昨日 経営委員会あてに「NHK会長選考に関する申し入れ」書を手交してきました。
NHK経営委員各位 2013年11月22日
NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ
共同代表 醍醐聰・湯山哲守
NHK会長選考に関する申し入れ
当会は日頃より、NHKが公共放送充実のためにどのように尽力されているかを注視しています。そして政治権力がNHKを支配しようとするいかなる試みにも厳しい監視を行っております。
去る8日、欠員5人の経営委員に対して、安倍内閣が国会に提出した再任1人、新任4人が承認され、早速12日に新委員を含む経営委員会が開催されたということです。新委員会の当面の最大課題は会長人事です。来年1月25日に任期を迎える松本正之会長の「続投」か「更迭」かがメディアでも注目されています。
今回の経営委員人事は異常なものでした。新任の4人の方々が全て安倍首相と直接接触を持ってきた「縁故者」だったことは、歴史的に見て異例でかつ公的機関の公正性に疑念を抱かせる汚点を残しました。しかし、経営委員になられた以上は、「縁故」を引きずらずに放送法に準拠して日本のジャーナリズムの重要な一翼を担う「公共放送」の経営にあたって頂きたいと切に願うものです。特に放送法第一条に定められているように「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」、「放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること」に尽力して頂きたい。また、同第三条(放送番組編集の自由)にかかわっては、くれぐれも政治権力から自立して、放送番組が「何人からも干渉されない」ように、そして自らも決して干渉することのない(放送法32条)ように、心がけて頂きたいと思います。
さて、現在、「特定秘密保護法案」が国会で審議されていることに関して、当会は11月6日付で松本正之NHK会長あてに、NHKも加盟している新聞協会が表明している4つの危惧について、NHKが報道機関として見識ある態度表明を行うべきではないか、放送の中でも「国民の知る権利のために」「健全な民主主義の発達に資する」立場で解説を行ってほしいと要望しました。しかし、その要望は拒否され、よる7時と9時のニュースでは、もっぱら「政府与党の法案に対する修正が行われるか否かの報道」に終始し、結局政府与党の「野党からの賛成を得て裁決」の路線に協力する報道に偏っています。ドキュメンタリーやドラマで「健全な民主主義の発達に資する」番組が精力的に制作・放送されていることと対照的に、ニュース番組が「政府の公報放送」に堕している印象が強いのは残念なことです。
NHK会長の選出をめぐっては、当会は2010年11月次のような基準で行うよう要望しました。
① 会長の選出基準については、ジャーナリズムと放送の文化的役割についての高い見識を持ち、言論・報道機関の責任者として、放送の自主・自立の姿勢を貫ける人物であるかどうかを判断の柱にすえること。
② 会長選出の審議経過の議事録を公開し、説明責任を果たすこと。
③ 経営委員会が公募した会長候補の中から会長を任命する公募制を採用すること。
④ 会長候補について、指名委員会で「候補者」が絞られたあと、経営委員会で即決しないこと(少なくとも1週間をおくこと)。およびその間に「候補者」に「ジャーナリズムと放送の文化的役割についておよびNHK会長就任への抱負」等の所信を表明する機会を設けること
これらの基準は現在でも極めて有効なものと考えます。経営委員会の議論が疑念の目で見られている今日、むしろ益々意義あるものと言うことができます。塾考の上でのご高配を要望します。
くれぐれも、財界から安倍首相の意を汲んだ会長の招聘を行うなどの愚行は犯さないでもらいたいと切に願うものです。 以上申し入れます。
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