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2014年1月

2014年1月27日 (月)

籾井NHK会長の解任と、会長の自主的辞任を求めます。

視聴者コミュニティは本日(1月27日)の午後、NHK視聴者部を通じて、下記の2つの申し入れ文書をNHK経営委員会と籾井(もみい)NHK会長に提出しました。
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NHK経営委員会御中                                    2014年1月27日
       籾井NHK会長の解任を求める申し入れ
                 NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ
                  共同代表 湯山哲守・醍醐 聰

 貴委員会におかれましては、日頃より、NHKの公共放送として充実をはかるためご尽力されていることと存じます。
籾井会長発言の要旨
 1月26日の全国紙各紙朝刊によれば、籾井勝人・NHK会長は25日に開催された会長就任の記者会見で、放送法を順守すると発言する一方で、次の様な発言をしたとのことです。
 第一に、NHKが行う国際放送に関し、「領土問題については明確に日本の立場を主張するのは当然のこと。政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない。」
  第二に、「従軍慰安婦」問題について、「戦時中だからいいとか悪いとは言うつもりは毛頭ないが、この問題はどこの国にもあったこと」、「韓国は日本だけが 強制連行をしたみたいなことを言うからややこしい。お金をよこせ、補償しろと言っているわけだが、日韓条約ですべて解決していることをなぜむし返すのか。 おかしい。」
 第三に、安倍首相らの靖国神社参拝について、「総理の信念で行かれた。それをいい悪いという立場に私はない。昔の人は戦争に行くときに『死んで靖国に帰る』と送り出した。こう言う人たちが大勢いる」
 第四に、特定秘密保護法の取扱いについて、「一応決まったことをああだこうだ言ってもしょうがないんじゃないか。必要ならやる。あまりかっかすることはない。」

当会の評価
 こうした籾井会長の発言は、以下に述べる三重の意味で、同氏がNHK会長職に不適格な人物であることを示したものと考えます。

1. 「放送法」に照らして
  「放送法」は第1条3項で、本法の目的を「放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること」と定 め、第4条で「放送事業者は、・・・・放送番組の編集に当たつては、政治的に公平であること」を求めています。今回の籾井会長の、現政権の見解を代弁する に等しい一連の発言は、これら放送法の条項に反するものであり、放送法を率先して遵守すべき立場にあるNHK会長としてあるまじき発言です。

2. 「NHK放送ガイドライン」に照らして
  2011年に定められた「NHK放送ガイドライン」は冒頭で「報道機関として不偏不党の立場を守る」とし、「放送とは直接関係のない業務にあたっても、こ の基本的立場は揺るがない」と定めています。NHKの全役職員の先頭に立って、この不偏不党の立場を堅持すべき会長が、こともあろうに会長就任の記者会見 という職務遂行の場で時の政権の立場に寄り添うような発言をすることは、「NHK放送ガイドライン」に真っ向から反する暴言を吐いたものというほかありま せん。

 さらに、領土問題、靖国神社参拝問題の報道に関する籾井会長の発言は、「政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」という言葉に代 表されるように、政府の見解を追認し、代弁するものです。しかし、「NHK放送ガイドライン」は国際報道の基本姿勢として、「各国の利害が対立する問題に ついては、一方に偏ることなく、関係国の主張や国情、背景などを公平かつ客観的に伝える」と定めています。この点で、籾井会長の発言はアジア諸国に対する 日本の侵略責任を認めた村山談話を無視する一方で、国内でも異論が多い現政権の歴史認識を代弁するものであり、上記の「NHK放送ガイドライン」に背くも のです。また、「従軍慰安婦」問題についての発言は、河野談話によって日本政府の公式見解となり歴代内閣が踏襲してきた立場を真っ向から否定するもので す。
加えて、籾井会長の発言は、昨今、日韓・日中両国はもとより、アメリカや欧州諸国からも厳しく警告・批判されている日本政府の偏狭な歴史認識 を代弁するものですが、それは「NHK放送ガイドライン」が定めた「国際平和や、各国国民との相互理解、友好・親善の促進に貢献する」という規定にも逆行 するものです。

