« 2016年5月 | トップページ | 2016年8月 »

2016年7月

2016年7月23日 (土)

NHK経営委員会からの「回答」があり、それへの「返書」を提出しました。

当会は7月8日に、
・石原進NHK経営委員長宛ての質問書(追補版)  
・経営委員会(全経営委員)宛ての質問書
を提出しましたが、7月19日付(21日到着)で回答を受領しました。
回答文書を貼り付けます。
──────────────────────────────────────
Kaito20160719_2
ご覧のとおり、「回答」とは名ばかり、実質は「迂遠な回答拒否」です。そこで、当会は本日、下記のような「返書」を経営委員各位宛てに発送しました。
  
「視聴者からの付託責任の自覚と履行を強く要求します
                   ~7月19日付のご回答を読んで~」

     →PDF
下記に貼り付けます。
──────────────────────────────────────

NHK経営委員会 御中                                2016年7月23日
NHK経営委員  各位

       視聴者からの付託責任の自覚と履行を強く要求します
              ~7月19日付のご回答を読んで~
                                 
            NHK を監視・激励する視聴者コミュニティ
                                     共同代表 湯山哲守・醍醐 聰
                                                                     http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/blog/

 当会が7月8日付で貴委員会ならびに石原進・経営委員長宛てに提出した質問書について、7月19日付の回答を受領しました。
 しかし、その内容は、以下、述べるように、「婉曲な回答拒否」というにふさわしい不誠実なものです。そこで、抗議の意思をお伝えすると同時に、貴委員会、というより、委員各位の自覚を強く要望する返答をお送りします。      

  ご回答は、当会が経営委員会宛てに提出した1つの質問、石原経営委員長宛てに提出した5つの質問のどれにもまったく無回答です。その理由として、回答では、「経営委員会としての考え方につきましては、経営委員会議事録および経営委員会終了後の記者ブリーフィング、国会における答弁などで公表しており、個 別のご意見、申し入れなどに対する回答は差し控えさせていただいております」と記されています。  


1. 視聴者からの付託責任を没却した無回答の理屈付け

  当会は貴委員会から、このような回答を何度か受信してきました。その都度、お伝えしたことですが、質問書をまとめるにあたっては、それに関連する「経営委 員会議事録および経営委員会終了後の記者ブリーフィング、国会における答弁」に目を通しています。これらのどこを見ても当会が重大と考えた問題についての 貴委員会の見解が見当たらなかったからこそ、質問書を提出してきたのです。
 今回の石原経営委員長宛ての〔質問1〕(籾井勝人氏を会長に推薦され た貴職の責任について)について言えば、質問書の中で記したように、「経営委員会議事録を読むかぎり、〔石原氏が〕籾井会長を諫め、厳重に指導監督する発 言をされた場面は皆無」だったため、石原委員長に直接、質問したのです。
 また、7月12日付の石原委員長の記者ブリーフィング(7月15日公表)を見ても、当会が提出した質問書に対する回答にあたるものは皆無です。
 この間、国会は休会中で、当会の質問書に関する質疑が交わされる場がないことは明らかです。そもそも、国会での答弁を以て視聴者団体からの質問への回答に代えるという発想自体、視聴者からの付託責任を顧みない曲論です。

2. 自らがコンプライアンスを遵守することが先決

 「放送法」第27条は、 「協会は、その業務に関して申し出のあつた苦情その他の意見については、適切かつ迅速にこれを処理しなければならない」と定めています。主語は「協会は」 となっていますが、NHKの役員である経営委員各位が、その中に含まれることは間違いありません。貴委員会の今回の回答が、視聴者から申し出があった苦情 その他の意見に対する不適切で不真面目な処理であることは、上記1から明らかです。
 「NHK倫理・行動憲章」は、「視聴者のみなさまの信頼を大切にします」と謳っています。貴委員会の今回の回答が「視聴者のみなさまの信頼を大切にし」ないものであることは明らかです。
 「NHK行動指針」は、 視聴者からの「お問い合わせには、迅速、ていねいにこたえます。ご意見、ご要望は真摯(しんし)に受け止め、番組制作や事業活動に生かします」と謳ってい ます。貴委員会の今回の回答が、視聴者からの質問を真摯に受け止めず、それにていねいに答えないものであることは明らかです。
 経営委員会はNHK執行部に対し、コンプライアンスの徹底を幾度も促されています。それには、貴委員会自身がコンプライアンスを遵守されることが先決です。

