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2010年6月 1日 (火)

放送法改正案の慎重審議を求めます「開かれたNHKをめざす全国連絡会」

    放送法改正案の慎重審議を求めます 2010年5月31日
           開かれたNHKをめざす全国連絡会
           世話人:松田浩 隅井孝雄 醍醐聰 岩崎貞明  

5月25日、衆院総務委員会において審議打ち切り・強行採決された放送法改正案は、参議院に審議の舞台が移されました。私たちは、放送法制定以来の全面的な「大改正」だという審議が、乱暴な手続きで拙速に進められることに強い危惧を覚えます。ここに、以下の各点に留意の上、慎重審議を心がけていただきたく、申し入れる次第です。

1.ハード・ソフト分離規律は表現の自由の脅威となる
 改正案では、あらゆる放送についてインフラ設備(ハード)と番組(ソフト)を分離する規律にして、ハード事業には従来どおりの免許制度、ソフト事業には総務大臣による「認定」手続きが導入されることになっています。
これは現行の放送法でも導入されている規制手法ですが、認定手続きに際して番組内容の判断権を行政が握っていることは、本来表現の自由を侵害するおそれを含んでいると思われます。
諸外国では政府から独立した規制機関が放送行政を担っているのは、少なくとも形式的には政府が放送の内容に踏み込んで判断することがないようにすることを目的としているものです。日本でも、同種の行政改革が一日も早く望まれます。
 また改正案の174条では、地上波のテレビ・ラジオなど以外の放送事業者に対して、法違反などが認められた場合に総務大臣が最大三ヵ月間の業務停止を命令できる権限が加わっています。地上波の放送事業者には電波法76条が放送局の免許停止などについて規定していますが、こちらは行政からの独立性が脆弱な組織とはいえ、電波監理審議会の諮問・答申を経ることが絶対条件になっていることを考えれば、この174条は行政権限の不当な拡大といわざるを得ません。
もしこの条文が時の行政権力によって恣意的に運用され、政府が個別の番組内容に踏み込んだ判断をすることがあれば、まさに表現の自由の侵害以外の何ものでもないことになります。

2.あいまいな「放送」の定義
 改正案では、放送の定義が「公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信」と、従来の「無線通信」から拡大されています。有線テレビジョン放送法などを統合することによるものだと理解できますが、ここで懸念されるのはインターネットが「放送」の概念に含まれるかどうか、です。
衆院での審議で、原口大臣や内藤副大臣は「インターネットは直接受信には当たらない」と説明していますが、今後の技術革新によって、また条文の拡大解釈の危険性は払拭されていません。
明文上で明らかな規制が設けられない限り、インターネットのサイトやブログを開設している一般の人々が、いつのまにか「放送事業者」にされてしまうおそれが残されていると考えられます。

3.NHKの経営と執行の分離を
 NHK経営委員会に会長を正式メンバーとして加える改正については、衆院総務委で削除の修正提案も出されましたが、採決の結果却下されました。しかし、私たちは、海老沢会長時代までは経営委員会がNHK執行部の企画・立案を追認する機関にすぎず、古森経営委員長時代は逆に経営委員会がNHKの企画・執行機能にまで干渉した苦い経験を踏まえ、NHKにおける企画・執行機能と監督機能を分化するガバナンス体制を堅持することが極めて重要と考えています。その意味から、NHK会長を経営委員会のメンバーに加えようとする第30条第1項を削除するよう要望します。
 むしろ、経営委員会の人選に関しては委員の公選制導入も視野に入れて、選考過程を透明化するような法改正が筋ではないでしょうか。

4.誰もが理解できる法律にするために
 デジタル時代を迎え、私たちの周りにはさまざまな放送サービスが展開し、私たちはそうしたサービスを比較的安価で、安全に利用できるようになりました。いつでもどこでも誰でもが、ほぼ自由に情報を発信できるという時代です。放送や通信サービスがこのように飛躍的に拡大し、人口に膾炙するようになった現在、それらを規律する法律も、市民の理解しやすいものが望まれるのは言うまでもないことだと思います。
 その観点からすると、今回の改正案はいかにも複雑で、およそ専門家以外には理解しがたい法案になってしまっているのではないでしょうか。それに、国民各層による広汎な議論もないままに、このような法改正をどんどん進めてしまうことは、民主主義の原則に反していないでしょうか。「民主主義の発達に資する」とその目的にうたっている放送法が、このような審議で大幅に改正されるようでは、日本の民主主義の底の浅さが露呈するようで、後世に禍根を残すことになるのではないでしょうか。
 私たちは、現在の改正案をいったん撤回して根本的に見直すことを含めて、改めて慎重な議論を行うことを心から求めます。      以 上


