BPO意見書を尊重しNHKの真摯な対応をもとめる声続々!②
② NHK問題を考える会(兵庫)、放送を語る会
(要約)全文は http://www.geocities.jp/hoso_katarukai/ 参照
第一に、意見書は、NHKが、制作過程で、官房副長官の地位にある政治家に、事前に番組の説明を行なったこと、政治家と日常的に接している部門の幹部職員が、番組制作に介入したことをあげ、これらの行為を、自主・自律の理念を揺るがし、視聴者からの疑念を招き信頼を裏切る行為であると厳しく批判しています。
第二に、番組の質を放送倫理の観点から問題にしています。幹部職員によって機械的な公平、公正の考え方や「削除したほうが安全」などといった判断で改編、削除が繰り返されたと指摘、「放送人の倫理として、当然めざすべき質の追求という番組制作の大前提をないがしろにするものであった」と指摘しました。
第三に、改編過程の最終段階で、幹部の業務命令と、現場制作者の良心が正面から衝突していると述べ、NHK内部の自由について議論するよう呼びかけています。
意見書は最後に、NHKで今働いている放送人たちへ、「当該番組の制作・改編過程をNHKの説明文書と本意見書を付き合わせ、みずからたしかめ、考えていただきたい、」と述べ、「とくに若い放送人たちが旧来の閉じた態度から一歩を踏み出し、考え、議論し、獲得した教訓を番組その他どのような形であれ、視聴者に明らかにするよう、希望する」と結んでいます。
この人間的な呼びかけに応えることが求められていますが、NHKは依然としてこの番組の経過には問題がなかったという態度を崩していません。そればかりか、政治家の圧力について告発し、また法廷で証言した二人のプロデューサーにたいし現場から外す報復人事を過去に行ないました。その後の局内の状況をみても、BPOが求めるような、NHK内部での自由な議論が行なわれる環境があるとはいえないでしょう。
しかし、意見書が公表された今、NHKは過去の見解を大胆に見直し、職場での検証、討議の公的な機会を大規模に保障すべきです。そのためにも当該番組を含むシリーズ「戦争をどう裁くか」4本を、視聴者も含め誰でも視聴できるようにすることは欠かせません。
いま、台湾統治の歴史を扱ったNHKスペシャル「JAPANデビュー」第1回に対し、右派政治家を含む勢力から猛烈な攻撃がかかっていると伝えられています。こうした政治の圧力から放送の自主・自律を守るうえでも、BPO意見書について職場が学び、考え、自らを鍛えることは、現在のNHKにとって緊急の課題だと言わなければならないからです。
BPO意見書は、問題の番組に関するこれまでのNHKの説明や、コメントを「閉じた態度」と評しました。私たちは、NHKの現場で働く人びとが、問題の番組の制作経過から教訓を学び、共有することを通じて、経営者の頑なな姿勢を変える努力をするよう期待し、求めるものです。
③ 中日新聞 NHK番組改変 自主・自律は生命線だ 2009年4月30日
放送が政治家や役人の言いなりになることで不幸になるのは国民である。自主・自律を保障する放送法は、こうした歴史の教訓から生まれた。関係者はそれを自覚しなければならない。
従軍慰安婦問題を裁く民衆法廷を扱ったNHK番組の改変に関して、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会が、「自主・自律の観点から問題だった」との意見書を公表した。
番組改変は「政治家の意向に配慮して行われた」と裁判で認定されたが、それに対する公的第三者機関の意見表明は初めてである。
特定の価値観に基づき高みからモノを言うかのような、放送内容の評価部分には違和感が残るが、自主・自律の堅持を求めた意見書は重い意味を持っている。
放送法第三条は「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又(また)は規律されることがない」としている。自主・自律を保障したこの規定は、検閲などで情報が国民に自由に伝えられなかった戦中の苦い経験から生まれたが、法律以前に放送人の倫理として自覚しなければならないことである。
検証委が「日常的に政治家に接している職員が番組制作に関与すべきではない」「番組制作者が事前に政治家の意見を聞くべきでもない」と提案したのは当然だ。
NHKはその重要性を理解していないのではないか。政治家への事前説明を問題視する検証委の指摘に必ずしも同意しなかった。
予算の国会承認、経営委員の内閣任命など、NHKには政治の力を無視しきれない事情がある。だからこそ、疑われるような行動をせず、毅然(きぜん)たる姿勢を貫かなければ国民に信頼されまい。
NHKは意見書を真摯(しんし)に受け止め、検証番組で改変に至った経緯を国民に率直に説明すべきだ。
放送法第三条は自主・自律の侵害を禁じた規定でもある。その意味で、検証委の意見は圧力をかける側への批判ともなっている。
安倍晋三・内閣官房副長官(当時)は、番組改変のきっかけとなったNHK職員に対する発言を「国会議員として言うべき意見を言った」と正当化した。
政治家としての権威を背に意見を述べることが圧力になり得ることを自覚、自重すべきである。
自主・自律が放送に限らずジャーナリズムの生命線であることはあらためて言うまでもない。民主主義の基盤であると自戒したい。
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