大相撲賭博の調査委員会の拙速な判断と不可解な行動: 醍醐聰のブログ
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「初めに場所開催ありき」の拙速決定
調査委は相撲協会の代役者なのか?
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テレビの視聴率調査で、地上波のNHKと民放キー局以外を見た「その他の局」の視聴率が上昇している。中高年層からは「地上波には大人が見たいと思える番組が少ない」という嘆きも聞くが、視聴者の「地上波離れ」が数字として表れ始めたのか? (近藤晶)
「視聴率の『その他』の区分が、ここ二、三年、じりじりと(BSやCSなどの)視聴可能世帯の増加に伴って上がってきている。地上波のソフト力低下が原因だとすると問題なので、検証していきたい」
テレビ朝日の早河洋社長は先月下旬の定例会見で、「気になったこと」として「その他」視聴の拡大に警戒感を示した。
ビデオリサーチの視聴率調査では、BS、CS、ケーブルテレビ、県域UHF局、放送大学を「その他の局」という項目で合算して集計している。つまり、地上波のNHKと民放キー局五局以外を合わせた視聴率だ。
先の会見で挙げられたのは、五月十七~二十三日の「その他」視聴率週平均。ゴールデンタイム(G帯=午後7時~同10時)が7・4%、プライムタイム(P帯=同7時~同11時)が7・1%、全日(午前6時~深夜0時)が4・3%だった。「その週は過去最高で、五年前と比べると約一・五倍。『その他』視聴率が上昇しているのは間違いない」(放送関係者)という。
背景には、来年七月の完全デジタル化に伴い、地デジ、BS、一一〇度CSのすべてが見られるデジタルテレビや録画機など三波共用機の普及がある。BSデジタル放送受信機の普及台数は約七千四百八十六万台(NHK推定値、5月末現在)。民放キー局系BS五局の調査では、今年二月時点の世帯普及率は約52%と半数を超えている。衛星テレビ広告協議会によると、CS加入者も昨年度末、千八十五万件、普及率は21・8%に達した。
「一つの要因は、地上波でプロ野球中継が少なくなり、BSやCSで放送するようになったこと」とテレ朝の早河社長。日本テレビの細川知正(のりただ)社長も「おそらくかなり多くの方が、野球のナイター中継をBSで見ているのではないか。『その他』視聴はBSの普及が大きいと思う」と指摘する。
プロ野球は、CSのスカパー!が全試合を中継。BSでも昨年から大幅に放送が増えた。日テレの舛方勝宏専務は「巨人戦中継の視聴率で、『その他』が地上波を上回るときもあり、半分以上はBS視聴の影響があるのではないか。逆に言うと、プロ野球はBSという、ある意味のブランドが定着したように感じている」と話す。実際、今年四月の巨人戦中継は、地上波の平均世帯視聴率が9・7%(14試合)で、昨年同月の12・2%(10試合)を大きく下回っている。
民放キー局系BS局は二〇〇〇年の開局以来、長らく赤字に苦しんできたが、〇七年度決算で全局が単年度黒字化し、番組の幅も広がってきた。「BSが見やすくなり、そこに有力なコンテンツがつき始めた。相当競争力を持つメディアとして定着し始めているのでは」とテレビ東京の島田昌幸社長。
今年四月の「BSパワー調査」では、G帯、P帯、BSプライム帯(午後7時~深夜0時)、全日のすべての時間帯で、調査開始以来過去最高の接触率を記録した。BS朝日の上田直人編成制作部長は「各局の番組強化が底上げになり、それがプロ野球の開幕時期と重なった。プロ野球はBSでは他のコンテンツに比べ、反応がよく出るが、地上波の視聴率を侵食しているとは限らない」とみる。
多チャンネルのCSも接触率が右肩上がりで伸びている。フジテレビの豊田皓社長は「視聴者の多様化が進んでいるのではないか。例えば、CSの時代劇専門チャンネルは経営状態もよく、支持を受けている」と分析。「経営が要求しているものと、視聴者が要求しているものがズレてはいけないが、スポンサー筋はやはり購買力のあるターゲットに向けた番組がほしい。(地上波、BS、CSの)三波体制でやっているので、いろいろな場面で視聴者に応えていきたい」としている。
(※視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)
地デジ視聴にはCATVを 東京・池袋でショー開催
全国のケーブルテレビ(CATV)局でつくる日本ケーブルテレビ連盟(東京)などは24日、東京都豊島区の池袋サンシャインシティで「ケーブルテレビショー2010」を開いた。2011年7月の地上デジタル放送への完全移行まで約400日となったのに合わせ、地デジや有料放送を視聴できるCATVをアピールするのが狙い。
