経営委員会宛て質問書と石原委員の辞任要求をNHKに提出しました。
石原委員の発言と數戸前経営委員長の献金問題の質問書(報告)
2012年12月14日
日時:12月14日 10時半から約45分間
NHK対応:経営委員会事務局 調 弘誓副部長
視聴者事業部 視聴者部 山本健一副部長
〃 〃 米森公二副部長
参加者:醍醐共同代表、渡邉運営委員
【経緯】
経営委員の石原進氏(JR九州会長)が原発問題について極めて重大な発言を幾度もしており、財界人として経済界の利害に沿った発言・行動をしたいのなら、政治的にも自主・自立を生命線とするNHKの意思決定・監督機関の委員を退くべきであり、経営委員の職にとどまりながら、原発問題が大きな政治的争点となっている状況の中でこのような発言を繰り返すのは致命的な誤りです。同時に數戸前経営委員長の献金問題も看過できない問題と考え、①経営委員長と委員各位宛の質問状と、②石原委員宛ての辞任要求書を、それぞれ経営委員会事務局に手交しました。面談の日程について10日に申し入れをしましたが、経営委員会事務局の都合で14日の開催となりました。
【面談の様子】
今回は、何時もの窓口の視聴者部だけでなく経営委員会事務局とも直接面談し、醍醐共同代表から質問状の趣旨説明を行いました。
Q:浜田委員長は最近の記者会見で献金問題について発言しているが趣旨は?
A:自分は国会議員への献金はしていないし、する積りも無い。ただ県知事については高校時代の友人たちと少し出した。
Q:石原発言を問題視する報道は見当たらないが、経営委員会には問題視する声は届いていないか?
A:特に聞いていない。
Q:まず、石原氏の問題意識の有無を確認したい。
近頃、経営委員がNHKの信頼を無くすような足を引っ張る事態が続くなか、経営委員の職務の遂行状況をチェックすべき監査委員が職務をキチンと果たしていないのではないか? 新任の経営委員は放送法、放送ガイドラインについてキチンと説明を受けているのか?
A:私(調氏)が着任して以降は新任の経営委員はいないので、直接、確認はできないが、そういった文書の説明はされていると思う。
Q:今日提出した2通の文書は次回経営委員会(12月18日)までに全経営委員に届けてほしい。
また25日までに質問状の返事を出来ない場合はこれまでのように事前に連絡をお願いします。
A:分かりました。質問状は18日の経営委員会前に各委員に届くようにします。
以上
追記:情報公開の問題で、経営委員だけの会の議事録について問題提起しました。
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2012年12月14日
NHK経営委員会 委員長・浜田健一郎 様
経営委員各位
NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ
共同代表 醍醐聰・湯山哲守
放送法違反発言を繰り返す石原経営委員の資質と數土文夫・前経営委員長の献金問題についての質問状
当会は日頃より、NHKが公共放送の充実のためにどのように尽力されているかを注視しています。以下の2点について貴委員会の見解を質します。
1.石原進経営委員による放送法違反の一連の発言について
私たちは、石原進経営委員が昨年来、NHK経営委員の立場にありながら、「原発再稼働促進」の政治的発言を繰り返していることに強い驚きを禁じ得ません。
報道によれば同委員は、昨年5月唐津市での講演会で「原子力発電所の維持は必要」として、九州電力玄海原発2、3号機の運転再開に触れ、「玄海原発は津波
の歴史もない安全な地域の原発」などと述べました(asahi.com
2011年5月19日)。続けて6月、福岡市で記者会見を行い、「代替エネルギーで原子力を補うには相当な時間が必要。国、県、九電で徹底的に安全問題を
詰め、安全を確認した上で原子力を活用すべきだ」と語ったと報じられ(佐賀新聞2011年6月1日)ました。
さらに本年9月には、「電気料金は最
大2倍になると見込まれ、国内産業が立ちゆかなくなる・・・長期にわたって一定程度の原子力比率を維持する必要がある」と発言し(毎日新聞9月15日)、
あろうことかつい先日には、総選挙の大きな争点として「原発政策」が浮上している最中に、福岡市で450人の財界人を前にして、「原発を全廃すれば、電気
