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2010年5月21日 (金)

放送法改正法案の審議を中止してください。 「ComRights」

原口総務大臣殿            2010年5月21日
ComRighs有志


要 請 書

私たちは「コミュニケーションの権利を考えるメディアネットワーク」(略称ComRights)のメンバーです。ComRightsは、世界人権宣言19条などをはじめとするコミュニケーション権利に関して調査・研究を進め、放送や通信といった「場」を使って、誰もが自由に情報を発信できる社会が実現するよう啓発活動を行っている全国的なネットワーク組織で、市民メディア関係者やクリエイター、アーチスト、研究者などで構成されています。

今国会で上程された放送法改定は、コミュニケーションの権利の視点からは不十分な内容デあるといわざるを得ません。
原口大臣は1月の記者会見において「放送と通信は、原理原則を示さないまま融合すると、守られるべき国民の権利は保障されない」と回答し前政権の設置した審議会答申は必ずしも継承しないとの姿勢を示しました。
ところが、今回の改正案は、情報通信法の答申をそのまま踏襲している上に、政治によるメディアの監督強化のおそれのあるの規定を盛り込むなど、大きな問題があると考えています。
私たちは、次のとおり要請いたします。

第1 要請事項
要請理由で指摘した事項を勘案し、放送法改正法案の審議を中止してください。

第2 要請理由



 現在、総務省では、放送・通信において表現の自由を確保するための制度のあり方について、「今後のICT分野における国民の権利保障等の在り方を考えるフォーラム」を開催して検討しているところです。そこでは、放送行政の所管の主体を政府から独立した機関に移すこと、市民が放送・通信を利用して情報を発信することを支援する仕組みなどが検討されています。放送と通信の融合法制を策定するのは時期尚早であり、まずは、上記議論を十分に尽くし、独立行政機関設置の検討を行うべきと考えます。

 改定案は180条では、電波監理審議会に対し、3項目の重要事項について、「自ら調査審議し、必要と認められる事項を総務大臣に建議する」権限を与えています。しかも重要事項の中には、「放送の不偏不党、真実及び自律」や「放送に携わる者の職責を明らかにすること」など放送の内容に関わる内容が含まれています。
総務大臣は、行政を監督するために、電波監理審議会にこのような権限を与える旨説明していますが、電波監理審議会の人事は、国会の同意を得た委員を総務大臣が任命するというものであり、政府からの独立性が十分に確保されていません。
これでは、到底、電波監理審議会が総務省を監督する機能を果たせるとは思えず、むしろ、総務省の隠れ蓑として、放送内容に関わる重要事項について、放送事業者を干渉する役割を電波監理審議会が演じることになるのではないかと危惧されます。


 改定案では、放送の定義が「公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信をいう」と改められています。この改定によって、放送とは、地上波・衛星波のテレビ・ラジオ及びケーブルテレビを含むものとなったとされています。
しかし、表現の解釈や技術の進歩によっては、インターネットの動画サイトやブログなども「放送」に含まれかねません。そのような事態となった場合には、インターネットが直接、政府によって規制され、業務停止などにされる恐れが現実のものとなります。
改正案では、「一般放送」を総務省令で定めることとなっていますが、将来、そのような問題が生じないよう、「放送」の定義をより明確に法律で定義するべきです。


 改定案174条では、地上波のテレビ・ラジオを除く放送事業者に対し、総務大臣が業務停止を命令できる権限が付与されています。これまでも規定されてきたことですが、ハードとソフトが分離する中で、政府が番組内容に関連して業務停止を命じることが可能となれば、放送事業者は委縮してしまいかねません。改正を機に、見直されるべきです。

 改定法案では、番組制作などソフトの事業を担う放送事業者について、総務大臣が認定するとされています。しかし、放送内容に関わる業務を総務大臣が認定する制度のもとでは、放送が政府から独立し、本来、求められる権力監視機能を果たすことができなくなる恐れがあります。

 放送・通信を通して一般の市民が様々な情報を取得し発信している現状において、市民のアクセス権をいかに確保するかが極めて重要となっています。しかし、日本の放送体系は長年、放送事業者を規制する視点からのみ検討されており、今回も国際競争やビジネス的な視点のみからの改定となっています。メディアの多様性や市民のアクセス権の観点から見ると、むしろ時代に逆行した内容と言わざると得ません。

1項で指摘した国民権利保障フォーラムを含め、市民に開かれた議論を十分に尽くし、海外での融合法制をきちんと検証した上で、人々へのメディアアクセスや発信などを促す非営利メディアを法的に位置づけるなど、コミュニケーションの権利を十分に考慮した法制度を確立するよう強く要請します。また、放送・通信は市民生活に非常に密接に関連しています。大幅な法律の改定や立法を行う際は、十分に情報を公開した上で、一般市民の広く理解できるような手続きを経る必要があると考えます。

要請者
池田佳代  OurPlanetTV代表副理事
ガブリエレ・ハード 関西学院大学社会学部助教・情報メディア政策担当
元学術振興会外国人特別研究員・東京大学情報学環濱田純一研究室
川島隆   滋賀大学経済学部特任講師
小山帥人  映像ジャーナリスト・自由ジャーナリストクラブ
白石草   OurPlanetTV代表理事・一橋大学大学院地球社会研究所客員准教授
早稲田大学政治学研究所ジャーナリズムコース講師
鈴木亮   環境NGOA seed Japan メディアCSRプロジェクト
日隅一雄  News for People of Japan編集長・弁護士・日本弁護士連合会人権擁護委員会
日比野純一 FMわぃわぃ代表取締役・世界コミュニティ放送連盟日本協議会代表
神戸学院大学学際教育機構・防災・社会貢献ユニット客員教授)
深尾昌峰  龍谷大学法学部准教授・京都コミュニティ放送副理事長
松浦さと子 龍谷大学経済学部准教授)
松浦哲郎  龍谷大学社会学部コミュニティマネジメント学科講師
世界コミュニティ放送連盟アジア太平洋地域理事


放送法改正案の採決を急がず、論議を尽すよう要請します。
放送法改正に関する要請書(衆議院宛)

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