「坂の上の雲」の公開質問書に対するNHKからの回答
7月22日京都で行われた「 ”NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」を考える”市民シンポジウム実行委員会」が提出した「公開質問書」にたいしNHKから以下の回答がありました。
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NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」を考える市民シンポジウム実行委員会
実行委員長 岩井 忠熊 殿
2009(平成21)年7月22日付で当協会に送られた公開質問書に対して、会長 福地茂雄に代わって小職、放送総局エグゼクティブプロデューサー 西村 与志木がお答えします。
司馬遼太郎氏は小説「坂の上の雲」を戦争賛美の姿勢で書かれたものではありません。スペシャルドラマ「坂の上の雲」は司馬氏のこうした思いを生かしたかたちで制作するものです。近代国家の第一歩を記した明治のエネルギーと苦悩をこれまでにないスケールのドラマとして描き、現代の日本人に勇気と示唆を与えるものとしたいと思います。なにとぞ、ご理解いただきたく存じます。
平成21年7月30日
日本放送協会 放送総局「坂の上の雲」プロジェクト
エグゼクティブプロデューサー 西村 与志木
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当コミュニティからのコメント
■ 湯山哲守さん
「NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』を考えるシンポジウム」でNHK会長宛に送った質問状に対する
"「坂の上の雲」プロジェクト・エグゼクティブプロデューサー西村与志木氏「回答」"は質問の中身にほとんど言及することなく、質問者を馬鹿にしたものと言ってもよい内容です。「対話」を拒否するがごとき同氏のこの様な回答は腹立たしい限りです。
(ちなみに先に送った質問の要旨を列挙しておきます。)
1.「ドラマ化に不同意」だった作者の遺志を無視して放映化に踏み切った理 由は?著者が憂慮していた「ミリタリズムを鼓吹するおそれ」がないとする根 拠は?
2.上記「おそれ」を取り除く対応は取っているのか?
3.日露戦争が「植民地争奪戦争」であったことに鑑み、中国、朝鮮半島など 北東アジアの人々との関係についてどのような検討を加えたか?
4.日露戦争をめぐっては、戦争に反対した明治の若者の存在は無視できない はずだが、内村鑑三、幸徳秋水、堺利彦、与謝野晶子など戦争に反対しこれを 批判した若者たちの存在を視聴者に正確に伝えることについてどのような検討 を行ったか?
5.「坂の上の雲」の放映がなされる3年間のうちには、憲法「改正」手続き 法の施行が開始される「来年5月」が含まれるが、「憲法9条改悪」の世論操 作に利用される危険性についてどのように検討されたのか?
以上です。湯山哲守。
■ 醍醐聡さん
西村与志木氏名の回答を読みました。返事をしなかったといわれないよう、アリバイを作るためだけに送られてきた文書のように思えました。
”スペシャルドラマ「坂の上の雲」は司馬氏のこうした思いを生かしたかたちで制作するものです。近代国家の第一歩を記した明治のエネルギーと苦悩をこれまでにないスケールのドラマとして描き、現代の日本人に勇気と示唆を与えるものとしたいと思います。”
下線の部分の「こうした」が指す文章が前にありませんので、どういう思いなのか意味不明です。 「明治のエネルギーと苦悩」を特定の個人のエネルギーと苦悩に還元し、歴史を動かした民衆のエネルギーに触れない、あるいは民衆が歴史を動かす主役になれなかった日本の民主主義の未熟さに触れない「大河ドラマ」の制作姿勢が問われているのだという認識がないように思えました
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コメント
どう考えても、日本と南北朝鮮・中国・ロシアとの友好促進に水を刺すドラマだ。国害をもたらすことは、間違いない。反対意見(調査すれば50%は確実に超える)NHKが受信料を取って放送するなら、インターネット上ででもアンケートを取って判断すべきと考える。
経費を掛けて製作したのだから、ムダにしたくないのだろう。最近のNHKの番組は、公共放送の枠から外れつつあるとも思う。
投稿: 渡辺 栄 | 2011年12月 3日 (土) 20:15