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2010年7月19日 (月)

報告 : 「完全デジタル化」と「アナログ放送停止」の延期を求める記者会見

http://www.labornetjp.org/news/2010/0717hokoku/ より転載

071702

「地上デジタル放送」の開始まであと1年に迫った7月17日。東京都内で「完全デジタル化」と「アナログ放送停止」の延期を求める記者会見が開かれた。

東京・千代田区の「主婦会館プラザエフ」会議室に、テレビ局などメディア関係者が多数集まり、主催者が作成した提言などについて、質疑応答が交わされた。
発起人は、ジャーナリストの坂本衛氏、弁護士の清水英夫氏ら放送やメディア論の有識者4人。会見が始まると、立教大学准教授の砂川浩慶氏が「提言」を読みあげた。

■恣意的な普及率調査
完全移行まで一年余りとなったが、総務省の調査をはじめとする各種データでの「地デジ対応設備」の普及率には、大きな誤差や水増しがあること。現状のまま進めば、来年の7月24日にテレビを見ることのできない家庭や事業所が、数百万世帯という規模で発生すること。それにより、情報格差の拡大どころか、台風や地震などの災害時の重要な連絡が遮断され、人々の生命と安全が大きく脅かされることなどを「提言」は指摘。地デジへの移行とアナログ放送停止の延期。計画の真しな見直しを求め、議論を広げることを呼びかけている。
坂本氏(写真)は、「今回の計画は本当に視聴者が望んだものなのか。デジタルは確かに便利だが、それに変えてくれと誰が頼んだのか」。「アナログ放送がこれほど普及している国は世界でもまれだ。これまで、走査線が少ないとか、横長画面にしろとか、音質が悪いなどの苦情がテレビ局に寄せられたことは一度もない」と切り出した。
砂川氏は、「ある日突然、国の政策でテレビが見られなくなる。視聴者には何も悪いことをしていない。こんなことが許されるのか。放送局内でもきちんと議論ができていない。何とかなるだろうというムードばかりが先行している。何がなんでもアナログ放送を止める、という必要はない」と語った。
清水氏は、「情報を得る権利、知る権利の問題である。視聴者は今まで通り『アナログテレビ』(以下単に「テレビ」という)を見る権利がある」と論じた。

■問題だらけの移行と強要
この日配布された資料によれば、「地上デジタル受信機」の累計出荷台数は「7783万台」(10年6月末現在)と、来年7月までの目標に届く数字にはなっている。だが、これは地デジが受信できるすべての機器の単純な合計であり、かつ一世帯の複数購入も加算されている。
「地デジ対応テレビ」に出荷台数を絞り込めば、アナログテレビ1億3000万台の約半数7000万台前半と見込まれる。この数字は、現在普及している2台目以降のテレビが、家庭内から消えることを意味している。
総務省発表の「地デジ浸透度調査」(RDD電話調査)も、電話で事前に調査票郵送の可否を求めたり、働きに出ている時間の多い単身者や低所得世帯には、そもそもつながりにくい。このことから、調査対象じたいが偏り、世間の実態とは大きくかけ離れた結果が出されている。
また、集合住宅や山間部・辺地など、「共聴受信施設」の地デジ対応が大幅に遅れていることも問題だ。集合住宅の受信対策は、管理組合を通して工事を実施したり、あるいはアパートのある場所と大家が離れているなど、個人の意志では対応できないという事情がある。こうした状況を考えれば、とてもあと1年で準備が間に合うはずがない。
さらに低所得者向けに、現在のテレビに接続する「簡易チューナー」が配布されるというが、本体のテレビが壊れれば、結局は地デジ対応テレビを買うしかなくなる。無償配布ならば総務省の予算の、個人が買ったものなら代金の無駄づかいになる。すでにアナログ波が停波しているため、もし画面が映らなくなれば、チューナーが悪いのか、本体の故障かの判断すらできなくなる。したがってどちらのメーカーも苦情に応じず、修理にも二の足を踏む。
 極めつけは、連日観光客でにぎわう建設中の「東京スカイツリー」(墨田区・写真)の問題だ。この世界一のタワーからデジタル波を送信する予定だが、来年の移行までにタワーの完成が間に合わないのだ。
タワーの開業は2012年の春で、フルパワーでの送信はその年の暮れとされている。現在のデジタル波は東京タワー送信だから、どの段階でアンテナの向きを変えるのか。個人世帯や事業所は、ここでも翻ろうされることになる。

■来年度移行の撤回を
会見参加者からの質疑応答にも十分な時間が配分され、さまざまな意見が出された。ある大手紙記者は、現在のテレビ画面の上下にかかる黒帯「レターボックス」へのクレームがかなりあり、それにまず抗議すること。会見者の今後の動きをただした。
これに対し主催者は、「デジタル放送への移行じたいは否定しない。問題はそのやり方だ」と強調。今回作成した「提言」を、「要求書」のようなかたちで当事者に突きつけるのではなく、「当面は信頼できる周辺の人々から、延期への賛同者を募っていく」のだという。それで間に合うのか、効果があるのか。
「アナログ停波については、もっとメンタルな影響を訴えるべきだ」との意見があった。増え続ける独居高齢者などは、テレビだけで社会とつながっていることが少なくない。そんな人々からテレビを取り上げることが、何をもたらすのか。「この国は最後にはテレビすら見せてくれなかった」と恨まれるに違いない、という。大切な視点だ。
筆者はこれまで、アナログ放送の受信すらままならない、電波状況の悪い一戸建ての家に住んでいた。それでも口座引き落としでNHKの受信料は払い続けていた。
5年前にアパートに引っ越したことで、共同受信の設備にありついたが、今になっても近隣から、そして大家から「地デジ対応」の話はいっさいない。総務省の派手な、そして嫌がらせまがいの広報も空しく、圧倒的多数の市民が地デジには関心も興味も持っていない、ということだろう。
混迷する政治、景気の悪化、出口の見えない閉塞感覆う社会状況の中で、「地デジ放送」など、庶民にとって実はどうでもいい絵空事なのではないのか。ならばなおさら、拙速なアナログ停波は許されない。その影響、混乱、すなわちデメリットははかり知れない。最低限の情報を得る権利が侵されようとしている。市民の側からの強力な働きかけが急務だ。(Y)
※この日は発起人の一人であるジャーナリストの原寿雄氏が欠席。坂本氏と砂川氏の二人が会見を進行した。
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地上デジタル放送完全移行の延期と現行アナログ放送停止の延期を求める提言
地デジ完全移行/現行アナログ放送停止の延期を求める「10の根拠」


http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/blog/2010/07/post-d432.html

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