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2013年11月

2013年11月23日 (土)

昨日 経営委員会あてに「NHK会長選考に関する申し入れ」書を手交してきました。

 NHK経営委員各位                       2013年11月22日
                NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ
                    共同代表 醍醐聰・湯山哲守

           NHK会長選考に関する申し入れ

 当会は日頃より、NHKが公共放送充実のためにどのように尽力されているかを注視しています。そして政治権力がNHKを支配しようとするいかなる試みにも厳しい監視を行っております。
 去る8日、欠員5人の経営委員に対して、安倍内閣が国会に提出した再任1人、新任4人が承認され、早速12日に新委員を含む経営委員会が開催されたということです。新委員会の当面の最大課題は会長人事です。来年1月25日に任期を迎える松本正之会長の「続投」か「更迭」かがメディアでも注目されています。

 今回の経営委員人事は異常なものでした。新任の4人の方々が全て安倍首相と直接接触を持ってきた「縁故者」だったことは、歴史的に見て異例でかつ公的機関の公正性に疑念を抱かせる汚点を残しました。しかし、経営委員になられた以上は、「縁故」を引きずらずに放送法に準拠して日本のジャーナリズムの重要な一翼を担う「公共放送」の経営にあたって頂きたいと切に願うものです。特に放送法第一条に定められているように「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」、「放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること」に尽力して頂きたい。また、同第三条(放送番組編集の自由)にかかわっては、くれぐれも政治権力から自立して、放送番組が「何人からも干渉されない」ように、そして自らも決して干渉することのない(放送法32条)ように、心がけて頂きたいと思います。

 さて、現在、「特定秘密保護法案」が国会で審議されていることに関して、当会は11月6日付で松本正之NHK会長あてに、NHKも加盟している新聞協会が表明している4つの危惧について、NHKが報道機関として見識ある態度表明を行うべきではないか、放送の中でも「国民の知る権利のために」「健全な民主主義の発達に資する」立場で解説を行ってほしいと要望しました。しかし、その要望は拒否され、よる7時と9時のニュースでは、もっぱら「政府与党の法案に対する修正が行われるか否かの報道」に終始し、結局政府与党の「野党からの賛成を得て裁決」の路線に協力する報道に偏っています。ドキュメンタリーやドラマで「健全な民主主義の発達に資する」番組が精力的に制作・放送されていることと対照的に、ニュース番組が「政府の公報放送」に堕している印象が強いのは残念なことです。

 NHK会長の選出をめぐっては、当会は2010年11月次のような基準で行うよう要望しました。
① 会長の選出基準については、ジャーナリズムと放送の文化的役割についての高い見識を持ち、言論・報道機関の責任者として、放送の自主・自立の姿勢を貫ける人物であるかどうかを判断の柱にすえること。
② 会長選出の審議経過の議事録を公開し、説明責任を果たすこと。
③ 経営委員会が公募した会長候補の中から会長を任命する公募制を採用すること。
④ 会長候補について、指名委員会で「候補者」が絞られたあと、経営委員会で即決しないこと(少なくとも1週間をおくこと)。およびその間に「候補者」に「ジャーナリズムと放送の文化的役割についておよびNHK会長就任への抱負」等の所信を表明する機会を設けること
 これらの基準は現在でも極めて有効なものと考えます。経営委員会の議論が疑念の目で見られている今日、むしろ益々意義あるものと言うことができます。塾考の上でのご高配を要望します。
 くれぐれも、財界から安倍首相の意を汲んだ会長の招聘を行うなどの愚行は犯さないでもらいたいと切に願うものです。       以上申し入れます。

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2013年11月16日 (土)

NHKに「特定秘密保護法案に対する意見書提出のお願い」を出しました。

                         2013年11月15日
日本放送協会会長
松本正之 様
               NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ
                    共同代表 醍醐聰・湯山哲守

      特定秘密保護法案に対する意見書提出のお願い

 平素から厳正な取材に基づく、放送の提供に厚く御礼申し上げます。
 私たちNHKを監視・激励する視聴者コミュニティは、NHKが自由な取材に基づく、中立、公正な報道をなしているかに常に関心を抱き、時には苦言を、時には激励の言葉を発して参りました。

 ところが過日、安倍政権が特定秘密保護法案という、憲法で保障された言論の自由を圧迫する極めて深刻な法案が提出されるという事態が判明し、大いに危惧しているところであります。
 既に報道機関の集合組織でかつ貴局もその一員である新聞協会は10月2日、これに対する危惧の念を示した意見書を提出しました。特に報道機関の正当な取材に対する罰則は、取材、報道の自由によって成り立っている中立、公正な報道に多大な影響を与えるとして、(一)秘密の範囲・対象の明確化、(二)厳罰化による公務員の情報公開への萎縮、(三) 取材・報道の自由は侵害しないとの明文規定の明示、(四) 何が特定秘密に当たるかをチェックする仕組みの設定、などを求めました。

 この様な点が曖昧なままに法案が成立すれば、民主主義の根幹である「国民の知る権利」が損なわれる恐れがあると、強い危惧を表明しています。
 新聞と共に国民の知る権利の一翼を担うNHKにおいても、同様の危惧は横たわっていると思われます。迅速克つ明確に本法案の提出に危惧の念を表明し、かつ放送の中でもその危険性についての解説を視聴者に提供して戴くようお願い申し上げます。          以上

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2013年11月 5日 (火)

「NHK経営委員補充人事案件に不同意を!」の要請書を提出しました。

NHK経営委員の補充人事について5人とも不同意されるように衆参議長および各政党の総務委員(総務委員がいない場合は議員)あてに要請書を提出しました。
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衆議院議長 伊吹文明様                2013年11月1日
同総務委員会委員各位
参議院議長 山崎正昭様
同総務委員会委員各位
                NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ
                      共同代表 醍醐聰・湯山哲守

側近を大量にNHK経営委員会に送り込む安倍首相の専断的手法を許さないために同意人事の否決を!

