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2013年5月30日 (木)

NHK経営委員及び経営委員長の選任報道についての声明

声明                                                          2013年5月28日
NHK経営委員及び経営委員長の選任報道について
             NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ共同代表
                              醍醐  聰
                              湯山哲守
 
 一連の報道によれば、5月21日、政府は衆参両院の議院運営委員会理事会に、6月19日に任期切れを迎えるNHK経営委員長の浜田健一郎氏(ANA総合研究所会長)と室伏きみ子氏(お茶の水女子大教授)の再任と上田良一(三菱商事副社長)、宮田亮平(東京芸術大学長)、美馬のゆり(公立はこだて未来大教授)の3氏の新任案を提示したとのことです。
 この問題をめぐって、この間一部の報道には不可解かつ重大な問題を含んだものがありました。報道は5月13日付の「日本経済新聞」、「時事通信」から始まりました。それは「NHK、浜田経営委員長退任へ 後任はJT本田氏軸に」人事案を国会に提示するというものでした(「日経」)。他のほとんどの報道機関が「沈黙」する中、19日付で「朝日新聞」が「JTの本田氏NHK経営委員長就任へ」という見出しで「浜田委員長の退任と本田勝彦氏の委員長就任」を断定的に報じる一方、他の経営委員候補の氏名には触れませんでした。
上記朝日新聞の報道は、「安倍内閣はNHK経営委員に日本たばこ産業(JT)の本田勝彦顧問(71)を起用し、・・・国会同意が得られれば、本田氏は委員による互選で経営委員長に就任する見通し。」というものでした。この「朝日」の報道姿勢自体には重大な疑義があるのであとで問題にしますが、とりあえず本田氏の紹介を次のようにしていました。「本田氏は東大卒、JTで2000年に生え抜きとして初めての社長に就任。06年までトップを務めた。学生時代に安倍首相の家庭教師をしていたことでも知られる。」この段階でのこの報道には看過できない問題がありました。その後の報道によれば、21日に政府が提出した経営委員候補名簿に本田勝彦氏の名前はなく、再任拒否を予定していた浜田健一氏を急遽再任するとされました。名簿提出を受けて他の報道機関も簡単な「顛末」を添えて「本田氏を断念し、浜田氏の再任」の報道を行いました。

 一連の報道において看過できない問題は以下の通りです。
 第一は、これらの情報は「政府・総務省」筋からのリークによるものと考えられますが、その政府筋から示された「意向・方針」は「放送法のNHK経営委員長選出を定める条項」に抵触する越権行為です。放送法の精神は12人の経営委員全員が揃った状態で「互選」をして委員長を選出するということであり、政府が予め委員長を指定して選出することは違法であるのみならず現職経営委員を侮辱するものです。安倍第一次内閣が「委員長指名」人事報道によって「古森経営委員長」を強引に押しつけたことを想起させます。
 第二は、「財界人の『たらい回し』人事」をまたもや行おうとしていたことです。1989年〜90年在任したジャーナリスト出身の天野歓三氏を最後にその後の歴代8人が「財界人」で、しかもその多くが財界トップだった人々です。
3年前、2010年の経営委員選任にあたって、当会も参加する「開かれたNHKをめざす全国連絡会」は、衆参両院の全総務委員宛に「申し入れ」を行いましたが、その中で「多くのメディア研究者やジャーナリスト、各地の市民団体の再三にわたる申し入れにもかかわらず、特定の経営委員ポストを財界人の指定席かのようにたらい回しする悪弊が続いています。」と指摘し、「NHKが担うべきジャーナリズムとしての機能とゆたかな文化をはぐくむ役割を深く理解し、NHKを権力からの自立したメディアとする砦としての役割」を担える経営委員の選任を要望しました。今回も新経営委員がその使命にふさわしい人材であることを望みます。
 第三は、安倍首相の悪癖である、「お友達人事」です。先の古森重隆氏は当時の安倍首相の財界人懇談会である「四季の会」メンバーでした。その古森氏が経営委員長在任中、さまざまな問題を引き起こし、事実上の「不再任」となったことは記憶に新しいことです。今回「指名」を取りざたされている本田勝彦氏は安倍首相の「学生時代の」家庭教師だったという、極めて密接な「知己の人」です。このような「お友達人事」を繰り返すことは噴飯ものといわなければなりません。権力を監視する使命を持つメディアのトップに「知人」を当てる無神経さは糾弾されなければなりません。
 最後に朝日新聞の姿勢についてです。19日付の記事の「国会同意が得られれば、本田氏は委員による互選で経営委員長に就任する見通し。」という表現は放送法をないがしろにするものです。今回の改選は5人ですが、そのうちの1人を特別扱いして「互選で」決まるだろうと予断報道をすることは他の経営委員対する「冒涜」です。
 実は2007年の「古森委員長内定報道」に際し、当会は朝日新聞社と担当記者に質問状を送付しこの点について質しましたが、それへの「回答」は「取材によって得られた証言や資料に基づき、政府が方針を決めたという事実を報道し、・・・必ずしも最終決定を待つのではなく、取材の結果、見通しが固まった段階で、いち早く報じることが読者に対する責務だ」と回答してきました。その際の報道では、断定的に「安倍首相と菅総務相の会談で内定した」となっていました。今回も政府筋の意向をそのまま報じたことに変わりはありません。ちなみに、今回の「報道」では、「日経」、「時事通信」は「経営委員長に就任する見通し」という独断報道はしていません。また、5月20日までは当会の知る限り、07年とは違って、その他のメディアが一切この件について「リーク報道」に加担していなかったことはジャーナリズムの見識を示したものと考えます。
 その後の朝日新聞報道は、「本田案」が自らの報道などで事前に公になったことによって「頓挫」したことをあれこれ釈明しています。しかし、顛末はどうであれ、経営委員長は経営委員が互選するという「放送法」の定めをわきまえず、政府が特定の人物を経営委員長に指名するかのような「新聞辞令」を相も変わらず報道したことは、政府からのNHKの自立をメディア自らが放擲するに等しい行為と断じざるを得ません。         以上。

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コメント

NHK経営委員会 御中

これ迄、何度となく以下の問題点を提起させていただきましたが、無視されています。
MANAGEMENTとして適切な対応をしてもらいたい。

「NHK9時のニュース番組につき、大越キャスターの喋り方はおかしくないですか?語尾をフニャフニャフニャと終える。何を言っているのか聞き取れない!!!実際に、聞き取って欲しい。ニュースキャスターとして失格である。一層、英語で喋ってもらった方がいいのではないか?これ迄、このことをNHKに伝えるも、改善なし。国民を小馬鹿した体制ではこれからも変わらないだろうヨ!!!」

投稿: 多田 | 2013年12月31日 (火) 11:02

NHK経営委員会 御中

これ迄、何度となく以下の問題点を提起させていただきましたが、無視されています。
MANAGEMENTとして適切な対応をしてもらいたい。

「NHK9時のニュース番組につき、大越キャスターの喋り方はおかしくないですか?語尾をフニャフニャフニャと終える。何を言っているのか聞き取れない!!!実際に、聞き取って欲しい。ニュースキャスターとして失格である。一層、英語で喋ってもらった方がいいのではないか?これ迄、このことをNHKに伝えるも、改善なし。国民を小馬鹿した体制ではこれからも変わらないだろうヨ!!!」

投稿: 多田 | 2013年12月31日 (火) 11:01

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