NHKが制作・放映しようとしている「坂の上の雲」に対する声明
http://www.kyodo-center.jp/saishin/saishin.htm
日本機関紙協会埼玉県本部のホームページ
http://www.kikanshi-nw.or.jp/
09.10.22【埼玉県】
日本機関紙協会埼玉県本部
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NHKは、例年通りならば年末まで放送するはずの大河ドラマを、2009年は11月22日で終了させ、11月29日か ら毎週日曜夜、90分枠で5回にわたって、スペシャルドラマと銘打って「坂の上の雲」(第1部)を放映し、その後も第2部(全4回)を2010年秋に、第 3部(全4回)を2011年秋に放送しようとしています。
NHKが、 「総力をあげて取り組む」というスペシャルドラマ「坂の上の雲」は、日露戦争を戦った軍人の秋山真之、秋山好古兄弟、俳人・歌人の正岡子規の3人を主人公に、明治を生きた人々を描いた司馬遼太郎の長編小説が原作で、中曽根元首相などが最高の「歴史書」と称賛しているものです。
作者である司馬遼太郎自身は、この小説の映像化が戦争を煽るものとなることを恐れ、生前、それを拒否していました。1986年5月21日に放送された NHK「ETV8」のなかで本人が、「坂の上の雲はなるべく映画とかテレビなど視覚的なものに翻訳されたくない作品であります。うっかり翻訳するとミリタリズムを鼓吹しているように誤解される恐れがありますからネ」と発言しており、この発言は1998年にNHK出版が出した「昭和という国家」の中にも採録されて残っています。
NHKは、この番組の企画意図として、「明治時代のエネルギーと苦悩をドラマとして描き、現代日本人に勇気と示唆を与えるものとしたい」、「(明治は)新たな価値観の創造に苦悩、奮闘した時代だった。この作品のメッセージは日本のこれから向かうべき道のヒントを与えてくれる」と広報資料に書いています。
しかし、雲を見上げて坂を駆け上った明治時代の日本が行なったことは、台湾や朝鮮の植民地支配と、後の中国・東南アジア諸国への侵略戦争の準備でした。 私たちは、NHKが、このような小説を、あえて映像化したのは、「戦争する国」づくりを求めているアメリカと財界の意向を受けとめて、NHKを「戦争放送局」にしようと決意したことの表現ではないかと疑わざるを得ません。
私たちは、NHKに対し、「坂の上の雲」の放映を中止するとともに、今後の制作を中止されることを強く要請いたします。
2009年10月20日
日本機関紙協会埼玉県本部
理事長 金子 勝
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