3. 視聴者からの付託責任に関する自覚なしに職責は果たせません

 今回、当会は、経営委員各位に、経営委員会宛ての質問書と併せ、石原経営委員長宛ての質問書も同封しました。ところが、送られてきた回答は本文わずか8行の1つの文書です。また、回答者は「日本放送協会経営委員会事務局」と記されています。
  しかし、回答という以上、2つの質問書ごとに回答を用意されるのが社会常識です。また、回答にあたっては、質問書の宛先を回答者とするのが社会通念です。 代筆なら、その旨を付記するのが作法です。これら通念、作法のいずれにも反する回答は、形式面とはいえ、視聴者を侮る対応と言わなければなりません。今後 の善処を強く要求します。

4. 今後の視聴者対応に関する申し入れ

 貴委員会は、個別の団体、個人からの要望や質問に個々に答えないという見方をされているのかも知れません。それについて、当会は次のように考えていることをお伝えします。 

(1) 当会が貴委員会に提出する質問書は、当会の特殊な関心にもとづくものではなく、多くの視聴者が共有する疑問、意見を考慮し、それらを代弁したいという意識 にもとづくものです。あるいは、受信料で成り立つ公共放送としてのNHKの存立意義と直結するものです。したがって、個別の団体からの質問には応じないと いう説明は、当会に対する応答責任の不履行というにとどまらず、視聴者全体に対する貴委員会の付託責任をないがしろにするものです。

(2)上記1の理由から、当会が提出した質問へのご回答は、当会宛てにいただくのに代えて、貴委員会のHP等で公開していただくことに何ら異議はありません。むしろ、そのような公開こそ、視聴者第一主義の理念にかなうものであり、当会としても大いに歓迎します。

(3)経営委員会の活動状況の透明性を高める意味から、この際、当会は、経営委員会(会合)それ自体の公開(当面は報道関係者への公開)とインターネット中継を要望します。                          以上

──────────────────────────────────────
NHK視聴者部と事前に連絡をとり、来週火曜日(7月26日)に開かれる次回経営委員会に間に合うよう、経営委員会事務局を通じて各経営委員に届けるもらうことになっています。
念のため、それぞれの文書の構成を再掲します。
──────────────────────────────────────
石原経営委員長宛て質問書 →PDF
①籾井勝人氏を会長に推薦した石原氏の責任について 
②政府・与党、政治からの自立に関する貴職の見解について 
③石原氏が原発再稼働を求める発言を繰り返してきたことについて 
④「日本会議福岡」の名誉顧問を辞する意思があるか否かについて(注:すでに辞職した模様です)
⑤石原氏が安倍首相と九州財界人との会食に出席し、川内原発の早期再稼働を要請した件について

経営委員会(全経営委員)宛て質問事項→PDF  
*経営委員長選任にあたって、経営委員に対し、政権・与党から働きかけがあったとの報道の真偽

本日、発送した経営委員宛て「返書」→PDF  
*視聴者からの付託責任を没却した無回答の理屈付け 
*自らがコンプライアンスを遵守することが先決 
*視聴者からの付託責任に関する自覚なしに職責は果たせません 
*今後の視聴者対応に関する申し入れ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年7月14日 (木)

新体制の経営委員会、経営委員長に要求書を再度提出してきました。

NHK経営委員会は6月20日、再任を含めた新しい経営委員5人が就任しました。また6月28日には、新しい経営委員長に石原進氏が選出されました。→NHK経営委員一覧  石原新経営委員長 
私達は今まで出した要求書を新体制の経営委員会に徹底させるため再度提出することにし、
7月11日、NHK放送センターに出向きました。

──────────────────────────────────────
NHK面会レポ-ト            
2016年7月13日

 2016年7月11日、各地の9つの市民団体、10名がNHK放送センターへ出向き、27の市民団体が連名した次期NHK会長選考に関する再度の申し入れを提出しました。以下は、その面会の模様をまとめたレポートです。
≪出席者≫
NHK: NHK経営委員会事務局副部長
          NHK広報局視聴者部副部長
  
市民団体:
アクティブ・ミュ-ジアム『女たちの戦争と平和資料館』(
wam
日本ジャ-ナリスト会議
放送を語る会
NHK問題大阪連絡会
NHK問題を考える岡山の会
NHK問題を考える会(兵庫)
NHKとメディアを語ろう・福島
「戦争と女性への暴力」リサ-チ・アクションセンタ-(VAWW RAC)
NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ

