放送法改正案に関する会長声明 日弁連
今国会において、電波監理審議会(以下「電監審」という。)の権限強化が盛り込まれた放送法(以下「法」という。)改正案が上程された。
現行法では、電監審は、総務省の内部審議機関とされ、総務大臣からの諮問を受けて利害関係人による意見聴取や勧告等の権限を有しているに過ぎないが、改正法180条によれば、「放送の不偏不党、真実及び自律」等、法1条で目的として定める「重要事項」に関し、電監審が「自ら調査審議し、必要と認められる事項を総務大臣に建議することができる」こととなる。
そもそも、現行法1条の規定は、憲法によって保障される表現の自由を尊重するため政府などが放送番組の編集について関与することなく放送番組の向上適正を図るとともに、放送が国民に最大限に普及されてその効用をもたらし健全な民主主義の発達に資することを目的として定められたものである。
総務大臣は、改正法の電監審について、放送局に対する総務省の規制・監督を監視する組織とし、番組内容などへの不当な介入を防ぐ役割を持たせるものであり、法1条の趣旨に合致する旨説明している。
しかしながら、電監審は政府からの独立性が担保されていないうえ、その委員が総務大臣によって任命されることから、電監審が、総務省を効果的にチェックすることができる監督機関として機能していないと考えられ、総務省が電監審を隠れ蓑として正面から主張できない政策を審議会の建議という形で推し進めることが強く懸念される。
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