 次に、特定秘密保護法について、籾井氏は、通ったものをどうこういってもしょうがないと発言しましたが、同法案が成立した後に行 われた世論調査でも、法案の国会審議が「十分でない」という回答が76%、法案自体に「反対」が51%を占め、「賛成」の24%の2倍以上となっています (「朝日新聞」2013年12月7日調査)。また、同法の修正・廃止を求める意見が合せて82.3%に達しています(「共同通信」2013年12月8・9 日調査)。現に、複数の政党は今国会に同法の廃案法案を提出する準備をしています。
 このような世論および政治の状況に照らせば、今回の籾井会長の発言は、「政治上の諸問題の扱いは、あくまでも公平・公正、自主・自律を貫き、・・・・視聴者の判断のよりどころとなる情報を多角的に伝える」と定めた「NHK放送ガイドライン」に真っ向から反しています。

3. 指名部会が合意した次期会長の資格要件に照らして
  経営員会内に設置された指名部会の第8回部会(2013年11月26日開催)会議録によれば、次期会長の資格要件として6点が合意されたと記され、その第 1に「NHKの公共放送としての使命を十分に理解している」こと、第3に「政治的に中立である」ことが挙げられています。籾井会長の会長就任会見での一連 の発言はこれら両項に背反することは明らかであり、経営委員会が合意した資格要件に照らしても籾井氏はNHK会長に不適格な人物と言わなければなりませ ん。

当会の申し入れ
1. 以上3つのどの観点から検討しても、籾井氏がNHK会長の職に不適格な人物であること、NHKに対する視聴者・国民の信頼を著しく損ねたことは明らかです。よって、当会は、会長任命機関としての貴委員会に対し、すみやかに籾井氏をNHK会長職から解任するか、籾井氏に辞職を勧告されるよう申し入れます。
2. 会長就任早々、言論・報道機関の責任者としての自覚のなさをさらけ出す発言をするような人物を選任した貴委員会の責任は極めて重大です。なぜ、そのような選任になったのかを徹底的に検証し、審議の模様をそのまま議事録として公開するよう求めます。
3.  ここ数年、NHK会長選考が混迷したり、選任された会長が問題発言をしたりすることによってNHK会長の威信が著しく低下しています。こうした事態を改 めるには、現在のNHK会長選考のシステムを、視聴者に開かれた、より透明なものにするよう抜本的に改革する必要があると考えます。その第一歩として、当 会はNHK会長選考のあるべき仕組みについて、広く視聴者から意見を求める機会(パブリックコメントや公聴会の開催)を近々に設けるよう求めます。
 以上3点の申し入れに関する貴委員会の対応なりご見解を、2月10日までに別紙掲載宛てに書面でご回答くださるようお願いします。  以上
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NHK会長                                          2014年1月27日
籾井勝人 様
          会長職の自主的辞任を求める申し入れ
                NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ
                 共同代表 湯山哲守・醍醐 聰
 貴職におかれましては、日頃より、NHKの公共放送として充実をはかるためご尽力されていることと存じます。
 しかし、1月26日の全国紙各紙朝刊によれば、貴職は25日に開催された会長就任の記者会見で、放送法を順守すると発言される一方で、次の様な発言をされたとのことです。
 第一に、NHKが行う国際放送に関し、「領土問題については明確に日本の立場を主張するのは当然のこと。政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない。」
  第二に、「従軍慰安婦」問題について、「戦時中だからいいとか悪いとは言うつもりは毛頭ないが、この問題はどこの国にもあったこと」、「韓国は日本だけが 強制連行をしたみたいなことを言うからややこしい。お金をよこせ、補償しろと言っているわけだが、日韓条約ですべて解決していることをなぜむし返すのか。 おかしい。」
 第三に、安倍首相らの靖国神社参拝について、「総理の信念で行かれた。それをいい悪いという立場に私はない。昔の人は戦争に行くときに『死んで靖国に帰る』と送り出した。こう言う人たちが大勢いる」
 第四に、特定秘密保護法の取扱いについて、「一応決まったことをああだこうだ言ってもしょうがないんじゃないか。必要ならやる。あまりかっかすることはない。」
 こうした貴職の発言は、以下に述べる三重の意味で、貴職がNHK会長職に不適格な方であることを示したものと考えます。

