NHKが従軍慰安婦問題をどのように扱うかは政府のスタンスが決まらないと
定まらない」、「原発報道は、国民の不安をかき立てないよう、公的発表をベースにしてほしい」等々、NHKを政府の広報機関かのように見なす発言を繰り返
してきました。また、私的なハイヤー代を一時的とはいえ、NHKに立て替えさせるなど、公共放送の信頼を失墜させるような行為もありました。
〔質
問1〕
経営委員会が籾井勝人氏をNHKの会長に選任する際、貴職が同氏を推薦され、籾井氏の会長選任を主導された経緯については衆目の一致した見方です。しか
し、その籾井会長が上記のような公共放送の信頼を失墜させるような言動を繰り返したにもかかわらず、貴職は、経営委員会会議録を読むかぎり、籾井会長を諫
め、厳重に指導監督する発言をされた場面は皆無です。そのような貴職が経営委員長として次期会長選考のとりまとめ役を務められることに当会は強い懸念と違
和感を覚えます。
貴職は籾井氏をNHK会長に推薦された当事者として、どのように責任を感じておられるのか、次期会長選考に当たって、その反省をどのように活かすお考えなのか、明確にご説明ください。
2.政府・与党、政治からの自立に関する貴職の見解について
6月29日の「朝日新聞」朝刊は、新経営委員長選任の経緯を伝えた記事の中で、石原氏は、籾井会長の言動が原因でNHKの新年度予算案が3年連続で全会一
致とならなかったことを挙げ、「次期会長の条件を『政権・与党との関係がしっかり築ける方がいい』と説明している」と記しています。
また、貴職
は6月28日の経営委員会終了後に行われた記者会見の場で、「経営委員会が政権に近いのではないか、という指摘についてどのように考えているか」という質
問に対し、「経営委員会が政権と近すぎるとは思わない。ただNHKは国民の意思を反映している国会で予算を通さなければ、業務を執行できないので、政治と
の関係は大切である」と答えておられます。
しかし、「NHK放送ガイドライン2015」は、「全役職員は、放送の自主・自律の堅持が信頼される
公共放送の生命線であるとの認識に基づき、すべての業務にあたる。日々の取材活動や番組制作はもとより、NHKの予算・事業計画の国会承認を得るなど、放
送とは直接関係のない業務にあたっても、この基本的な立場は揺るがない」と定めています。ちなみに、貴職も先刻ご承知のことと思いますが、経営委員も
NHKの役員です(「放送法」第49条)。
〔質問2〕 「国会で予算を通さなければ、業務を執行できないので、政治との関係は大切である」という貴職の発言は、「NHK放送ガイドライン2015」の上記の定めと、どのように整合するのか(抵触しないのか)、わかりやすく、ご説明ください。
3. 原発再稼働に関する貴職の発言について
貴職は、経営委員に就任された2010年12月11日以降も、原発再稼働を強く促す発言を繰り返されました。たとえば、2012年の総選挙の大きな争点と
して「原発政策」が浮上している最中に、福岡市で、「原発を全廃すれば、電気料金が2倍となり、日本の産業は死ぬ」とまで述べ、原発の早期再稼働を訴え、
再生可能エネルギーは原発の代替電源となり得ないとの考えを強調。民主党が掲げる「2030年代の原発ゼロ」について「日本国家が潰れ、失業者だらけにな
る。」と批判したと報じられています(産経新聞11月30日)
しかし、「経営委員会委員の服務に関する準則」は第2条で、「経営委員会委員は、
放送が公正、不偏不党な立場に立って国民文化の向上と健全な民主主義の発達に資するとともに、国民に最大の効用と福祉とをもたらすべき使命を負うものであ
ることを自覚して、誠実にその職責を果たさなければならない」と定めています。
〔質問3〕 NHK経営委員にも言論の自由が保障されていることは当会も重々、承知しています。しかし、上記のような経営委員の服務準則に照らせば、たと
え放送に直結する場面でないにせよ、世論が二分される原発再稼働の可否について、一方の見解に偏した発言をNHKの最高決議機関の長が繰り返せば、NHK
の政治的公平について視聴者・国民の間から疑念が生まれることは避けられません。
貴職は、今後、こうした特定の政治的立場を支持し、広報する言動を慎まれるべきだと当会は考えます。貴職のお考えをお聞かせ下さい。
4. 「日本会議福岡」の名誉顧問に就任されている件について