NHKの福地茂雄会長ら放送関係者がテープカット。日本ケーブルテレビ連盟の西条温理事長は「デジタル時代にCATVが提供できる便利さや楽しさを伝えたい」とあいさつした。
ショーにはCATV局や電機メーカーなど約170社が参加。最新の番組を紹介しているほか、地デジ対策の相談に応じるコーナーもある。地デジの電波塔として建設中の東京スカイツリーの模型も展示。26日の午後1時からはお笑いコンビ、テツandトモらによるイベントも開く。開催は26日までで、講演を除いて入場料は無料。(共同) 2010年6月24日 11時43分
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NHKを監視・激励する視聴者コミュニテイは本日、NHK福地会長と小丸経営委員長宛に、大相撲名古屋場所の中継を中止するよう求める申し入れを提出しました。また、報道各社に通知しました。
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日本放送協会会長 福地茂雄 殿 2010年6月28日
NHK経営委員長 小丸成洋 殿
賭博にまみれる日本相撲協会の名古屋場所中継の中止を求めます
NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ
共同代表 醍醐 聰 湯山哲守
私達NHKを監視・激励する視聴者コミュニティは会員が毎週いくつかの番組を視聴し、その公平性、客観性、科学性につき分析し、議論し合っています。議論の成果の一部はNHKにも伝え、番組の改善を求めております。これまでにも、夜7時のニュースでの必要以上に多い大リーグ情報の提供を問題にし、縮小あるいは22時前後のスポ-ツニュースへの集約などを求めてきました。特定の競技に関する情報提供がNHKに求められている公平性に抵触すると考えたからです。
ところで、現在、日本相撲協会の構成員が、反社会的組織(暴力団)の主催する賭博へ深く関与したとして国民の厳しい目にさらされています。報道によると、2000件近い非難の声がNHKに寄せられ、名古屋場所中継の中止を求めているといいます。過去には親方が刑事責任を問われた暴力死亡事件、複数の力士による麻薬使用事件、横綱の暴力事件等が世間を騒がせできた中で、特に今回、力士の個人的関係ではなく、相撲協会全体が暴力団と深い関係にあったことが暴かれた事実は重大です。
相撲の発生は古墳時代の中頃、野見宿禰と當麻蹶速の闘いに遡るといわれています。特に奈良時代になると7月7日の節会の一つとして実施されたことが知られます。7月に開かれる夏場所は相撲の原点ともいえる場所なのかも知れません。その場所に臨む60余人にも上る力士や親方、関連構成員が犯罪である賭博に手を染めていた事実は深刻です。公共放送たるNHKが、犯罪にまみれたスポーツ団体の競技を中継するには慎重な検討が必要ではないでしょうか。土俵を巡る懸賞金が賭博の資金源だと子供達が知ったらどう思うでしょうか。
この間の日本相撲協会の対応も賭博に対する認識の甘さを露呈しています。犯罪に手を染めた力士や関係者の厳重な処分がなされ、組織をあげて反社会的組織との関係の根絶の姿勢が明確に示されるまで、大相撲の放映を停止すべきと考え、当面、名古屋場所中継の中止を求めます。 以上
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原口一博総務相は17日の政務三役会議で、通信・放送分野の法体系を改める放送法などの改正案が16日閉会した国会で廃案となったことに関連して、「何としても次の臨時国会で通す」と述べ、参院選後の臨時国会に提出する考えを示した。
改正案には、民放キー局が経営の苦しい地方局を支援しやすいよう、複数の放送事業者への出資に関して上限を緩和する内容があった。原口総務相は、廃案により「地方の放送局には迷惑をかけることになる。早急に通さなくてはならない」と語った。(時事通信 2010/06/17-12:18)
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NHK経営委員長選出、透明化求める要望書
(2010年6月14日19時11分 読売新聞)
22日に開かれるNHK経営委員会で、新委員長が選出されることについて、市民団体「開かれたNHKをめざす全国連絡会」(世話人=松田浩・元立命館大学教授ら)が14日、選出過程の透明化などを求める要望書を経営委に提出した。
要望書では「公共放送の意思決定、監督機関の長にふさわしい見識を備えた委員長が選出されるよう期待する」などとしている。
現在の経営委では、飛田稔章委員が委員会の3割以上を欠席。黙認した小丸成洋委員長(福山通運社長)の運営手法も問題視されている。