≪市民団体から提出した文書≫ 

提出団体 提出先 文書名
27団体連名 NHK経営委員会 次期会長の選任にあたって、真に公共放送にふさわしい会長が選ばれるよう、選考過程の抜本的改革を求めます」(再度の提出)
NHKとメディアを語ろう・福島 NHK経営委員会 新しい経営委員・渡邉博美氏の選任に関する質問書
NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ 石原進経営委員長 貴職の経営委員長就任にあたっての質問書(差し替え版)

 ≪主な発言≫

*(醍醐) この面会でのやりとりは、応対していただく経営委員会事務局の方で記録をとっていただき、提出する申し入れ文書を補足するものとして経営委員に届けていただくよう、お願いしたい。
*(経営委員会事務局) 私1人でメモを取るのはたいへんなので、同席している視聴者部と一緒にメモをとって、ご要望に沿うようにしたい。

*(小滝) 籾井会長(長谷川・百田経営委員)の罷免を求める署名の第15次集約(5/10~7/10)で 554筆を集約したので提出する。2014年2月署名開始以来の累計は7万9893筆になった。
*(小滝) 続いて、今年の5月に提出した次期会長選考に関する再度の申し入れ文書を提出する。連名団体は1つ(NHK前橋抗議行動の会)増えて27団体となった。      

*今回の参議院選挙では、「支持する政党なし」が多かった。これは政党の動きを伝えない、隠す、メディアの責任が大きいと感じる。
50パーセント台の低い投票率が続いているが、これを引き上げるためにも公共放送として努力をしてほしい。
*NHKの報道を見ていると国策をどう伝えるかを意識したものが多いと痛感する。

* 籾井会長は「『慰安婦』は戦争をしているどこの国にもあった」と言い、「慰安婦」番組を作らないのかと問われれば「政府のスタンスが見えないので慎重 に…」と述べて、彼が安倍首相と同じ歴史観(=歴史修正主義)を持ち、NHKは政府広報であると表明してしまった。これはジャーナリズムの自己否定だ。海 外からも厳しく見られている。このような人にNHKの会長はやってほしくない。
*2000年に開催した女性国際戦犯法廷の報道で、NHKが番組改ざんしたので、松井やよりさんは「国民の知る権利」が侵されてはならないと裁判を起こした。
安倍政権以降のNHKの番組に国民の知る権利がどれくらい実現しているのか、たいへん疑問。
 2年続けて国会で会長選考のあり方について付帯決議がされたことを経営委員会はしっかり受け止めてほしい。

*経営委員会のことを視聴者はほとんど知らない。経営委員会の会合が公開されていないことも大問題だ。経営委員の中にジャ-ナリズム出身の人がいないのはおかしい。
今、イギリスではブレア政権がイラク戦争に参戦した経緯を検証する作業が進められているが、NHKはこの動きをまったく伝えていない。
*受信料を払う視聴者は、NHKは自分のものだと考え、いわばNHKの株主としてNHKをよ
く しようと自覚することが大切だと思っている。経営委員は視聴者の代表だ。以前、関西代表として経営委員を務められたNさんと何度か自主的な懇談会を持っ た。その後で、年数回の「経営委員と視聴者が語る会」が始まった。しかし、最近は参加人数を制限したり、抽選で決めたりしている。もっと視聴者とのつなが りを大事にしてほしい。

*私たち「岡山の会」の活動の重点は、NHKや報道に関する情報について、「各種の入手情報をできるだけ広く伝える」こととしている。もちろん、NHKに関する情報が主である。全国の学者仲間に伝える、ということ。
その情報源として、各地でNHK問題に取り組んでいる市民団体から発信される情報、沖縄紙からの情報、所属する学会情報などである。
沖 縄と福島は、今回の参院選でも、現役の大臣を落選させた。片や基地、片や原発問題を抱え、住民の人権の意識が大きく、現政権の大臣だというだけの形式に左 右されず、人びとに主権者としての自覚があることの反映だと思える。沖縄紙は、情報源を世界から求めており(有識者の意見も世界から集めており、例えば チョムスキーやストーン氏ら)、日常的に好ましい報道姿勢があると思う。