この申し入れ文書を参議院総務委員(25名)に送付しました。2010/5/31


近畿NHK3団体が要望書
総務大臣 原口一博様  2010年6月1日
NHK問題京都連絡会
NHK問題大阪連絡会
NHK問題を考える会(兵庫)

放送法「改正」案、徹底審議の要望書
 民主党は、当初「放送行政を政府から切り離し、独立行政委員会に委ねる」と主張していました。この方向は、現放送法が謳っている「民主主義の発展に貢献する」という面を発展させるという意味で、積極的な意義をもつものでした。
 しかし、現在審議中の「放送法改正」案は、むしろ当初の主張とは逆行する部分をもっており、放送に対する行政の規制・介入が拡大するおそれもあります。
 したがって、放送法「改正」案の採決を急ぐことなく、民主主義の原点を脅かすことなく、むしろそれを推進する方向で審議を尽くしていただくよう強く要望するものです。

① (放送の定義)
 現行法の「無線通信の送信」が改正案では「公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信」となっています。最近、インターネット放送局や動画サイト、個人が発するブログなどが拡大しています。これらも「電気通信」分野に入ります。改正案の定義を拡大解釈すれば、これらも規制の対象となりかねません。
 この危険性を防ぐ条文を明確化すべきではないでしょうか。
② (免許)
 現行法は、放送免許について、「設備免許」〈ハード〉が主体でした。改正案では、このほかに、総務大臣が、番組制作など「ソフト」の事業者を「認定」することになっています。ここには、これまで衛星放送だけに限定されてきた制度を、地上放送に拡大することが明記されています。総務大臣が、放送番組制作事業者を認定することは、行政の恣意的な意向が入り込む危険性を孕んでいます。放送における表現の自由を損なう落とし穴といっても過言ではないでしょう。
③ (電波監理審議会)
 改正案の180条で、新たに電波監理審議会が放送に関する重要事項を「調査・審議」し、総務大臣に「建議」できることを記しています。総務大臣の諮問機関である「電波監理審議会」が「放送における表現の自由の確保」などを理由として重要事項について上記権限をもち、関係行政機関に協力要請を行うことは言論の自由にとって重大な問題です。現行放送法においては、これらの重要事項については、放送事業者の自律に委ねられ、また第3者機関BPO(放送倫理・番組向上機構)が十分自律的に機能しています。さすがに衆議院ではこの項目は原案から削除されましたが、行政権限に執着する現政権への危惧はぬぐえません。
④ (NHK会長の経営委員会参加)
 NHK会長が経営委員会に加わる点については、NHKガバナンスの在り方、すなわち経営・監督と企画・執行という経営委員会と理事会の互いの役割についてあいまいさを生むことになります。会長がいかなる立場でそれぞれの機関会議に参加しているのか、本人のみならず周囲も混乱する原因となることは火を見るより明らかです。この条項の削除を要望します。
④ (市民の権利拡大・政権からの放送の独立の視点)
 放送法を改正する以上、放送への市民の権利を大幅に拡大する視点が必要だと考えます。特に、NHK経営委員選出・会長選任の方法の改革、NHK予算の国会承認の検討などが求められます。「放送の政府からの独立」「視聴者に責任を持つ放送」という観点を抜きにした改正は、「民主主義への貢献」とはならないというべきではないでしょうか。「放送行政を政府から切り離し、独立行政委員会に委ねる」とした当初の政策に立ち帰った改正案を期待します。付け加えれば、せっかく議論が重ねられてきた貴職主導の「今後のICT分野における国民の権利保障等の在り方を考えるフォーラム」での討論を待って、「改正案」を練り直していただくよう切に要望します。    以上

参議院 総務委員各位にも同趣旨の申し入れを行いました。
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参議院 総務委員各位「申し入れ」についての記者会見
放送法改正案に関する勉強会(記者会見)
日時:2010年6月2日(水)午前10時30分~午前11時30分
場所:参議院議員会館第4会議室

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