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2010年8月 4日 (水)

夢が見えない「地デジ大作戦」 - 池内正人

夢が見えない「地デジ大作戦」 - 池内 正人 - 新聞案内人 :新s あらたにす(日経・朝日・読売)

 テレビの画面に「地デジの準備は・・・」とか「アンテナは・・・」とかいうテロップが大量に流されるようになった。総務省が作ったコールセンターの電話番号も。

 来年7月24日に予定される地上デジタルへの完全移行まで1年を切り、地デジ大作戦が始まった。総務省は全国1000か所に相談所を設けるという力の入れよう。

 それというのも、地デジへの切り替えが思ったように進んでいないからだ。総務省の集計によると、全世帯の2割強に当たる1100万世帯がまだ対応していない。

 専門家の間では、来年7月の完全移行はムリだという見方が強まっている。放送関係の有識者は、2-3年の延期を提言した。だが総務省は断固として方針を貫く姿勢を崩してはいない。

○なぜデジタル化

 新聞やテレビも、地デジ化の長所を盛んに解説している。画面が鮮明になる。双方向通信が可能になる。電波障害が少なくなる・・・。

 NHKや民間テレビ局は、いまアナログ波とデジタル波の放送を同時に流している。完全にデジタル化してアナログ波の放送を停止すれば、それだけコストを低減できる。だからテレビ局が地デジ化に熱心なことはよく理解できる。

 しかし地デジ化の長所やテレビ局の負担軽減は理解できても、視聴者の方も地デジ化にはおカネがかかる。特に都市部のマンションなどの集合住宅と山間部では、コストの問題がネックになって地デジ化が進まない。

 まだ対応ができていない1100万世帯の大半は、地デジ化そのものに対して不満を持っているという。いまのアナログ放送で満足しているのに、なぜカネをかけてデジタル化しなければいけないのか。
 ここまでくると、総務省の地デジ大作戦には致命的な欠陥があるように感じられる。それは地デジ化で不要になる多数のアナログ波をどうするのか。その説明がほとんどないことだ。

 携帯電話向けのテレビ放送に使うという見方が有力だが、政府はまだ具体策を固めていない。とにかくデジタル化を完了して、アナログ波を“供出”せよと言うばかり。これでは地上げ屋のやり口とそう変わらない。

○国民生活、新産業は?

 アナログ波をどう再活用するのか。それによって国民の生活は、どう変わるのか。新しい産業が起きるのか。景気を刺激する力は?

 こういう点を明確にすれば、国民はもっと納得するのではないか。要するに、いまの地デジ大作戦には夢がなさすぎる。テレビ局にはムリだとしても、新聞はこの問題を積極的に取り上げる責任があると思う。
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Biz1007312046008p11

【地デジカウントダウン あと1年】 モデル地区・珠洲 特例づくし「参考にならない」
 「我が国のテレビ放送の新たな時代が始まった」  7月24日、1年先駆けて「地デジ完全移行」を実現した石川県の珠洲(すず)地区。イベントで泉谷満寿裕(ますひろ)珠洲市長が誇らしげにあいさつしたように、約8800世帯の「モデル地区」では、ほぼノートラブルでアナログ放送を停波したことに関係者の満足が広がった。電波障害をうかがわせる問い合わせもなく、ある職員はつぶやいた。「完璧だよ、完璧」。。。。。。。。。。


地デジ化は視聴者に納得されているか - 田中 早苗 - 新聞案内人 :新s あらたにす(日経・朝日・読売)

地デジ化は視聴者に納得されているか(1/2)2010年07月26日
田中早苗 弁護士
 老人ホームにいる知人を訪ねた。具合がよくない。どうやら、楽しみにしていた大相撲名古屋場所の中継がないことが一因のようだ。
 テレビは、彼らにとって、かけがえのない友なのだ。
 その友が、来年7月24日、地上アナログ放送を打ち切り、地上デジタル放送に完全に移行する。
 約1億台以上あったアナログ対応テレビは無用の長物となる。

○対策の進展
 ただ、デジタル対応テレビは既に84%の世帯に普及したという(7月21日付日経社説)。
 しかし、周りを見渡しても8割も買い替えられたという実感がない。84%という総務省の調査については対象が比較的高所得の世帯に偏るなど、正確性を疑問視する声もある(20日付東京)。
 また、テレビを買い換えても地デジは見られない場合がある。
 隣接するビルが電波を遮る「ビル陰障害」。
 「ビル陰障害」のアンテナ対応率は3月時点で47.8%にとどまるという(24日付日経)。
 また、地デジは極超短波のUHFアンテナを設置しなければならない。
 テレビ電波は、当初超短波のVHFが割り振られたが、満杯になったため極超短波のUHFに広げられ、老舗のテレビ局がVHFを使っている(「地方テレビ局は生き残れるか」鈴木健二・日本評論社・27頁)。特に、南関東地区は、主に視聴されている放送局に老舗局が多いからか、周波数がVHF帯のため、多くの世帯がUHFアンテナを設置しなければならない。

 南関東で、マンションやアパートなど集合住宅で、地デジ対応が済んだ施設の割合は、東京49%、埼玉43%、神奈川59%、千葉57%。北海道98%、近畿99%などと比べても極端に低く、「南関東問題」と呼ばれているという(23日付朝日)。
 また、アナログ放送は見ることができたのに、デジタル化で視聴できなくなってしまうところが13万世帯あるという。アナログ放送は電波が弱くてもかろうじて映るが、デジタル放送は、電波の強さが一定以下になると映らなくなる特性があるためだ(23日付朝日)
地デジ化のメリットは映像や音声が高品質になる、データ放送、双方向サービスなどいわれるが、これだけ国民に負担を強いるだけのメリットがあるのか疑問なしとしない。
 それでは、放送局側にメリットがあるから地デジ化が実施されるのだろうか。
 日本民間放送連盟によると、2011年までの地デジ投資は総額1兆1000億円。この巨額投資は「増収もコスト削減ももたらさない」(北海道の民放幹部)。テレビ岩手の矢後勝洋社長も「地デジを新しい収益源とするのは難しい」と話す。広告料の上昇は見込めず、データ放送も地方ではビジネスモデルを描けるか疑問だという(21日付日経)。

 地方テレビ局は広告収入の落ち込みが続き、09年度は3社に1社が赤字。それにデジタル化に伴う巨額投資負担が追い討ちをかけている(22日付日経)。特に、旧郵政省が打ち出した民放TV四波化方針により平成になってから新設した平成新局はそれまでの蓄積がない分、今後が心配だ。
 米国やドイツなど9カ国はデジタル化に完全移行済み。しかし、米欧は多くの世帯がケーブルテレビで視聴しており、アンテナを変える必要がない。それに引き換え、日本のケーブルテレビ加入率は全世帯の46.7%(10年3月末現在)で、米欧よりも低率で、大量のアンテナ改修が必要だ(25日付毎日)。

○視聴者と放送局の負担
 デジタル化のメリットはいったい何なのか。結局、空いたVHF帯を携帯電話向け次世代サービスに利用できることなどなのだろうが、新聞各紙をみてもピンとくる解説記事がない。
デジタル化は、欧米と異なり、日本国内の視聴者と放送局にこれだけの負担をかけて実施する大事業だ。
 特に、テレビという友達が突然、目の前から姿を消してしまうかもしれない高齢者にとっては、携帯電話向け次世代サービスの恩恵があるよといわれても、友を失うことに納得できやしない。

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