*経営委員長と委員長職務代行者が安倍政権と直結の人に替わった。NHKの局内では息苦しい空気になっていると聞く。
九州の財界人と安倍首相が会食し、その場で安倍首相は「川内原発はなんとかする」と発言したと伝えられている。その会食にNHKの経営委員長が出席したそうだが、自主自律の立場で対応せず、安倍政権と直結するようではNHKはたいへんなことになる。
* 私たちは籾井氏の再任は許さない。経営委員会は、収支を改善したことなどを籾井会長の功績と評価しているが、それは営利企業の場合の実績であり、NHKに 当てはめるのはおかしい。「原発報道は公式発表をベ-スに」と発言した籾井氏はNHKの会長として失格だ。前回の会長選考の時のことをある経営委員は、当 日、初めて面会で知った、と話している。
これで十分な選考がされたとは思えない。面接制と公募制・推薦制を採用してほしい。
*放送法では 会長を経営委員の3分の2以上の同意で選考すると決められている。しかし、1人に絞るまでの選考基準、選考方法、選考手続きについては何も定めはないか ら、経営委員会がその気になれば、私たちが今日の申し入れで要望している推薦制を含む公選は今の放送法のままでも採用できる。

*(視聴者 コミュニティ)7月8日に石原経営委員長宛てに質問書を提出したが、その後の調べで、2014年7月18日に当時、経営委員になっていた石原氏が九州の財 界人の1人として安倍首相と会食し、その場で川内原発の早期原発を要望していたことがわかった。これは経営委員としてあるまじき行動なので、先の質問書に この点を追加した版を今日、提出する。これに差し替えて石原委員長ほか経営委員に届けてほしい。
*今日は参加しておられないが、「NHK問題を考える奈良の会」から伝言を依頼されているので、お伝えする。以下は私も同意見。
 さきほど、少し発言があったが石原氏は、受信料の収納率の向上などによるNHKの収支の状況の改善を籾井会長の功績と評価している。しかし、その背景には、 NHKから受信料収納業務を委託された営利企業が強引で乱暴な取り立てをしているという実態がある。これについては経営委員会でも指摘されている。
さらに、最近NHKは、訳ありで受信料の支払いを停止している視聴者も区別せず、支払い停止の理由に耳を傾けることなく、裁判に訴えると迫るやり方もしている。今、奈良では、裁判所を通じて支払い督促を受けたある視聴者が、裁判で争うという出来事が起こっている。
NHKは簡易裁判所で処理するよう求めたが、簡裁は、<被告(視聴者)は受信料制度と受信契約の本質を正面から争う意向である。そうした問題は迅速な処理をする簡裁でではなく、地裁で審理するのがふさわしい」という理由で地裁に移した。
経営委員会もこうした裁判が今、進行中であること、そこでは「受信料は特殊な負担金」と主張するNHKの考え方が争点になっていることを知ってほしい。その上で、収納率を改善しただけで会長の手腕を評価するのではなく、次期会長の資質をよく検討してほしい。

* (福島の会)今回、東北を代表する経営委員として渡辺博美氏が選任されたが、渡辺氏の肩書を調べると、「全国防衛協会連合会」の主要役員に就任している。 この会は<防衛意識の高揚を図り、・・・・自衛隊の活動を支援・協力することを目的とする民間の全国組織>である。さらに、渡辺氏には「福島県自衛隊協会 会連合会会長」の肩書もある。このような肩書を持つ人物をNHKの経営委員に登用するのは慎重であるべきと考え、次のような質問書を石原経営委員長、渡辺 博美氏、経営委員各位に提出する。

「質問① 国民の民意を代表する国会に提出されたNHK経営委員会作成の渡邉博美氏に関する<任命理由><略歴>にこの事実が記載されなかったのはいかなる理由からでしょうか。
質問② 渡邉博美委員はNHK経営委員の任期中は「全国防衛協会連合会」及び防衛協会連合会会長」の組織から退かれるべきと当会は考えます。渡邉博美氏のご回答を求めます。」 

*(経営委員会事務局)今のお話にあった渡邉博美氏に関する<任命理由><略歴>は経営委員会が作成したものではないので、その部分は直させてもらいたい。
*政府が国会へ候補者リストを提出する時に作成したものだと思う。
*(経営委員会事務局)そういうことです。
最後に、経営委員会事務局副部長から出席者に対し、あいさつと感想が述べられた。                                       以上
──────────────────────────────────────
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-07-13/2016071315_03_1.html
NHKは会長選考改革を   全国27市民団体共同で要請      2016年7月13日(水)

  来年1月に任期が切れる籾井勝人NHK会長の後任選考が本格化するのを前に、全国27の市民・視聴者団体は11日、NHK経営委員会(石原進委員長)に対 し、「真に公共放送にふさわしい会長が選ばれるよう、選考過程の抜本的改革を求めます」との要請文を共同で提出しました。
 要請したのは、放送を語る会やNHKを監視・激励する視聴者コミュニティ、日本ジャーナリスト会議ほか、全国で活動するNHK問題を考える視聴者・市民団体。

