放送法改正案で修正協議 民主、野党要求を一部容認
2010/11/5 20:41 日経
与野党は5日、政府が今国会に提出した放送法改正案の修正協議に入った。野党側の要求のうち、NHKの経営委員会にNHK会長を加える条文の削除などについて民主党も合意した。
放送機器メーカーの役員が退任直後でもNHK役員に就任できるようにする規定の修正については民主党が結論を持ち越し、8日に再協議する。
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放送法改正案、民主が修正の意向
民主党は5日、今国会に提出している放送法改正案について、自民、公明両党の反対を踏まえ、修正する意向を示した。
改正案から、NHK会長がNHKの経営委員会に加わるとした条文を削除する方針だ。野党側は、NHK会長の権限が強くなりすぎるなどと反対していた。
また、野党側は、新聞社やテレビ局などを一つの資本が支配する「クロスメディア所有」の規制強化について「3年以内に制度のあり方を検討する」とした付則の削除も求めている。民主党は、この付則も削除する方向だ。
5日に行われた改正案を巡る与野党の修正協議で、自民党は、過去1年間に放送機器メーカーの役員だった場合、NHK会長や経営委員などに就けないといった欠格事由を緩和する点についても、反対の姿勢を示している。
(2010年11月5日19時38分 読売新聞)
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NHK:テレビとネット、同時配信検討 総務相にも打診
NHKの福地茂雄会長は4日の定例会見で、テレビ放送と同時にインターネット回線を使ってパソコンなどへ番組を配信する可能性について「視聴者目線で考え
れば必然と考える」との考えを示した。実現するには放送法改正が必要だが、すでに片山善博総務相らに打診していることも明らかにした。
福地会長は「テレビ以外で情報を入手する人がいる中、視聴者に合わせるのは我々の義務。視聴者もNHKがより利用しやすくなることを求めているのでは」と理由を説明した。
現在NHKの番組のネット配信は特別に利用基準を設け、「NHKオンデマンド」などテレビ放送後の番組に限って行っている。
同時配信が実現すれば、現行の受信料制度も抜本的な見直しが必要になる。NHKは先月29日に設置した「受信料制度等専門調査会」で、この点も含め専門家から意見を聞く。【長沢晴美】
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NHK:受信料制度の会長諮問機関が初会合
毎日新聞 2010年11月5日 東京朝刊
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民主党がクロスオーナシップ削除!? OurPlanet-TV
投稿者: ourplanet 投稿日時: 金, 11/05/2010 - 08:00
NHKの福地茂雄会長は4日の定例会見で、ネット同時配信の検討をしていると明らかにした。既に片山善博総務相などに「放送法の改正」を打診しているという。
http://mainichi.jp/enta/geinou/news/20101105ddm002200088000c.html
放送法の改正といえば、今国会でまさにその真っ最中である。
5月にこのブログ「放送法改正はネット規制!? 」で書いた通り、インターネットを政府の規制下に置く可能性がある内容だ。
昨日から修正協議が行われ、私が把握しているのは、以下の通り
(1)NHK会長の経営委員会への参加・・・削除(自民の要求)
(2)NHK経営委員会の欠格事由・・・協議継続
*NHKの経営委員は放送機器などの会社の人はなれないのですが、その要件をめぐって
(3)クロスメディアの附則・・・削除(民主の要求)
(4)省令委任規定・・・協議継続(公明/社民が削除を要求)
(5)電波法76条要件削除・・・協議継続(社民)
※免許停止権限から、番組準則を除くよう求めている
5月にブログを書いた時は、あまり気に留めてなかったものの、今回、こりゃマズいと気がついたのは、公明党と社民党が削除を要求している(4)の省令委任の規定。
こ
れは法律に書いてない規定を、省令で定められるというもので、これまでの放送法にはなかた内容だ。逆にいえば、放送法に定められてないものでも、省令=総
務省の官僚内部で、どんどん細かい規定を定めることが可能になる。法律の改定案すら制定プロセスがここまで不透明なのに、省令で細則が規定可能になれば、
総務省の権限が強化されることは想像に難くない。
更に、今日、驚いたのは、原口前総務大臣肝いりで付則になんとか盛り込んだ「クロスメディア規制の検討」が、民主党の要求によって削除されたことだ。果たして、民主党はどこまで官僚に丸め込まれるのか。あるいは、意図的にやっているのか。
思
えば、民主党が2009年の政策INDEXに掲げたメディア政策は素晴らしいものだった。例えば、日本版FCC(メディア規制機関の政府からの独立化)や
クロスオーナシップ規制、日本版フェアユースなど。どれをとっても、日本のメディア文化を大きく変える、意味のある政策だった。
民主党政策INDEX2009
現
在、日本版FCCに関しては、「今後のICT分野における国民の権利保障等を考えるフォーラム」で議論されている。しかし、この会議も、原口大臣が退任後
は、大臣も副大臣も欠席。形式的な会議になっているように見える。繰り返しになるが、日本のように放送局を国家が直接管理しているのは、北朝鮮や中国な
ど、一部の国だけなのである。
冒頭のNHKの話に戻るが、日本の放送通信政策は、既存の放送局などの要求と、総務省の思惑との擦り合わ
せで全てが成り立っている。放送電波は公共の資源としてどう扱うべきか、民主主義のために放送局と政府の関係はどうあるべきか、公共放送は何のためにある
のか、受信料はなんのためにあるのか、などといった、本質的な議論は全く行われずに、「地方局が厳しいから出資率アップ」とか、「受信料収入が落ち込んで
いるから、ネット配信でも受信料」とか、そういうことが平気でまかり通っている。
メディア政策はまだまだ関心が低いが、ネットを通じて、きちんと理解してくれる人が増えることを期待したい。
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