放送法と矛盾する「NHK番組基準」 投稿者:ささき のぶひこ 2010/3/3
NHK番組基準(1) 放送法と矛盾する「NHK番組基準」
「日本放送協会国内番組基準」(以下「NHK番組基準」)について、NHKは「放送に関する規範・放送番組政策の憲法」としています。
(NHK「番組基準の一部変更について」
http://www9.nhk.or.jp/pr/keiei/kijun/index.htm 2010/3 /1現在)
しかし、「NHK番組基準」と放送法とは似た点もありますが、異なっている点もあります。
放送法と「NHK番組基準」との相違点1:
「NHK番組基準」には「放送法を守る」という記述がない。
NHKのつくった基準を「放送番組制作の憲法」として、放送法の上に置く ─ こんな条文は放送法にはありません。
放送法は、「NHK番組基準」の上位法令です。 「NHK番組基準」が法令であったとしても(法令ではないのですが)下位法令が上位法令と矛盾する、この場合下位法令は無効です。
同文: 放送倫理・番組向上機構(BPO)
[NHK受付番号594012]
放送法と「NHK番組基準」との相違点2:
「健全な民主主義の発達に資するようにすること」を排除!
放送法の放送の原則は、以下のとおりです。
第一条 この法律は、左に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。
一 放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。
二 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。
三 放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。
「NHK番組基準」では前文の 基本原則に 「不偏不党・自律の保障による放送による表現の自由確保」はあるが、「真実の保障」「放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること」を上位基準からはずしました。
上位法令の放送法と矛盾する「NHK番組基準」は、無効であり、NHKの根本的な問題点のひとつとなっています。
同文: 放送倫理・番組向上機構(BPO)
[NHK受付番号 594341]
放送法と「NHK番組基準」との相違点3:
放送法では、「放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること」を「原則」の1つとしている。
「NHK番組基準」ではこれを変更し「民主主義精神の徹底を図る」とした。
「健全な民主主義の発達に資すること」を「『(NHKが理解する)民主主義精神』の徹底」としたことにより放送法の概念を変更し、 受信者の「健全な民主主義の発達に資する」関与の可能性をせばめた。
このこと自体が「民主主義の健全な発展に資すること」に反していて、放送法違反である。
「NHK番組基準」は、上位法令(放送法)の内容を変更している。 これにより、法理論上「NHK番組基準」は無効となっている。
同文: 放送倫理・番組向上機構(BPO)
[NHK受付番号 594524]
⇒ サイト「公平な放送を!」 http://koheina-hoso.blogspot.com
「NHK番組基準」では「政治的公平・論点の多角的明確化(放送法)」を見えにくく改変している!
放送法と「NHK番組基準」を比較してみましょう。
放送の原則は「放送法第1条」と「NHK番組基準・前文」にそれぞれ規定されていますが、「放送法」にあり、「NHK番組基準」では存在しない項目があります。
それは、「真実の保障」と「民主主義の健全な発達へ資すること」(注1)です。(注1:「NHK番組基準」では「民主主義精神の徹底を図る」と
①「健全な民主主義」が排除され「民主主義精神」と意味がぼやかされ、
②「資すること」が「徹底を図る」と国民・民主主義・放送との関係でNHKの位置が最上位に置かれた)
番
組編集の基準は放送法・第3条の2に、「NHK番組基準」の第1章にそれぞれ規定されています。「NHK番組基準」で欠落している規定は、「政治的に公
平」と「報道は事実をまげない」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」です。「政治的に公平であるこ
と」を排除したことにより、与党・多数党偏重、少数等軽視・無視の根拠ができています。「真実を報道する」がありますが、「事実を曲げない」が省れたので
あいまい性が残っています。
放送法の「論点の多角的明確化」は、①「公共の問題については」と意味があいまいにされ、②さらに適用範囲が「論争・
裁判」に限定されています(第1章第5項「論争・裁判」)。 これによって、「論争の多角的明確化」が番組編集の一般基準から、「論争・裁判」の基準に限
定され、かつ扱う問題が「公共の」とあいまい化されています。 これによって、政府・与党、米国など権力側に都合のよくない論点を放送しない根拠が結果的
にあたえられました。
以上のように、「NHK番組基準」は「放送法」を見えにくく、大きく改変した結果となっています。
下位法例と上位法令の矛盾に相当し、下位法例にあたる「NHK番組基準」は法理論上無効であり、与党・多数党偏重、少数等軽視・無視に根拠を与える結果となっています。
「論点の多角的明確化」を「論争・裁判」だけに限定!
放送法と「NHK番組基準」との相違点4:
放送法の「番組編集基準」は以下のとおりである。
(国内放送の放送番組の編集等)
第三条の二 放送事業者は、国内放送の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
「NHK番組基準」では、放送法の「論点の多角的明確化」を、「論争・裁判」(第1章第5項)の問題だけに限定した。
これにより報道番組などで、与党・多数会派の論点は「公正に」扱うが、小数会派の論点は軽視・無視し、「論点の多角的明確化」をしなくても、「NHK番組基準」には反しないとする道を開いた。
「NHK番組基準」は、上位法令(放送法)の内容と適用範囲を変更している。 これにより、法理論上「NHK番組基準」は無効となっている。
同文:放送倫理・番組向上機構(BPO) [NHK受付番号 595031]
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