 NHK会長は、経営委員12人のうち9人以上の賛成で任命されます。同委ではこの夏にも選考のための指名部会を立ち上げ、候補者をあげていくとしています。
  要請文では、(1)籾井現会長の再任は絶対にしてはならない(2)公募制・推薦制の導入など、選考過程に視聴者・市民の意思を広く反映させる(3)会長の 資格要件に「NHKのジャーナリズム機能についての見識を持ち、政治権力からの自主・自立を貫ける人物」といった条項を加える―の3点を求めています。

  また、NHKの今年度予算が国会で承認された際、付帯決議に「公共放送の会長にふさわしい資質・能力を兼ね備えた人物が適切に選考されるよう、選考の手続 きの在り方について検討すること」とした文言が2年続けて加えられたと指摘。「籾井会長の選任過程を問題視したものであることは明らか」だとのべていま す。
-----------------------------------------



| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年7月 8日 (金)

二つの質問書を提出 ~経営委員長選任にあたって、経営委員に対し、政権・与党から働きかけがあったとの報道について~、「石原進氏の経営委員長就任にあたっての質問書」

当会は7月8日、渋谷のNHKに出向いて、以下の二つの質問書を手交しました。
質問書の概要は以下の通りです。(PDF添付して下記に貼り付け)

■経営委員会(全経営委員)宛て→PDFはこちら
 「新しい経営委員長選任に関する質問書」
  ~経営委員長選任にあたって、経営委員に対し、政権・与党から働きかけがあったとの報道について~

■石原進経営委員長宛て→PDFはこちら
 「貴職の経営委員長就任にあたっての質問書」
  1.籾井勝人氏を会長に推薦された貴職の責任について
  2.政府・与党、政治からの自立に関する貴職の見解について
  3.原発再稼働に関する貴職の発言について
  4.「日本会議福岡」の名誉顧問に就任されている件について
──────────────────────────────────────
NHK経営委員会 御中                 2016年7月8日
NHK経営委員  各位

         新しい経営委員長選任に関する質問書

~経営委員長選任にあたって、経営委員に対し、政権・与党から働きかけがあったとの報道について~

               NHK を監視・激励する視聴者コミュニティ
                共同代表 湯山哲守・醍醐 聰
                http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/blog/
  
  経営委員の皆様におかれましては、重責の職務にご多用の日々をお過ごしのことと存じます。
 6月28日、貴委員会は全員一致で石原進氏を新しい経営委員長に選任されましたが、この件について、当会は経営委員会の自律性、視聴者からの信頼性に照らして以下のような黙過できない報道に接しました。
 また、6月28日の経営委員会終了後に行われた記者会見における石原委員長の発言の中にも黙過できない点がありました。
そ こで、当会は石原委員長に関わる点は別途、同氏宛てに質問書を提出しますが、以下は経営委員全員に関わる問題ですので、経営委員会宛てに質問をいたしま す。問題の重要性に照らし、この質問について、書面で7月19日までに別紙宛てにご回答くださるよう、お願いいたします。

 6月29日の「朝日新聞」朝刊は、新経営委員長選任の経緯を伝えた記事の中で次のように記しています。

 「一方、経営委員の1人は、『政権・与党サイドの関係者から、石原氏を推薦するよう求められた』と打ち明ける。ある政権幹部は『次の会長の人選を考慮すると、石原氏の方がより政府・与党の影響を反映しやすいと判断した』と語る。」

  委員各位は先刻ご承知のことと思いますが、「経営委員会委員の服務に関する準則」は第2条で、「経営委員会委員は、放送が公正、不偏不党な立場に立って国 民文化の向上と健全な民主主義の発達に資するとともに、国民に最大の効用と福祉とをもたらすべき使命を負うものであることを自覚して、誠実にその職責を果 たさなければならない」と定めています。
 また、「NHK放送ガイドライン2015」は、「全役職員は、放送の自主・自律の堅持が信頼される公共放送の生命線であるとの認識に基づき、すべての業務にあたる。日々の取材活動や番組制作はもとより、NHKの予算・事業計画の国会承認を得るなど、放送とは 直接関係のない業務にあたっても、この基本的な立場は揺るがない」と定めています。ちなみに、「放送法」第49条で明記されているとおり、経営委員も NHKの役員です。