料金が2倍となり、日本の産業は死ぬ」とまで述べ、原発の早期再稼働を訴え、再生可能エネルギーは原発の代替電源となり得ないとの考えを強調。民主党が掲
げる「2030年代の原発ゼロ」について「日本国家が潰れ、失業者だらけになる。」と批判したと報じられ(産経新聞
11月30日)ました。3.11事故以降、電力を原発に依存するのかどうか世論が二分される中で、選挙戦の重大な争点である問題について一方に偏する発言
を続けることは異常です。
このような言動が放送法第1条の「放送の不偏不党、真実及び自律の保障」、第3条の2の「政治的に公平である
こと」に反することは明白です。もし上記一連の発言が「放送電波に乗せたものではない」という抗弁をされるのであるなら、それは浅薄な解釈と言わなければ
なりません。3代前の経営委員長・古森重隆氏が必ずしも「放送」そのものに関してだけではなく、「安倍晋三氏を囲む経済人の会」に参加していることおよ
び、国会議員を励ます会の発起人に名を連ね、挨拶を行ったことが指弾の対象になったことは記憶に新しいことです。「不偏不党」を標榜し、それを厳しく「生
命線」と位置づけて「全役職員があらゆる業務にあたって貫くべき」であると謳った「新放送ガイドライン」に照らすなら、同委員の言動がそれに背反すること
は明らかです。そこで質問します。
質問1 石原委員の「原発稼働推進」発言は放送法ならびに新放送ガイドラインに抵触するという当会の見解を経営委員会は如何に考えますか?抵触するということであれば「辞任勧告」をされたら如何でしょうか。
なお、この件に関しては、別途直接、石原委員に「辞任要求」を提出していることを付記します。
2. 数土前経営委員長の在職中の政治献金問題について
去る11月30日に、2011年の政治資金収支報告書が公表され、NHK前経営委員長・数土文夫氏が経営委員長在任中に、衆議院議員3人に計20万円の献
金をしたことが朝日新聞などによって報道されました。民主党の安住淳国対委員長(当時)と古川元久国家戦略担当相(当時)と自民党石原伸晃幹事長(当時)
であったということです。12月4日の定例会見で貴職は「数土前委員長は個人の判断でされたと思うので、コメントは差し控えたい。」と不問に付す態度を示
されました。しかし、この態度は放送法や自ら定めた「放送ガイドライン」に示される精神を軽んじる安易な行為であったと言うべきです。この問題を放置すれ
ばNHKへの信頼性が失われます。まして、数土前委員長は、NHK経営委員長を務めながら、取材対象である東京電力の社外取締役に就任しようとしてNHK
内外からその軽率ぶりを指弾されました。今回の献金問題は経営委員を「辞任」することにつながった無定見と無関係ではないと考えられます。
放送
法は第49条で、「協会に、役員として、経営委員会の委員のほか、会長1人、副会長1人及び理事7人以上10人以内を置く」と定めています。ここから、
NHKの理事等ばかりでなく、経営委員もNHKの役員とされていることは明らかです。「NHK放送ガイドライン」は冒頭に「自主・自律の堅持」を掲げ、具
体的に次のように述べています。
「NHK
は、公共放送として、憲法で保障された表現の自由のもと、正確で公平・公正な情報や豊かで良質な番組を幅広く提供し、健全な民主主義の発展と文化の向上に
寄与する。この役割を果たすため、報道機関として不偏不党の立場を守り、番組編集の自由を確保し、何人からも干渉されない。ニュースや番組が、外からの圧
力や働きかけによって左右されてはならない。・・・全役職員は、放送の自主・自律の堅持が信頼される公共放送の生命線であるとの認識に基づき、すべての業務にあたる。」 と。
つまり、NHKの経営委員(長)には一般的な意味での政治的中立性にとどまらず、NHKの役員という立場上、「不偏不党の立場を守り」、公共放送としての
信頼を維持する生命線として「放送の自主・自律の堅持」が要請されているのです。
こうした具体的な定めに照らして、数土氏が経営委員長に在任中(2010年12月11日~2012年5月24日)に特定の政党の幹部である3名の国会議員
に政治献金を行った行為が「NHK放送ガイドライン」に違反することは明らかです。経営委員各位が上記の使命を自覚して二度と今回のような愚挙を引き起こ
さないように、検証して教訓を明らかにすべきではないでしょうか。
