ここがちがう!~「つくる会」と各社の歴史教科書の比較①
心無罣礙 より
ここがちがう!~「つくる会」と各社の歴史教科書の比較①
http://sanzou.way-nifty.com/sanzou/2005/08/post_d7b9.html
*教科書採択がいよいよ山場です。改めて「つくる会」と教科書会社各社の記述の違いをポイントを絞って6回シリーズで見てみます。
「太平洋戦争の性格・目的」
各社 :「東南アジアへの侵略」「日本の占領政策は、欧米にかわる、植民地支配にほかなならなかった。」
つくる会:「日本は米英に宣戦布告をし、この戦争は『自存自衛』のための戦争であると宣言した。」「日本の緒戦の勝利は東南アジアやインドの人々に独立への夢と勇気を育んだ」
●筆者談:日本軍にひどい目に遭わされた東南アジアの人たちは、決してそのことを忘れてはいません。シンガポール一番の広場には、今でも日本軍の暴虐に対して抗議をする碑が建っています。こんな書き方をしたら、彼らの怒りが消えることはないでしょう。
ここがちがう!~「つくる会」と各社の歴史教科書の比較②
沖縄戦
各社:「日本軍にスパイ容疑で殺されたり、集団自決をを強制されたりした人々があった。」「沖縄県民の4人に1人が犠牲になるという、悲惨な結果になりました。」
つくる会:「4月、米軍は沖縄本島に上陸し、日本軍の死者9万4千人、一般住民の死者も約9万4千人を出す戦闘の末、2ヶ月半後に沖縄を占領した。」
●筆者談:民間人にこれだけ多くの死者がでたわけを意図的に隠しているといわざるをえない。
ここがちがう!~「つくる会」と各社の歴史教科書の比較③
原爆
各社:被爆した少女の日記など6つの図表で解説(E社)
つくる会:わずか3行で死者の数すらない。
●筆者談:ヒロシマ・ナガサキは平和教育の原点のようなものです。 ここを軽視しては、 歴史教育の意味がなくなります
ここがちがう!~「つくる会」と各社の歴史教科書の比較④
戦争への反省
各社:巻末に「日本には忘れてはいけない歴史があった。」「同じことを繰り返すのはいや」というマンガ(B社)
つくる会:「戦争への罪悪感」は、連合軍が「マスメディアを通じて宣伝した(ため)
●筆者談:歴史を学ぶ中で、中学生には最も難しいことだとは思うが、連合軍のせいにするなどは全く正しくない。小生の父(87歳)は、「やはり、あの戦争は正しくはなかった・・・。あの頃はそれが誰にもわからなかった・・」と、今、語っています。
ここがちがう!~「つくる会」と各社の歴史教科書の比較⑤
大日本帝国憲法
各社:天皇主権、国民の権利の抑圧を明記。「天皇が主権者と定められる」「天皇を批判する政治活動や自由な言論が抑圧されました」(C社)
つくる会:「できるだけ国民の権利や自由をもりこみ、同時に伝統文化を反映させようとする努力が注がれた憲法」「国民にたたえられた大日本帝国家法」
●筆者談:「つくる会」の記述はあまりにも事実とちがいすぎます。これでは、歴史の捏造と言われても反論の余地は全くないでしょう。
ここがちがう!~「つくる会」と各社の歴史教科書の比較⑥最終
日本国憲法
各社:「長く苦しい戦争体験をへて、専制的な権力がいかに危険かを学んだ国民は、日本が自由と民主主義平和の方向に新しく生まれ変わることに大きな期待を寄せた」
つくる会:「連合国総司令部は約1週間で憲法草案を書き上げ、日本政府に手渡した」などと急ごしらえを強調。「制定以来一字一句全く変わっていない」「世界最古の憲法」と改憲論を後押し。
●筆者談:この憲法のおかげで、日本は戦後60年、一度も外国兵士を殺さず、外国の軍隊に日本人が殺されることがなかったのです。教科書にはこれぐらいのことを書いて欲しいものです。
(このシリーズ終わりです。ご愛読ありがとうございました。)
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