〔質 問〕 経営委員各位の中で、「朝日新聞」の上記の記事が記したように、政権・与党サイドの関係者から、石原氏を推薦するよ う求められた方がおられるのであれば、そうした働きかけはNHKの自主自律を根本から踏みにじる行為であり、働きかけを受けた経営委員は、「経営委員会委 員の服務に関する準則」第2条ならびに「NHK放送ガイドライン2015」に照らして、毅然とこれを拒む必要があります。働きかけを受けられた経営委員 は、働きかけにどのように対処されたか、経営委員会として全経営委員に確認のうえ、ご回答ください。

〔申し入れ〕 経営委員各位の中で、「朝日 新聞」の上 記の記事が記したような、政権・与党サイドの関係者から、石原氏を推薦するよう求められた方がおられないということが確認できたのであれば、記事の中の当 該指摘は経営委員会の信頼を著しく傷付ける誤報ということになります。そうであれば、経営委員会名で朝日新聞に記事の撤回と謝罪を求められるよう要望しま す。貴委員会がこの要望にどう応えられたかをお知らせください。
                           以上
──────────────────────────────────────

NHK経営委員会                   2016年7月8日
委員長 石原 進 様
同報 経営委員 各位
         
貴職の経営委員長就任にあたっての質問書

                   NHK を監視・激励する視聴者コミュニティ
                      共同代表 湯山哲守・醍醐 聰
                    http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/blog/

  6月28日に開催されたNHK経営委員会で貴職は全員一致で新しい経営委員長に選任されました。この機会に当会は、貴職に対し、一連の質問をさせていただ きます。経営委員長としての重責を担われ、ご多忙の日々をお過ごしのことと思いますが、今回の質問はどれもNHK経営委員会の自主自律、視聴者・国民から の信頼に直結する、きわめて重大な問題ですので、書面で7月19日までに別紙宛てにご回答くださるよう、お願いいたします。

1.籾井勝人氏を会長に推薦された貴職の責任について
  籾井勝人氏はNHK会長に就任以降、「政府が右と言う時、左とは言えない」、「NHKが従軍慰安婦問題をどのように扱うかは政府のスタンスが決まらないと 定まらない」、「原発報道は、国民の不安をかき立てないよう、公的発表をベースにしてほしい」等々、NHKを政府の広報機関かのように見なす発言を繰り返 してきました。また、私的なハイヤー代を一時的とはいえ、NHKに立て替えさせるなど、公共放送の信頼を失墜させるような行為もありました。 

〔質 問1〕 経営委員会が籾井勝人氏をNHKの会長に選任する際、貴職が同氏を推薦され、籾井氏の会長選任を主導された経緯については衆目の一致した見方です。しか し、その籾井会長が上記のような公共放送の信頼を失墜させるような言動を繰り返したにもかかわらず、貴職は、経営委員会会議録を読むかぎり、籾井会長を諫 め、厳重に指導監督する発言をされた場面は皆無です。そのような貴職が経営委員長として次期会長選考のとりまとめ役を務められることに当会は強い懸念と違 和感を覚えます。  
   貴職は籾井氏をNHK会長に推薦された当事者として、どのように責任を感じておられるのか、次期会長選考に当たって、その反省をどのように活かすお考えなのか、明確にご説明ください。

 
2.政府・与党、政治からの自立に関する貴職の見解について
  6月29日の「朝日新聞」朝刊は、新経営委員長選任の経緯を伝えた記事の中で、石原氏は、籾井会長の言動が原因でNHKの新年度予算案が3年連続で全会一 致とならなかったことを挙げ、「次期会長の条件を『政権・与党との関係がしっかり築ける方がいい』と説明している」と記しています。
 また、貴職 は6月28日の経営委員会終了後に行われた記者会見の場で、「経営委員会が政権に近いのではないか、という指摘についてどのように考えているか」という質 問に対し、「経営委員会が政権と近すぎるとは思わない。ただNHKは国民の意思を反映している国会で予算を通さなければ、業務を執行できないので、政治と の関係は大切である」と答えておられます。
 しかし、「NHK放送ガイドライン2015」は、「全役職員は、放送の自主・自律の堅持が信頼される 公共放送の生命線であるとの認識に基づき、すべての業務にあたる。日々の取材活動や番組制作はもとより、NHKの予算・事業計画の国会承認を得るなど、放 送とは直接関係のない業務にあたっても、この基本的な立場は揺るがない」と定めています。ちなみに、貴職も先刻ご承知のことと思いますが、経営委員も NHKの役員です(「放送法」第49条)。