6月14日「開かれたNHKをめざす全国連絡会」はNHK経営委員会に「新経営委員長選出にあたっての要望」を提出しました。(世話人3名+放送を語る会1名)
(NHK側の応対者は、経営委員会事務局専任部長の鈴木賢一氏と視聴者事業局副部長の朝比奈正彦氏)
全国連絡会からは次の点を強調しました。
1.新しい経営委員長には経営委員会が合議機関であることを充分理解し、その強みを発揮できる資質を持った人が望まれる。
2.新経営委員長はNHKにおける企画・立案と議決・監督の機能が分化されていることをわきまえ、NHK執行部と緊張関係を保ちながら、任務に当たれる人物であること。
3.過去のある時期、経営委員長は経営組織を動かした経験があること、東京周辺に在住していること、といった条件が挙げられたことがあるが、これは何ら一般的ではない。今回もそうした条件を付けた選任がなされないよう、くれぐれも留意してほしい。
4.新委員長は経営委員会で選任にされる際、また、委員会後の記者会見で所信を表明するようにしてほしい。その際には、目下、非公開の「委員懇談会」と称される「経営委員のみ会」の議事録の公開にどういう姿勢か表明してほしい。
5.今日の要望書は22日の会合前に各経営委員に届けてほしい。
6.かつて、経営委員長が在籍する企業の社員が事務局メンバーであるかのような役目を分担していたことがあると聞いているが、今はどうなのか? そういう慣習があるとすれば、直ちに改めるべきだ。
<鈴木氏) 秘書が社長のスケジュール管理の一環として連絡を受けることはあるが、他の経営委員とやりとりをするなどと言うことはない。
ハートプラザでの面会のあと、取材に来ていた報道関係者(朝日、読売、共同、東京、赤旗)とNHKの建物の中にラジオ・テレビ記者会の部屋に異動し、そこで多少の質疑を交わしました。
「開かれたNHKをめざす全国連絡会」、「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」、「NHK問題を考える会(兵庫)」の申し入れ文は続き参照
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アナログ停波強行に加え、
通信・放送の将来像を抜きに放送法「改正」!?
ちよっと待ってよ!総務大臣
放送法「改正案」が衆議院で強行採決されました。
原口総務大臣はこれまで「国家権力を監視する役割を持つ放送局を国家権力が監督するという矛盾を解消する」と正論を述べていたが、ここでも「約束違反」を行っています。 憲法21条の「言論の自由」が揺らいでいます。国家による「放送・情報」分野の統制が進みます。隅井先生のお話を聞いて、ぜひ放送法改悪の背景と危惧される事態を一緒に考えてみましょう。
受信料・アナログ停波問題も議論します。
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★学習会★
国際メディア研究者ノートルダム女子大学客員教授
講師:隅井孝雄さん
「放送法『改正』をどうして急ぐのか?」
日時:6月27日(日)13:00~16:00
会場:教育会館別館(教育文化センター裏、駐車場隣接)
(丸太町通り、川端通りと熊野神社の中間に入口通路あり)
資料代:500円
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※近畿3府県NHK問題連絡会連名で6月1日に「放送法“改正"案、徹底審議要望書」を原口総務大臣、参議院総務委員宛にFAXを送りました。
主催:NHK問題京都連絡会
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■はじめに(高文研編集部)
NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」第一部は、「韓国併合百年」を目の前にした二〇〇九年の年末、毎回約一時間半、五回にわたって放送されました。後半の場面設定は日清戦争の時代となり、戦場シーンなども描かれましたが、日清戦争を描く基本的スタンスは、大陸からの脅威に対する「祖国防衛戦争」でした。しかし、本当にそうだったのでしょうか。
日清戦争は、近代日本の最初の本格的対外戦争です。その結果、最初の植民地も獲得しました。その後に日本が歩む道筋はこの戦争によってつけられたと断言できます。
ところが一般に、幕末・維新、あるいは日露戦争にくらべ、日清戦争についての認識はきわめて曖昧模糊としています。そのいわば「歴史認識の空洞」が、今回のような大がかりな虚偽(デマゴギー)にもとづくドラマの出現を許したとも言えます。