質問2 当会は経営委員会が率先して、放送の自主自立、不偏不党の立場を堅持するために、在任中は政治献金はもとより、特定の政治的立場に立った言動は慎むことを申し合わせされるよう要請します。この要請に対する見解をお聞かせ下さい。
以上、お忙しいことと存じますが、12月25日までにお返事を頂けると幸いです。
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2012年12月14日
NHK経営委員 石原 進 様
NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ
共同代表 醍醐聰・湯山哲守
放送法違反発言を繰り返す貴職の辞任を要求します
当会は日頃より、NHKが公共放送の充実のためにどのように尽力されているかを注視しています。
さて私たちは、貴職が昨年来、NHK経営委員の立場にありながら、「原発再稼働促進」の政治的発言を繰り返していることに強い驚きを禁じ得ません。
報道によれば貴職は、昨年5月唐津市での講演会で「原子力発電所の維持は必要」として、九州電力玄海原発2、3号機の運転再開に触れ、「玄海原発は津波の
歴史もない安全な地域の原発」などと述べました(asahi.com
2011年5月19日)。続けて6月、福岡市で記者会見を行い、「代替エネルギーで原子力を補うには相当な時間が必要。国、県、九電で徹底的に安全問題を
詰め、安全を確認した上で原子力を活用すべきだ」と語ったと報じられ(佐賀新聞2011年6月1日付)ました。
さらに本年9月には、「電気料金は最大2倍になると見込まれ、国内産業が立ちゆかなくなる・・・長期にわたって一定程度の原子力比率を維持する必要があ
る」と発言し(毎日新聞9月15日付)、あろうことかつい先日には、総選挙の大きな争点として「原発政策」が浮上している最中に、福岡市で450人の財界
人を前にして、「原発を全廃すれば、電気料金が2倍となり、日本の産業は死ぬ」とまで述べ、原発の早期再稼働を訴え、再生可能エネルギーは原発の代替電源
となり得ないとの考えを強調。民主党が掲げる「2030年代の原発ゼロ」について「日本国家が潰れ、失業者だらけになる。」と批判したと報じられ(産経新
聞11月30日)ました。3.11事故以降、電力を原発に依存するのかどうか世論が二分される中で、選挙戦の重大な争点である問題について一方に偏する発
言を続けることは異常です。
このような言動が放送法第1条の「放送の不偏不党、真実及び自律の保障」、第3条の2の「政治的に公平であ
ること」に反することは明白です。もし上記一連の発言が「放送電波に乗せたものではない」という抗弁をされるのであるなら、それは浅薄な解釈と言わなけれ
ばなりません。3代前の経営委員長・古森重隆氏が必ずしも「放送」そのものに関してだけではなく、「安倍晋三氏を囲む経済人の会」に参加していることおよ
び、国会議員を励ます会の発起人に名を連ね、挨拶を行ったことが指弾の対象になったことは十分留意されるべきです。「不偏不党」を標榜し、それを厳しく
「生命線」と位置づけて「全役職員があらゆる業務にあたって貫くべき」であると謳った「新放送ガイドライン」に照らすなら、貴職の言動がそれに背反するこ
とは明らかです。
以上、当会は貴職が経営委員として不適格であると断じ、自ら辞任されるよう要求します。
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NHKから回答がありました。
醍醐 聰 様 平成25年1月18日
湯山 哲守 様
貴会より経営委員会宛てに頂いた質問状に対し、浜田経営委員長の指示を受け、事務局より以下のとおり回答させていただきます。
1)経営委員会は様々な分野からいろいろな考えを持った方々が選ばれており、それによって国民の広範な意見が反映される仕組みとなっています。
経営委員会においては、各委員とも放送法などを遵守して職務にあたっております。
なお、ご承知のとおり、放送の編集権は法律上執行部にあり、ご指摘の発言が放送に影響を与えることは一切ありません。
2)各委員が個々の判断で適切に行動されることであり、経営委員会として何らかの申し合わせを行うことは考えておりません。
ご質問に対する回答は以上ですが、経営委員会として引き続き視聴者の皆さまの信頼が得られますよう努力してまいります。
経営委員会事務局
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