〔質問2〕 「国会で予算を通さなければ、業務を執行できないので、政治との関係は大切である」という貴職の発言は、「NHK放送ガイドライン2015」の上記の定めと、どのように整合するのか(抵触しないのか)、わかりやすく、ご説明ください。

3. 原発再稼働に関する貴職の発言について
  貴職は、経営委員に就任された2010年12月11日以降も、原発再稼働を強く促す発言を繰り返されました。たとえば、2012年の総選挙の大きな争点と して「原発政策」が浮上している最中に、福岡市で、「原発を全廃すれば、電気料金が2倍となり、日本の産業は死ぬ」とまで述べ、原発の早期再稼働を訴え、 再生可能エネルギーは原発の代替電源となり得ないとの考えを強調。民主党が掲げる「2030年代の原発ゼロ」について「日本国家が潰れ、失業者だらけにな る。」と批判したと報じられています(産経新聞11月30日)
 しかし、「経営委員会委員の服務に関する準則」は第2条で、「経営委員会委員は、 放送が公正、不偏不党な立場に立って国民文化の向上と健全な民主主義の発達に資するとともに、国民に最大の効用と福祉とをもたらすべき使命を負うものであ ることを自覚して、誠実にその職責を果たさなければならない」と定めています。

  〔質問3〕 NHK経営委員にも言論の自由が保障されていることは当会も重々、承知しています。しかし、上記のような経営委員の服務準則に照らせば、たと え放送に直結する場面でないにせよ、世論が二分される原発再稼働の可否について、一方の見解に偏した発言をNHKの最高決議機関の長が繰り返せば、NHK の政治的公平について視聴者・国民の間から疑念が生まれることは避けられません。
   貴職は、今後、こうした特定の政治的立場を支持し、広報する言動を慎まれるべきだと当会は考えます。貴職のお考えをお聞かせ下さい。


4. 「日本会議福岡」の名誉顧問に就任されている件について
 「日本会議福岡」のHPに掲載された「役員の紹介」欄を見ますと、貴職は同会議の「名誉顧問」と記載されています。
  しかし、同会議のHPに掲げられた「推進事業」を見ると、「わが国の中心的慰霊施設である靖國神社への首相の参拝を支持し、政治的施設である国立追悼施設 建設に反対。英霊の方々を追悼し顕彰する行事を毎年開催」、「占領軍の圧力によって制定された現行憲法も約60年。制定過程や内容、わが国を取り巻く現在 の諸情勢からも憲法改正は必至。毎年5月3日は憲法講演会を開催」などが掲げられています。これを見ると、日本会議は、特定の政治的立場を鮮明にした団体 というにとどまらず、忌まわしい侵略戦争に対する痛恨の反省の上に築きあげられた戦後の民主主義体制を敵視する団体であると見なして間違いありません。

〔質問4〕  貴職が、上記のような事業を進める「日本会議福岡」の名誉顧問の職にとどまることは、公共放送を監督する組織の長として不適切であり、直ちに名誉顧問の職を退かれるべきだと当会は考えます。貴職のお考えをお聞かせ下さい。              

5.  2014年7月に貴職が福岡市内で行われた安倍首相と九州財界人との会食に出席され、川内原発の早期再稼働を要請された件について

 複数の報道によると、2014年7月18日に、当時、NHK経営委員だった貴職は、福岡市内で開かれた安倍首相と九州財界人との会食に出席されています。その席で九州財界人が川内原発の早期再稼働を要請されたのに対し、安倍首相は「川内は何とかする」と答えたと伝えられています。また、会食後、貴職は首相とのやりとりを記者団に明かしたとも報道されています。

〔質問5〕 貴職が安倍首相との会食に出席し、世論が分かれている川内原発の再稼働をめぐって議論を交わし、早期の再稼働を要請されたこと、さらに、九州の財界人あるいは安倍首相のスポークスマンのようなふるまいをされたことは、政治的公平、政治からの自主・自律を生命線とするNHKの監督機関の委員としてあるまじき行為です。貴職は今、そのようなかつての言動を悔い改める意思を持っておられるかどうか、お聞かせください。 

