NHKから届いた回答、それに対する当会の見解
「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」は2月10日に籾井NHK会長宛に、同氏の会長辞任を求める申し入れ書を提出しました。
http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/blog/2015/02/post-8840-1.html
その際、次の2点の質問書を添えたところ、去る19日付でNHKより、回答が届きました。
質問1 タイムズ誌が報道した「オレンジブック」なる文書のなかで、NHKは「従軍慰安婦」報道にあたって「強いられた」との表現をしないと定めたのはなぜか?(注1)
質問2 2月5日に行われた会長定例会見の場で、「従軍慰安婦」問題の報道をめぐって記者と交わされた質疑の模様を、HPで公表された会長会見録に掲載しなかったのはなぜか?
当会の運営委員会は、NHKの回答を検討し、以下の見解をまとめました。NHKの回答は次の通り--------------------------------------------------------------------------
NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ
醍醐聰 様
2月10日に会長宛てのご質問を頂戴いたしましたが、会長に代わり視聴者のみなさまとの窓口となっている視聴者部より回答申し上げます。
お尋ねのイギリスのタイムズ紙の記事には明らかな事実誤認があります。NHKでは、ニュースの内容に応じて、適切な表現を使用することに努めておりますが、特定の内容に言及することを禁止していることはありません。
ご指摘のものは、ほかの報道機関でも行っているように、「用語や表現のしかたの統一」を図るため、従来より作成してきたもので、あくまでも放送現場で白律的に判断しています。政府などの見解に沿って作っているものではありません。
NHKでは、ニュースや番組で使う表現について、番組基準や放送ガイドラインに則って、常により適切な表現を使用するよう努めています。
また、ホームページへの掲載については、従来から、広報局の判断で、項目ごとに内容を要約しています。
以上、回答申し上げます。 平成27年2月19日
NHK広報局視聴者部副部長
山本健一
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2015年2月23日
NHKの回答に対する当会の見解
~2月定例会見における籾井会長の「従軍慰安婦」報道に関する発言をめぐって~
NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ
共同代表 湯山哲守・醍醐 聰
当会は、籾井NHK会長が2月の定例会見の場で出席した記者と交わした「従軍慰安婦」報道をめぐる質疑の中にNHK会長としてあるまじき発言があったことを重視し、2月10日に、籾井会長宛に直ちに会長職を辞するよう求める文書を提出しました。
その際、当会は上記の文書を提出するにあたって、関連する2つの質問も添えたところ、2月19日付でNHKから文書による回答が寄せられました。
当会の運営委員会において、この回答文書を検討した結果、さまざまな疑問と問題点が浮かび上がってきたため、以下のような見解をまとめ、当会の会員ほか、各方面にこれを公表することとしました。ご一読いただけましたら幸いです。
なお、この件も含め、当会は、この見解の末尾に記しましたように、最近のNHKのニュース報道の歪んだ実態を質す行動を近々に起こす準備をしています。
Ⅰ. 「従軍慰安婦」報道における用語の使用について
【当会の質問 要旨】
イギリスのタイムズ紙(電子版)は、入手したNHKの内部文書(国際放送用「オレンジブック」)を取り上げ、この文書の中で、NHKは原則として「従軍慰安婦」問題について説明を加えない、「強いられた」「性奴隷」といった用語は使わない、と記していると伝えた。
これについて籾井会長は昨年11月の会長会見でそうした文書が存在することを否定しなかった。
では、この文書で、「強いられた」という用語は使わないという指針をまとめたのはなぜか?安倍首相が国会答弁等で「強制的に集められた」「従軍慰安婦」はいないという見解を表明していることを考慮したからか? そうではなく、NHKの主体的判断でそうした用語を使わないことにしたのであれば、そうした判断の根拠(NHKの歴史認識)を示してほしい。
【NHKの回答 要旨】
タイムズ紙の記事には明らかな事実誤認がある。NHKでは、ニュースのなかで、特定の内容に言及することを禁止していることはない。質問で指摘された表現は、「用語や表現のしかたの統一」を図るため、従来より作成してきたもので、あくまでも放送現場で白律的に判断している。政府などの見解に沿って作っているものではない。
NHKでは、ニュースや番組で使う表現について、番組基準や放送ガイドラインに則って、常により適切な表現を使用するよう努めている。
【NHKの回答に対する当会の見解】
1. 昨年11月の定例会長会見でも、今回の回答でもNHKは、タイムズ紙が報道した「オレンジブック」なる文書の存在、および、その中で「従軍慰安婦」問題を扱う国際放送において「強制された」(be forced to)、「性奴隷」(sex slave)といった表現は用いないことにしているという事実を否定しなかった。
しかし、今日まで歴代政府が踏襲してきた「河野談話」では、「従軍慰安婦」が「本人の意に反して集められた例が数多くあり」、「官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった」と記されている。
であれば、NHKは歴代政府が踏襲してきたこのような歴史認識を表す「強いられた」という表現を用いない理由、その根拠として採用した歴史認識を明確にする説明責任がある。にもかかわらず、今回のNHKの回答にはこの点の説明が一切含まれず、当会の質問に対する回答になっていない。
2. そればかりか、「『用語や表現のしかたの統一』を図るため、従来より作成してきたもの」だというなら、なぜ、昨年10月3日付けで、「取扱注意・コピー厳禁」などと表記した文書を作成し、わざわざ「強いられた」という表現は用いないなどという指示を出したのか、不可解である。
Ⅱ. 「従軍慰安婦」報道をめぐる記者との質疑が会長会見録に記載されなかった件について
【当会の質問 要旨】
記者と籾井会長の質疑のうち、「従軍慰安婦」問題をめぐるやりとりが、当日付けでNHKのホームページに公表された会長会見録で一切、掲載されなかったのはなぜか?
【NHKの回答】
ホームページへの掲載については、従来から、広報局の判断で、項目ごとに内容を要約している。
【NHKの回答に対する当会の見解】
1. 会見の場での記者との質疑を公表文書として作成する際には、発言の本旨を変えない範囲で、話し言葉を平易な表現に改めたり、要約したりすることはあり得る。
しかし、NHK広報局の判断で、全体の質疑のうちのある部分を公表し、別の部分を公表しないなどといった手を加えることは、上記の裁量の限度を超えた恣意的編集(一種の改ざん)であり、視聴者の知る権利を侵害する行為であって、到底、容認できない。
こうした恣意的編集は、公共放送のトップの資質から隔絶した籾井会長の迷言が衆目の目に触れるのを回避しようとする意図のもとになされたものと疑われてもやむを得ない。
2. ちなみに、2月18日にNHKのホームページに公表された2月度の放送総局長会見録には、2月5日の会長会見で籾井会長が記者との間で交わした「従軍慰安婦」問題をめぐる質疑を受けて行われた板野放送総局長と記者との質疑が掲載されている。この点から言っても、会長会見録から「従軍慰安婦」問題をめぐる質疑の模様を削除した広報局の判断がいかに恣意的なものかは明白である。
3. 当会は、NHKが定時のニュース番組で2月5日の会長会見における籾井会長と記者との「従軍慰安婦」問題をめぐる質疑の模様、あるいは2月18日の民主党の会合において、国会議員と籾井会長が交わしたやりとりをまったく伝えなかった事実とあわせ、さまざまな方法を駆使して、NHKの広報と報道の偏向を正す取り組みを早急に手掛ける予定である。 以上
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(注1)
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