日清戦争の主題は、一にも二にも「朝鮮」でした。そのことの認識を欠いて、相互理解にもとづく日韓・日中の友好は築けません。本書は、NHKドラマのウソ・誤りの指摘を通して、日清戦争とはどんな戦争であり、その本質は何だったかを伝えるものです。
本書は、「『坂の上の雲』放送を考える全国ネットワーク」結成の過程で企画されました。主人公・秋山好古の敬愛する福沢諭吉の実像を伝えるとともに、今このようなドラマを制作・放送するNHKの社会的責任を厳しく問う評論を掲載したのもそのためです。
立ち読み
朝鮮王妃殺害事件の調査補遺 醍醐聡のブログより
新刊書『NHKドラマ「坂の上の雲」の歴史認識を問う』の普及に皆様のお力添えをいただけましたら、ありがたく存じます。
ご参考までに:本書の案内文書
http://www.koubunken.co.jp/0450/0443.html
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adgj.netさんがライブ中継をしてくださいました。
http://www.ustream.tv/recorded/7382088
参議院 総務委員各位「申し入れ」についての記者会見
放送法改正案に関する勉強会(記者会見)
日時:2010年6月2日(水)午前10時30分~午前11時30分
場所:参議院議員会館第4会議室
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◆記者会見◆メモより
2010/06/02 am10:30-11:30
参議院議員会館 第4会議室
出席者(敬称略)
・主催者側:松田浩、岩崎貞明、醍醐聰(全国連絡会世話人)、小滝一志(放送を語る会事務局長)、中野明彦(NHK問題を考える会<兵庫>)他2人
・報道関係者:朝日、読売、共同、赤旗、ビデオニュース・com、小川、松浦(フリーランス)
・国会関係:社民党又市議員秘書、共産党山下議員秘書
冒頭説明
● 岩崎氏から全国連絡会の申し入れの趣旨説明、とコメント
(条文が複雑すぎ専門家にしか理解できない。総務委員の先生方も全部理解している人は少ないのでは。)
● 松田氏から補足説明。
NHK経営委員に要求されるもの(放送/文化への見識、事前の意思表明)、複数候補からの選出が必要
● 小滝氏から「放送を語る会の要望書」の趣旨説明、とコメント
・今回の放送法は「竹中懇(自公政権下)」提言の延長であり、いわば「メディア産業振興法」、「言論の砦」とは基本的方向が異なる。
・NHK会長の経営委員メンバー化はNHKの要望との話もある。
● 中野氏から兵庫の会の活動報告
● 醍醐氏から近畿3団体の要望書の紹介
主な質疑
Q1 今回の経営委員選任にどのように臨んだのか? まもなく新経営委員の初会合があるが対応は?(読売)
A1 私どもは以前、原口氏とも会って、国会での人事にあたり、候補者に所信を表明してもらうなど、選出過程を透明化することなどを議論してきた。(松田)
A1 今回の選任にあたっては出遅れた。経営委員の選任、活動に関しては3段階の対応があると考えている。(醍醐)
①選任への直接参加(公募、推薦制)
②候補者の所信表明等の要望、視聴者からの適格性の評価による間接参加(例:古森氏の再任反対署名等)
③どのような委員が選ばれたとしても、その委員の活動を監視あるいは激励(視聴者と語る会等の場で)
Q2 改正案は「放送」を「公衆によって直接受信されるもの」と定義しているが、USTREAM、YouTube、ニコニコ動画も該当することにならないか?(小川)
A2 それらは「公衆がサーバーまで取りにいく」と解釈され、家庭内の受信機まで配給されている「放送」に該当しないと説明されている。しかし、放送事業者も番組をインターネットで流すことがある(再放送、ラジコ)。そうなると、同じ事業者の中で「放送」と「放送に該当しないもの」をどのように区別するのか、難しくなる。(岩崎)
Q3 「ハード」と「ソフト」の定義がわかりにくい。(赤旗)
A3 そもそも、「ソフト事業者」を切り出して、新たに「認定」という制度を導入しようとすることが問題。さらにいえば、地上波の放送事業者に対する免許停止処分の権限を、電波監理審議会を介してであれ、総務大臣に付与している現行の電波法76条が問題。(松田)
Q4 NHK会長を経営委員会のメンバーに加えることについて、日銀の例をあげて企画・執行と経営・監督の一体化を説く議論があるがどう思うか?(赤旗)
A4 言論報道機関としてのNHKと日銀を比較すること自体が誤り。(松田)
Q5 NHKの会長選任に関してどう取り組むのか?(読売)
A5 先日の全国連絡会の世話人の会合で、この件に遅れることなく対応していくことを申し合わせた。
次回の会合で協議することになると思う。(醍醐)