 当会は日頃より、NHKが公共放送充実のためにどのように尽力されているかを注視しています。そして政治権力がNHKを支配しようとするいかなる試みにも厳しい監視を行っております。
 報じられるところによれば、安倍内閣は10月25日、国会に同意人事案件であるNHK経営委員の補充(4人新任、1人再任)案を提示したということです。新任4人とは作家・百田尚樹、埼玉大学名誉教授・長谷川三千子、海陽中等教育学校校長・中島尚正、日本たばこ産業顧問・本田勝彦の四氏で、再任はJR九州会長・石原進氏です。12人の経営委員定数の内の4人ともなれば、NHK会長人事を行う経営委員会の大勢に重大な影響を及ぼすものです。第2次安倍内閣になって2度目の経営委員人事です。発表記者会見で菅官房長官はこの人事案件が「自らが信頼し、評価している方にお願いするのはある意味では当然だ」として、首相主導で練られたことを隠そうとしなかったと報じられています。その言葉通り、その新任の候補者は全て安倍首相に極めて近い、いわば「お友達」ばかりです。まさに安倍氏がNHK経営委員会の私物化を図ろうとしていると言わざるをえません。「お友達」だけを集めた「安保法制懇」(安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会)から「集団的自衛権発動の合憲解釈」のお墨付きを得たときと同じような危惧を抱かせる手法です。しかし、NHK経営委員会は私的懇談会とは違います。しかも「報道の公正性」は権力の恣意的な「コントロール下」に決して置いてはならないものです。NHK会長人事は勿論のこと、2001年にNHKに番組改変を迫って実現させた実績を持つ安倍氏が首相であることを考えると、政権の放送内容への干渉などが極めて憂慮される事態です。

 まず、石原進JR九州会長を再任させようとすることは「原発推進」を狙う安倍内閣の強い意思を表わしています。石原氏は昨年末の衆議院選挙に先立ち、選挙戦の重大争点であった「原発再稼働」を声高に様々な場所で叫んで、NHK経営委員としての立場をわきまえない言動を行ったことから、当会として、厳重に抗議を行った人物です。この「政治的」働きが買われて再任されたとすれば由々しきことです。
 そして何よりも問題なのは、安倍氏が「信頼する」新任の4人の経歴や発言語録です。まず、本田勝彦氏は、さる6月の経営委員人事で政府が「委員長候補」として押し付けようとした際に、「安倍氏の学生時代の家庭教師」だった経歴が問題となり、内外の批判をあび、「欠員」のまま見送った経緯があります。この「委員長送り込み」報道に対して当会は、声明「NHK経営委員及び経営委員長の選任報道について」(5月20日付)を発表して、①委員長は経営委員の互選という放送法に違反すること、②第1次安倍内閣時に「安倍氏の財界人懇談会(四季の会)」メンバーの古森重隆氏を経営委員長として強引に送り込んでNHK経営委員会を撹乱させたことなどを指摘・喚起して、本田氏の就任に異議を申し立てました。
 百田尚樹氏は自らのツイッターで、「日本人の命が他国の軍隊によって奪われようとしている時に、それを防ぐ自衛隊員の戦いが、『自衛のための正当防衛』か『それとも正当業務行為』かを議論するという行為が、いかにむなしくバカバカしいものか」などと憲法9条の厳格な運用を敵視する見解を数限りなく披露しています。また、長谷川氏はインターネット・桜チャンネルで自らの憲法観を詳しく披露し、「第9条の神話を一回、突き崩す必要がある」などと、百田氏と同様、憲法9条に対して強烈に敵意をいだいていることをあからさまにしています。百田氏と長谷川氏はともに、「昨年9月の自民党総裁選挙において安倍氏を応援した」と言われます(「毎日」10月26日付)。また、中島氏は安倍氏の私的懇談会「四季の会」の幹事・葛西敬之JR東海会長の肝煎りで創られた海陽中等教育学校の校長という肩書きです(同上)。

 以上をまとめると、国会が今回の人事を承認すれば、第一に公共放送のトップ組織が安倍晋三首相の私的組織に変質させられる危険を孕んでいること、第二にそのことによって、NHK会長をはじめ公共放送が安倍首相の画策する改憲路線の一翼を担う組織に変貌させられる入り口に立ってしまう危険があるということです。

 3年前、2010年の経営委員選任にあたって、当会も参加する「開かれたNHKをめざす全国連絡会」は、衆参両院の全総務委員宛に「申し入れ」を行いましたが、その中で「多くのメディア研究者やジャーナリスト、各地の市民団体の再三にわたる申し入れにもかかわらず、特定の経営委員ポストを財界人の指定席かのようにたらい回しする悪弊が続いています。」と指摘し、「NHKが担うべきジャーナリズムとしての機能とゆたかな文化をはぐくむ役割を深く理解し、NHKを権力から自立したメディアとする砦としての役割」を担える経営委員の選任を要望しました。
 国会が、新経営委員は財界人や「安倍首相の近親者」で占めるのではなく、その使命にふさわしい人材を登用する立場に立ち、当人事案件を否決することを切に望むものです。-----------------------------------------------------------------

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