「日本会議福岡」のHPに掲載された「役員の紹介」欄を見ますと、貴職は同会議の「名誉顧問」と記載されています。
しかし、同会議のHPに掲げられた「推進事業」を見ると、「わが国の中心的慰霊施設である靖國神社への首相の参拝を支持し、政治的施設である国立追悼施設
建設に反対。英霊の方々を追悼し顕彰する行事を毎年開催」、「占領軍の圧力によって制定された現行憲法も約60年。制定過程や内容、わが国を取り巻く現在
の諸情勢からも憲法改正は必至。毎年5月3日は憲法講演会を開催」などが掲げられています。これを見ると、日本会議は、特定の政治的立場を鮮明にした団体
というにとどまらず、忌まわしい侵略戦争に対する痛恨の反省の上に築きあげられた戦後の民主主義体制を敵視する団体であると見なして間違いありません。
〔質問4〕 貴職が、上記のような事業を進める「日本会議福岡」の名誉顧問の職にとどまることは、公共放送を監督する組織の長として不適切であり、直ちに名誉顧問の職を退かれるべきだと当会は考えます。貴職のお考えをお聞かせ下さい。
5. 2014年7月に貴職が福岡市内で行われた安倍首相と九州財界人との会食に出席され、川内原発の早期再稼働を要請された件について
複数の報道によると、2014年7月18日に、当時、NHK経営委員だった貴職は、福岡市内で開かれた安倍首相と九州財界人との会食に出席されています。その席で九州財界人が川内原発の早期再稼働を要請されたのに対し、安倍首相は「川内は何とかする」と答えたと伝えられています。また、会食後、貴職は首相とのやりとりを記者団に明かしたとも報道されています。
〔質問5〕 貴職が安倍首相との会食に出席し、世論が分かれている川内原発の再稼働をめぐって議論を交わし、早期の再稼働を要請されたこと、さらに、九州の財界人あるいは安倍首相のスポークスマンのようなふるまいをされたことは、政治的公平、政治からの自主・自律を生命線とするNHKの監督機関の委員としてあるまじき行為です。貴職は今、そのようなかつての言動を悔い改める意思を持っておられるかどうか、お聞かせください。
以上
──────────────────────────────────────
<申し入れメモ>
石原経営委員長選出に関して二つの質問書を提出(報告)
7月8日(金)14:00~14:35
本日、視聴者コミュニティでは二人が渋谷に出向いて、経営委員会事務局副部長に補足説明をして以下の質問書を手交しました。
≪参加≫
NHK: NHK経営委員会事務局 副部長
NHK広報局視聴者部 副部長
視聴者コミュニティ:醍醐共同代表、渡邉運営委員
≪提出した2通の質問書≫
■経営委員会(全経営委員)宛て
「新しい経営委員長選任に関する質問書」
~経営委員長選任にあたって、経営委員に対し、政権・与党から働きかけがあったとの報道について~
■石原進経営委員長宛て
「貴職の経営委員長就任にあたっての質問書」
1.籾井勝人氏を会長に推薦された貴職の責任について
2.政府・与党、政治からの自立に関する貴職の見解について
3.原発再稼働に関する貴職の発言について
4.「日本会議福岡」の名誉顧問に就任されている件について
≪主な質疑≫
Q(視聴者コミュニティ):各経営委員宛ての封筒には2通の質問書と共に、引用した朝日新聞の記事のコピーも同封してある。更に、質問書の補足説明としてこの場での口頭のやり取りのメモも各経営委員に届けていただきたい。
A(経営委員会事務局):できるだけご希望に沿うようにやりたい。
Q:最初に経営委員会宛て質問書について、
添
付の新聞記事によれば「『政権・与党サイドの関係者から、石原氏を推薦するよう求められた』と打ち明ける。」とある。事実関係を確認したい。もし、これが
事実であるならば「服務に関する準則」や「ガイドライン2015」に照らして、毅然と拒むべきだ。経営委員会としてどのような対処をしたか?「個々人の問
題だ」として、「経営委員会は知らん顔」では済まない。経営委員会の自主・自律が問われる問題だ。
仮に、この記事が事実でないなら、新聞社に対して記事の撤回と謝罪を求めるべきだ。
A:7月19日までに回答とあるが、期日は約束できない。
Q:時間が必要なら回答までの期日にこだわらない。しかし、経営委員が集まればその場で確認できることではないか? 委員会として対応する方向なら直ちに回答出来る筈だ。よろしく!