Q6 逆質問になるが、報道関係者は経営委員会を傍聴できるのか? 公開されているのか?(中野)
A6 委員会が終わったあと、委員長のブリーフイングがあるだけ。(読売)
なおこの記者会見はUSTREAMでライブ中継されました。
iPhoneで中継中!(adgj.net氏)
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放送法改正案の慎重審議を求めます 2010年5月31日
開かれたNHKをめざす全国連絡会
世話人:松田浩 隅井孝雄 醍醐聰 岩崎貞明
5月25日、衆院総務委員会において審議打ち切り・強行採決された放送法改正案は、参議院に審議の舞台が移されました。私たちは、放送法制定以来の全面的な「大改正」だという審議が、乱暴な手続きで拙速に進められることに強い危惧を覚えます。ここに、以下の各点に留意の上、慎重審議を心がけていただきたく、申し入れる次第です。
1.ハード・ソフト分離規律は表現の自由の脅威となる
改正案では、あらゆる放送についてインフラ設備(ハード)と番組(ソフト)を分離する規律にして、ハード事業には従来どおりの免許制度、ソフト事業には総務大臣による「認定」手続きが導入されることになっています。
これは現行の放送法でも導入されている規制手法ですが、認定手続きに際して番組内容の判断権を行政が握っていることは、本来表現の自由を侵害するおそれを含んでいると思われます。
諸外国では政府から独立した規制機関が放送行政を担っているのは、少なくとも形式的には政府が放送の内容に踏み込んで判断することがないようにすることを目的としているものです。日本でも、同種の行政改革が一日も早く望まれます。
また改正案の174条では、地上波のテレビ・ラジオなど以外の放送事業者に対して、法違反などが認められた場合に総務大臣が最大三ヵ月間の業務停止を命令できる権限が加わっています。地上波の放送事業者には電波法76条が放送局の免許停止などについて規定していますが、こちらは行政からの独立性が脆弱な組織とはいえ、電波監理審議会の諮問・答申を経ることが絶対条件になっていることを考えれば、この174条は行政権限の不当な拡大といわざるを得ません。
もしこの条文が時の行政権力によって恣意的に運用され、政府が個別の番組内容に踏み込んだ判断をすることがあれば、まさに表現の自由の侵害以外の何ものでもないことになります。
2.あいまいな「放送」の定義
改正案では、放送の定義が「公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信」と、従来の「無線通信」から拡大されています。有線テレビジョン放送法などを統合することによるものだと理解できますが、ここで懸念されるのはインターネットが「放送」の概念に含まれるかどうか、です。
衆院での審議で、原口大臣や内藤副大臣は「インターネットは直接受信には当たらない」と説明していますが、今後の技術革新によって、また条文の拡大解釈の危険性は払拭されていません。
明文上で明らかな規制が設けられない限り、インターネットのサイトやブログを開設している一般の人々が、いつのまにか「放送事業者」にされてしまうおそれが残されていると考えられます。
3.NHKの経営と執行の分離を
NHK経営委員会に会長を正式メンバーとして加える改正については、衆院総務委で削除の修正提案も出されましたが、採決の結果却下されました。しかし、私たちは、海老沢会長時代までは経営委員会がNHK執行部の企画・立案を追認する機関にすぎず、古森経営委員長時代は逆に経営委員会がNHKの企画・執行機能にまで干渉した苦い経験を踏まえ、NHKにおける企画・執行機能と監督機能を分化するガバナンス体制を堅持することが極めて重要と考えています。その意味から、NHK会長を経営委員会のメンバーに加えようとする第30条第1項を削除するよう要望します。
むしろ、経営委員会の人選に関しては委員の公選制導入も視野に入れて、選考過程を透明化するような法改正が筋ではないでしょうか。
4.誰もが理解できる法律にするために
デジタル時代を迎え、私たちの周りにはさまざまな放送サービスが展開し、私たちはそうしたサービスを比較的安価で、安全に利用できるようになりました。いつでもどこでも誰でもが、ほぼ自由に情報を発信できるという時代です。放送や通信サービスがこのように飛躍的に拡大し、人口に膾炙するようになった現在、それらを規律する法律も、市民の理解しやすいものが望まれるのは言うまでもないことだと思います。
その観点からすると、今回の改正案はいかにも複雑で、およそ専門家以外には理解しがたい法案になってしまっているのではないでしょうか。それに、国民各層による広汎な議論もないままに、このような法改正をどんどん進めてしまうことは、民主主義の原則に反していないでしょうか。「民主主義の発達に資する」とその目的にうたっている放送法が、このような審議で大幅に改正されるようでは、日本の民主主義の底の浅さが露呈するようで、後世に禍根を残すことになるのではないでしょうか。
