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2010年8月 9日 (月)

FCC、ネット中立性問題で仲介役となることを断念

FCC、ネット中立性問題で仲介役となることを断念か--米報道
2010年8月6日

 ネット中立性の原則に関してVerizon CommunicationsとGoogleが独自の取り決めに到達しつつあると伝えられるなか、報道によると米連邦通信委員会(FCC)は、仲介役として企業間の合意の方向を探ることを断念したようだ。

 Associated Press(AP)とWashington Postは米国時間8月5日午後、株式市場の取引終了直後に、FCCが協議を中止する意向だと報じた。FCCはこの協議でインターネット企業とブロードバンドプロバイダーを引き合わせ、ネット中立性に関する取り決めについて徹底的に議論することを目指していた。ネット中立性の問題では、すべてのインターネットトラフィックが通信事業者によって公平に扱われるべきかどうかをめぐり論争が起きている。FCCは以前、誰もが満足できる解決策に達するよう舵取りをしたいと考えていたが、どうやらこれをあきらめたようだ。

 Washington Postによると、FCCで首席補佐官を務めるEddie Lazarus氏は、次のように述べたという。「われわれは、関係者による今回の議論を打ち切った。協議はいくつかの面で生産的だったが、インターネットの開放性と自由を確保するための強固な枠組みを生み出せなかった。この枠組みとは、イノベーション、投資、自由な言論、消費者による選択を促進するものだ」。今回の動きについてFCCの関係者に確認を求めたが、回答は得られなかった。

 VerizonとGoogleは現在、ネット中立性の問題について独自に協議を進めていると報じられている。しかし、両社がどのような話し合いをしているかはいくぶん不透明なままだ。

 

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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米連邦通信委員会、企業との「ネットの中立性」協議を中止
2010年 8月 9日  6:23 JST

【ワシントン】米連邦通信委員会(FCC)は、実行可能な妥協案に達することができないとして「ネットの中立性」をめぐる企業との非公式協議を中止した。

FCC高官のエドワード・ラザルス氏は声明で、この取り組みは「いくつかの面では生産的だったが、インターネットの開放性と自由を保護するしっ...
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米下院議員がFCCのネット中立性規制に意見書
2010/05/31

米下院議員Joe Barton氏をはじめとする共和党議員は米国時間2010年5月28日、米連邦通信委員会 (FCC) のネット中立性規制に対する意見書を送ったことを明らかにした。ブロードバンドサービスに従来の通信サービスと同様の通信法を適用しないよう求めている。

 「全米ブロードバンド計画(National Broadband Plan)」を進めているFCCは、ネット中立性に関する規制を目的として、インターネットのサービスプロバイダーを携帯電話や固定電話の通信事業者と同様のカテゴリーに分類して通信法を適用しようと考えている。

 171人の共和党議員が署名した同意見書(PDF文書)では、「FCCは多くの事例で、ブロードバンドは通信サービスではなく、一般的な通信事業者の規則が及ばない情報サービスだとの結論を下した」と指摘。また、ブロードバンドを通信法の「Title II」に再分類して取り締まることは、ブロードバンド投資の削減、景気刺激の減退、雇用の減少など、厳しい事態を招きかねないと批判した。

 インターネットの規制に取り組むFCCだが、今年4月にも、米連邦巡回区控訴裁判所がFCCの権限を否定する判決を下している。FCCは2008年8月、米ComcastがPtoPサービス「BitTorrent」などを利用するユーザーのアクセスを妨害し、ネットの中立性に関する原則に違反したとして、Comcastに妨害行為の禁止とコンプライアンス計画の提出を命じた(関連記事:FCC,ComcastのPtoPアクセス遮断を「不正」と判断)。しかし控訴裁判所は「FCCの裁決は権限の範囲を超えていた」としてこれを差し戻した(関連記事:ComcastのBitTorrentアクセス妨害問題、控訴裁判がFCCの裁決を差し戻し)。

[発表資料へ]
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グーグルやアマゾンなどがネット中立性ルールの制定をFCCに要請
「インターネット上の経済成長が最大化される」と主張
2009年10月20日

 ECやソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)などを手掛けるネット企業の経営トップ24人が、米国連邦通信委員会(FCC)に対し、正式なネット中立性ルールの制定計画を進めるように要請した。この計画については、一部の米国議会議員や少数民族団体、通信関連企業から反対の声が上がっている。

ネット企業の経営トップ24人が16526921 共同署名した10月19日付けのFCC宛ての書簡。Open Internet CoalitionのWebサイトで公開されている→→

 米国Amazon.com、Google、eBay、Facebook、TwitterなどのCEOは、共同署名した10月19日付けのFCC宛ての書簡で、ネット中立性ルールによって「競争的で効率的な」インターネット市場が確保されると主張している。この書簡は、ネット中立性を支持するOpen Internet Coalitionという団体が取りまとめたもので、次のように記されている。