1. 「放送法」に照らして
  「放送法」は第1条3項で、本法の目的を「放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること」と定 め、第4条で「放送事業者は、・・・・放送番組の編集に当つては、政治的に公平であること」を求めています。現政権の見解を代弁するに等しい今回の貴職の 発言は、これら放送法の条項に反するものであり、放送法を率先して遵守すべき立場にあるNHK会長としてあるまじき発言です。

2. 「NHK放送ガイドライン」に照らして
  2011年に定められた「NHK放送ガイドライン」は冒頭で「報道機関として不偏不党の立場を守る」とし、「放送とは直接関係のない業務にあたっても、こ の基本的立場は揺るがない」と定めています。NHKの全役職員の先頭に立って、この不偏不党の立場を堅持すべき会長が、こともあろうに会長就任の記者会見 という職務遂行の場で、時の政権の立場に寄り添うような発言をすることは、「NHK放送ガイドライン」に真っ向から反する暴言を吐いたものと言うほかあり ません。
 さらに、領土問題、靖国神社参拝問題の報道に関する貴職の発言は、「政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」という言葉に代表 されるように、政府の見解を追認し、代弁するものです。しかし、「NHK放送ガイドライン」は国際報道の基本姿勢として、「各国の利害が対立する問題につ いては、一方に偏ることなく、関係国の主張や国情、背景などを公平かつ客観的に伝える」と定めています。この点で、貴職の発言はアジア諸国に対する日本の 侵略責任を認めた村山談話を無視する一方で、国内でも異論が多い現政権の歴史認識を代弁するものであり、上記の「NHK放送ガイドライン」に背くもので す。また、「従軍慰安婦」問題についての発言は、河野談話によって日本政府の公式見解となり歴代内閣が踏襲してきた立場を真っ向から否定するものです。
加 えて、貴職の発言は、昨今、日韓・日中両国はもとより、アメリカや欧州諸国からも厳しく警告・批判されている日本政府の偏狭な歴史認識を代弁するものです が、それは「NHK放送ガイドライン」が定めた「国際平和や、各国国民との相互理解、友好・親善の促進に貢献する」という規定にも逆行するものです。

  次に、特定秘密保護法について貴職は、上記第4のような発言をされましたが、同法案が成立した後に行われた世論調査でも、法案の国会審議が「十分でない」 という回答が76%、法案自体に「反対」が51%を占め、「賛成」の24%の2倍以上となっています(「朝日新聞」2013年12月7日調査)。また、同 法の修正・廃止を求める意見が合せて82.3%に達しています(「共同通信」2013年12月8・9日調査)。現に、複数の政党は今国会に同法の廃案法案 を提出する準備をしています。
 このような世論および政治の状況に照らせば、今回の貴職の発言は、「政治上の諸問題の扱いは、あくまでも公平・公正、自主・自律を貫き、・・・・視聴者の判断のよりどころとなる情報を多角的に伝える」と定めた「NHK放送ガイドライン」に真っ向から反しています。

3. 指名部会が合意した次期会長の資格要件に照らして
  経営員会内に設置された指名部会の第8回部会(2013年11月26日開催)会議録によれば、次期会長の資格要件として6点が合意されたと記され、その第 1に「NHKの公共放送としての使命を十分に理解している」こと、第3に「政治的に中立である」ことが挙げられています。貴職の会長就任会見での一連の発 言はこれら両項に背反することは明らかであり、経営委員会が合意した資格要件に照らしてもNHK会長に不適格だと言わなければなりません。
以上3 つのどの観点から検討しても、貴職がNHK会長の職に不適格であること、今回の発言によりNHKに対する視聴者・国民の信頼を著しく損ねたことは明らかで す。よって、当会は、貴職がこれらの責任を自覚され、自らのご判断ですみやかにNHK会長職を辞されるよう申し入れます。                以上
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