私たちは、現在の改正案をいったん撤回して根本的に見直すことを含めて、改めて慎重な議論を行うことを心から求めます。 以 上
この申し入れ文書を参議院総務委員(25名)に送付しました。2010/5/31
近畿NHK3団体が要望書
総務大臣 原口一博様 2010年6月1日
NHK問題京都連絡会
NHK問題大阪連絡会
NHK問題を考える会(兵庫)
放送法「改正」案、徹底審議の要望書
民主党は、当初「放送行政を政府から切り離し、独立行政委員会に委ねる」と主張していました。この方向は、現放送法が謳っている「民主主義の発展に貢献する」という面を発展させるという意味で、積極的な意義をもつものでした。
しかし、現在審議中の「放送法改正」案は、むしろ当初の主張とは逆行する部分をもっており、放送に対する行政の規制・介入が拡大するおそれもあります。
したがって、放送法「改正」案の採決を急ぐことなく、民主主義の原点を脅かすことなく、むしろそれを推進する方向で審議を尽くしていただくよう強く要望するものです。
① (放送の定義)
現行法の「無線通信の送信」が改正案では「公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信」となっています。最近、インターネット放送局や動画サイト、個人が発するブログなどが拡大しています。これらも「電気通信」分野に入ります。改正案の定義を拡大解釈すれば、これらも規制の対象となりかねません。
この危険性を防ぐ条文を明確化すべきではないでしょうか。
② (免許)
現行法は、放送免許について、「設備免許」〈ハード〉が主体でした。改正案では、このほかに、総務大臣が、番組制作など「ソフト」の事業者を「認定」することになっています。ここには、これまで衛星放送だけに限定されてきた制度を、地上放送に拡大することが明記されています。総務大臣が、放送番組制作事業者を認定することは、行政の恣意的な意向が入り込む危険性を孕んでいます。放送における表現の自由を損なう落とし穴といっても過言ではないでしょう。
③ (電波監理審議会)
改正案の180条で、新たに電波監理審議会が放送に関する重要事項を「調査・審議」し、総務大臣に「建議」できることを記しています。総務大臣の諮問機関である「電波監理審議会」が「放送における表現の自由の確保」などを理由として重要事項について上記権限をもち、関係行政機関に協力要請を行うことは言論の自由にとって重大な問題です。現行放送法においては、これらの重要事項については、放送事業者の自律に委ねられ、また第3者機関BPO(放送倫理・番組向上機構)が十分自律的に機能しています。さすがに衆議院ではこの項目は原案から削除されましたが、行政権限に執着する現政権への危惧はぬぐえません。
④ (NHK会長の経営委員会参加)
NHK会長が経営委員会に加わる点については、NHKガバナンスの在り方、すなわち経営・監督と企画・執行という経営委員会と理事会の互いの役割についてあいまいさを生むことになります。会長がいかなる立場でそれぞれの機関会議に参加しているのか、本人のみならず周囲も混乱する原因となることは火を見るより明らかです。この条項の削除を要望します。
④ (市民の権利拡大・政権からの放送の独立の視点)
放送法を改正する以上、放送への市民の権利を大幅に拡大する視点が必要だと考えます。特に、NHK経営委員選出・会長選任の方法の改革、NHK予算の国会承認の検討などが求められます。「放送の政府からの独立」「視聴者に責任を持つ放送」という観点を抜きにした改正は、「民主主義への貢献」とはならないというべきではないでしょうか。「放送行政を政府から切り離し、独立行政委員会に委ねる」とした当初の政策に立ち帰った改正案を期待します。付け加えれば、せっかく議論が重ねられてきた貴職主導の「今後のICT分野における国民の権利保障等の在り方を考えるフォーラム」での討論を待って、「改正案」を練り直していただくよう切に要望します。 以上
参議院 総務委員各位にも同趣旨の申し入れを行いました。
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参議院 総務委員各位「申し入れ」についての記者会見
放送法改正案に関する勉強会(記者会見)
日時:2010年6月2日(水)午前10時30分~午前11時30分
場所:参議院議員会館第4会議室
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