新刊案内:『NHKドラマ「坂の上の雲」の歴史認識を問う』
■はじめに(高文研編集部)
NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」第一部は、「韓国併合百年」を目の前にした二〇〇九年の年末、毎回約一時間半、五回にわたって放送されました。後半の場面設定は日清戦争の時代となり、戦場シーンなども描かれましたが、日清戦争を描く基本的スタンスは、大陸からの脅威に対する「祖国防衛戦争」でした。しかし、本当にそうだったのでしょうか。
日清戦争は、近代日本の最初の本格的対外戦争です。その結果、最初の植民地も獲得しました。その後に日本が歩む道筋はこの戦争によってつけられたと断言できます。
ところが一般に、幕末・維新、あるいは日露戦争にくらべ、日清戦争についての認識はきわめて曖昧模糊としています。そのいわば「歴史認識の空洞」が、今回のような大がかりな虚偽(デマゴギー)にもとづくドラマの出現を許したとも言えます。
日清戦争の主題は、一にも二にも「朝鮮」でした。そのことの認識を欠いて、相互理解にもとづく日韓・日中の友好は築けません。本書は、NHKドラマのウソ・誤りの指摘を通して、日清戦争とはどんな戦争であり、その本質は何だったかを伝えるものです。
本書は、「『坂の上の雲』放送を考える全国ネットワーク」結成の過程で企画されました。主人公・秋山好古の敬愛する福沢諭吉の実像を伝えるとともに、今このようなドラマを制作・放送するNHKの社会的責任を厳しく問う評論を掲載したのもそのためです。
立ち読み
朝鮮王妃殺害事件の調査補遺 醍醐聡のブログより
新刊書『NHKドラマ「坂の上の雲」の歴史認識を問う』の普及に皆様のお力添えをいただけましたら、ありがたく存じます。
ご参考までに:本書の案内文書
http://www.koubunken.co.jp/0450/0443.html
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