放送法「改正」案の廃案を要求する/日本ジャーナリスト会議
ジャーナリズム放送法「改正」案の廃案を要求する 日本ジャーナリスト会議
2010年11月24日
臨時国会に上程されている放送法「改正」案について、政府・民主党と自公両党が審議を急いでいる。放送のあり方の根幹に関わる放送法「改正」案を、国民に開かれた議論もなしに、成立を図ろうとする民主党の議会運営が許される道理はない。日本ジャーナリスト会議は、政府・与党に対し同法案を廃案とし、広く国民的議論を行うよう要求する。
本「改正」案は、電波監理審議会による監督権限強化やNHK会長の経営委員兼任などは削除されているものの、総務相や行政による放送への監視、介入の強化やマスメディア集中排除の原則の空洞化など、前国会で廃案となった「改正」案の基本的な問題点をそのまま踏襲した法案である。 今回の「改正」案では、放送の定義を「公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信」とし、現行の「無線放送」から大きく拡大されている。これは、最近活性化しているインターネットの動画サイトやブログなどが「放送」に含まれ、規制の対象となる危険性を孕む「改正」である。その危険性を除去するため、インターネットは除外することを明文規定すべきである。
また、「改正」案では、放送についてハード(インフラ設備)とソフト(番組)を分離する規律とし、ソフト事業にも総務相による「認定」手続きを導入し、行政の監視権限強化を盛り込んでいる。そして「改正」案174条で、放送事業者が法律に違反した場合には、「三ヵ月以内の業務停止命令を出す」規定を導入している。この条文が拡大解釈され、行政が個別の番組内容に恣意的な解釈をすれば、放送の自由は著しく侵害される。
さらに「改正」案は、在京キー局が地方局に出資する場合、現行上限「20%未満」から「3分の1未満」への緩和を認めている。しかも、新聞による放送支配を制限する「クロスメディア所有規制」の「3年以内の検討」条項を削除している。多くの人が放送に関わることで言論の自由を保障し、民主主義の発展に資することを目的としたマスメディア集中排除の原則は重大な危機に瀕しようとしている。
技術革新の進展に伴い、大手メディアと並んで、インターネットなど多くの市民メディアが多様に、多面的に日本の民主主義を支えあうことこそ、21世紀の日本の放送のあり方に相応しい姿であり、本「改正」案は時代の趨勢に逆行する国民不在の「改悪」案と言わざるをえない。政府・民主党は本「改正」案を即刻廃案とすべきである。
http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/7e74e603e0bfff02d5e8d86b49d3c069
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