 「ブロードバンド・プロバイダーが特定のWebコンテンツやアプリケーションを選別して遮断したり、低速で伝送したりすることを禁止するネット中立性ルールにより、インターネットでは、どの商品が成功あるいは失敗するかが消費者の選択によって決まるようになる。そうなれば、小規模な新興企業から大企業まで、あらゆる規模の企業が競争できるようになり、経済成長とチャンスが最大化される」

 一方、ネット中立性規制に懸念を表明する議員グループや団体、企業もある。この1週間に米国議会議員90人が署名したFCC宛ての2通の書簡では、「新ルールはブロードバンド投資に水を差すおそれがある」との問題提起がなされている。

 民主党は、これまで新しいネット中立性ルールの制定を求めてきたが、2通のうち1通は同党の議員72人が署名している。この書簡には、次のように記されている。

 「FCCは、ネット中立性に関する政策がネットワーク投資に与える影響全体を慎重に検討しなければならない。規制に関する既存の枠組みの弊害を具体的に示す証拠は少ない。この枠組みの下で実現されてきた新しいアプリケーションの発達とイノベーションという成果を踏まえ、FCCが政府規制を推進するという結論を出さないことを、われわれ強く求める」

 Cisco Systems、フランスのAlcatel-Lucent、スウェーデンのEricsson、フィンランドのNokiaなど、通信関連企業44社は、ネット中立性ルールの必要性に異議を唱えている。

 Hispanic Technology and Telecommunications Partnership、National Association for the Advancement of Colored People(NAACP)、Asian American Justice Centerといった少数民族団体も、ネット中立性ルールの制定によって、少数民族の人口が多い地域へのブロードバンドの展開が遅れるおそれがあるとの懸念を示している。

 こうした意見に対して、ネット企業経営トップ24人の書簡では、これまでも通信事業者にはネットワークを共用化し、あらゆるトラフィックを伝送することが義務づけられてきたとしたうえで、次のように反論している。

 「これまで、起業家や技術者、ベンチャー・キャピタリストは、公平中立にアクセスが保証されているなかで、新しいオンライン商品/サービスを開発してきた。その結果として、空前の経済成長と創造性の時代が到来した」(同書簡)

 なお、この書簡には、Craigslistの創業者、Flickrの創業者、Sony Electronicsの社長、MozillaのCEOなども署名している。

(Grant Gross/IDG News Serviceワシントン支局)
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FCCが固執するネットの中立性?その決定は必要かそれとも”インターネットの9/11″か(討論ビデオ)
2010年5月6日

今朝のニュースでFCCがインターネットの物理回線に対する規制に乗り出すと報じられたあと、本誌はネットの中立性(net neutrality)に関するエキスパート5人にこの問題について議論してもらった。FCCの法的権限と、そのインターネットの競争とアクセスに与える影響、そしてFCCがかねてから派手にぶち上げてきたブロードバンドの全国普及について、血も涙もある忌憚ない意見が聞かれた。

司会役はThe Cult Of The Amateurの著者Andrew Keen、議論に参加したのはRichard BennettInformation Technology & Innovation Foundationの研究員)、Larry DownesStanford Law School Center For Internet & Societyの研究員)、Michael MasnickTechdirtのCEOでファウンダ)、Gigi SohnPublic KnowledgeのCEOでファウンダ…Skypeで参加)の諸氏だ。

これはもちろんインターネットにとって大きな問題であり、ケーブルプロバイダから消費者に至るまでの全関係者の利害に影響を及ぼす。報道によるとFCCは、これまでは主に電話会社などの伝統的な電気通信企業に適用されていた通信法(Communications Act)の第2章に基づいて、インターネットの物理回線を規制するつもりだ。先月FCCはComcastをめぐる訴訟で、FCCにはネットの中立性を企業に強制する権利はないと裁定され、敗訴した。今回のFCCの決定は、その裁定に対する迂回策だ*。この問題は、プロバイダと消費者団体やインターネット企業を対立させる、きわどい問題でもある。〔*: FCCには‘情報’企業や‘情報’事業を規制する権限はないとされたので、‘通信’に対してならリッパに権限があるはずだ、と今回巻き返しに出た。〕

今回の議論でも意見は二つに割れた。SohnはFCCの味方をして、通信法はインターネットのプロバイダにも無理なく適用できる法的枠組みだと主張した。これに対してBennettは、司会者Keenに向かって、FCCの今回の動きは”インターネットに対する9/11だ”と言った。それは、FCCにはインターネットを規制する法的権限がない、という断固たる反論だ。そしてほぼ全員が同意した見解は、FCCがこの路線を進めば、連邦裁判所が何年かかってもさばききれないほどの訴訟ラッシュが起きるだろう、というもの。Keenは”インターネットが弁護士たちの草刈り場になる”、と言った。議論のビデオを、上に埋め込んだ。

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