~石原委員長あて質問書について~
Q:4項目の質問事項について
1.籾井勝人氏を会長に推薦された貴職の責任について ⇒責任を感じているなら今後どのように対処するかハッキリせよ。
2.政府・与党、政治からの自立に関する貴職の見解について ⇒「国会で予算の承認を得ないと業務をできないから政治(政権・与党?)との関係は大切だ」という発言は「ガイドライン2015」に抵触しないと考えるのか?
3.原発再稼働に関する貴職の発言について ⇒経営委員になった後も原発再稼働の発言が際立つ。慎むべきと思わないのかどうか?
4.「日本会議福岡」の名誉顧問に就任されている件について ⇒経営委員である間はこのような役職は辞めるべきだが、どう考えるか?
≪補足≫
Q:①石原委員長の就任について、全国紙の他、信濃毎日新聞なども取り上げているが、このような新聞記事は経営委員に届けているか?
A:出来る限り届けるようにしている。ただ、信濃毎日までとなると・・・・
Q:
経営委員会の会議録を見ると多くの発言は一問一答で、誰がどのような発言をしたか分かるが、時には発言者名が省かれ、議事要旨のような記録になって、議論
の様子が分からないことがある。今回の石原委員長選任については各経営委員の意思表明として大変重要だ。匿名発言にならない記録を要望する。
A:(委員会に)お伝えします。
<2016.7.8 渡邉記>
──────────────────────────────────────
朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASJ784VM3J78UCVL01G.html 当会は7月8日、渋谷のNHKに出向いて、以下の二つの質問書を手交しました。
「3年前のNHK会長推薦、説明を」 市民団体が質問書
2016年7月8日20時12分
NHKの経営委員長に就任したJR九州相談役の石原進氏が3年前、NHK会長を選任する経営委員会で籾井勝人氏を推薦したとされる経緯について、市民団体「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」は8日、籾井氏推薦の責任と次期会長選考にあたっての見解を求める質問書を、経営委事務局に提出した。
籾井氏は来年1月に任期満了となるため、経営委では今月中にも、石原氏を中心に籾井氏の再任も含む次期会長の選考を始める。質問書では「(籾井氏を)推薦した当事者としてどのように責任を感じ、次期会長選考にその反省をどう生かすか説明を」としている。
また、石原氏が憲法改正運動を進めて安倍政権を支持する「日本会議福岡」の名誉顧問に就いていることについて、「公共放送を監督する組織の長として不適切」と指摘。同職を退くかどうか見解を求めた。
| 固定リンク
「NHK経営委員会」カテゴリの記事
- 「籾井会長退任後の当会の運動の進め方」について(2016.12.26)
- 11月21日 第4次集約をNHKに提出しました。「次期NHK会長選考にあたり、籾井現会長の再任に絶対反対し、 推薦・公募制の採用を求めます」 署名活動(2016.11.22)
- 11月7日 第3次集約をNHKに提出しました。「次期NHK会長選考にあたり、籾井現会長の再任に絶対反対し、 推薦・公募制の採用を求めます」 署名活動(2016.11.07)
- 10月11日 第2次集約をNHKに提出しました。「次期NHK会長選考にあたり、籾井現会長の再任に絶対反対し、 推薦・公募制の採用を求めます」 署名活動(2016.10.12)
- 総理大臣宛の要望書を本日内閣府に手交してきましたのでご報告いたします。(2016.10.07)
コメント