              以上
──────────────────────────────────────
<申し入れメモ>
石原経営委員長選出に関して二つの質問書を提出(報告)
7月8日(金)14:00~14:35
本日、視聴者コミュニティでは二人が渋谷に出向いて、経営委員会事務局副部長に補足説明をして以下の質問書を手交しました。
≪参加≫
NHK: NHK経営委員会事務局  副部長
        NHK広報局視聴者部   副部長
視聴者コミュニティ:醍醐共同代表、渡邉運営委員
≪提出した2通の質問書≫
■経営委員会(全経営委員)宛て
 「新しい経営委員長選任に関する質問書」
   ~経営委員長選任にあたって、経営委員に対し、政権・与党から働きかけがあったとの報道について~
■石原進経営委員長宛て
 「貴職の経営委員長就任にあたっての質問書」
  1.籾井勝人氏を会長に推薦された貴職の責任について
  2.政府・与党、政治からの自立に関する貴職の見解について
  3.原発再稼働に関する貴職の発言について
  4.「日本会議福岡」の名誉顧問に就任されている件について

≪主な質疑≫
Q(視聴者コミュニティ):各経営委員宛ての封筒には2通の質問書と共に、引用した朝日新聞の記事のコピーも同封してある。更に、質問書の補足説明としてこの場での口頭のやり取りのメモも各経営委員に届けていただきたい。
A(経営委員会事務局):できるだけご希望に沿うようにやりたい。

Q:最初に経営委員会宛て質問書について、
添 付の新聞記事によれば「『政権・与党サイドの関係者から、石原氏を推薦するよう求められた』と打ち明ける。」とある。事実関係を確認したい。もし、これが 事実であるならば「服務に関する準則」や「ガイドライン2015」に照らして、毅然と拒むべきだ。経営委員会としてどのような対処をしたか?「個々人の問 題だ」として、「経営委員会は知らん顔」では済まない。経営委員会の自主・自律が問われる問題だ。
 仮に、この記事が事実でないなら、新聞社に対して記事の撤回と謝罪を求めるべきだ。
A:7月19日までに回答とあるが、期日は約束できない。

Q:時間が必要なら回答までの期日にこだわらない。しかし、経営委員が集まればその場で確認できることではないか? 委員会として対応する方向なら直ちに回答出来る筈だ。よろしく!

~石原委員長あて質問書について~
Q:4項目の質問事項について
1.籾井勝人氏を会長に推薦された貴職の責任について ⇒責任を感じているなら今後どのように対処するかハッキリせよ。
2.政府・与党、政治からの自立に関する貴職の見解について ⇒「国会で予算の承認を得ないと業務をできないから政治(政権・与党?)との関係は大切だ」という発言は「ガイドライン2015」に抵触しないと考えるのか?

3.原発再稼働に関する貴職の発言について ⇒経営委員になった後も原発再稼働の発言が際立つ。慎むべきと思わないのかどうか?
4.「日本会議福岡」の名誉顧問に就任されている件について ⇒経営委員である間はこのような役職は辞めるべきだが、どう考えるか?

≪補足≫
Q:①石原委員長の就任について、全国紙の他、信濃毎日新聞なども取り上げているが、このような新聞記事は経営委員に届けているか?
A:出来る限り届けるようにしている。ただ、信濃毎日までとなると・・・・
Q: 経営委員会の会議録を見ると多くの発言は一問一答で、誰がどのような発言をしたか分かるが、時には発言者名が省かれ、議事要旨のような記録になって、議論 の様子が分からないことがある。今回の石原委員長選任については各経営委員の意思表明として大変重要だ。匿名発言にならない記録を要望する。
A:(委員会に)お伝えします。
                                                         <2016.7.8 渡邉記>
──────────────────────────────────────
朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASJ784VM3J78UCVL01G.html

「3年前のNHK会長推薦、説明を」 市民団体が質問書
2016年7月8日20時12分
 NHKの経営委員長に就任したJR九州相談役の石原進氏が3年前、NHK会長を選任する経営委員会で籾井勝人氏を推薦したとされる経緯について、市民団体「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」は8日、籾井氏推薦の責任と次期会長選考にあたっての見解を求める質問書を、経営委事務局に提出した。

 籾井氏は来年1月に任期満了となるため、経営委では今月中にも、石原氏を中心に籾井氏の再任も含む次期会長の選考を始める。質問書では「(籾井氏を)推薦した当事者としてどのように責任を感じ、次期会長選考にその反省をどう生かすか説明を」としている。

 また、石原氏が憲法改正運動を進めて安倍政権を支持する「日本会議福岡」の名誉顧問に就いていることについて、「公共放送を監督する組織の長として不適切」と指摘。同職を退くかどうか見解を求めた。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2016年5月 | トップページ | 2016年8月 »