当会は解散しました。
当会「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」は2023年2月8日をもって解散しました。
「感染者と濃厚接触者を放置する政府の無策を追及する報道を--オミクロン株感染報道に関する意見と要望ーー」
かんぽ事件経営委「クローズアップ現代+」に圧力~ 視聴者110名NHKを提訴~報道の自由が侵され国民の知る権利が損なわれた---20210928 UPLAN
https://www.youtube.com/watch?v=XSl5OmhEQ20
国民はうんざり 菅首相のニュース7占拠 ~NHK忖度報道で接触率半減!~
https://news.yahoo.co.jp/byline/suzukiyuji/20210710-00247258/
NHK経営委員長続投に「反対」 学者やOBらが会見 かんぽ報道介入巡り
毎日新聞2021年1月29日 16時56分(最終更新 1月29日 16時56分)
NHK放送センター=東京都渋谷区で2019年3月、嶋野雅明撮影
https://mainichi.jp/articles/20210129/k00/00m/040/193000c
かんぽ生命保険の不正販売を追及したNHK番組を巡り、NHK経営委員会が2018年に当時の会長を厳重注意した問題で、学者やNHKのOBら有志は29日、2月末で委員の任期が切れる森下俊三委員長の再任に反対する文書を、与野党の党首らに送付したと発表した。同日、国会内で記者会見を開いた。
森下氏は委員長代行だった18年、番組を巡る日本郵政グループの抗議に同調し、「番組の作り方に問題があった」などと当時の上田良一会長を批判。厳重注意を主導し、委員の番組介入を禁じた放送法違反の疑いが持たれている。学者らの文書では、こうした問題を挙げ、森下氏の委員再任に「断固反対する」とした。
政府は21日、森下氏を委員に再任する人事案を衆参両院の議院運営委員会理事会に提示した。【大沢瑞季】
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森下俊三氏のNHK経営委員再任に強く反対する各界有志記者会見
ゆうちょ銀行 不正引き出し問題 “リスク感度低い”有識者会議
2021年1月29日 15時14分 NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210129/k10012839171000.html
ゆうちょ銀行で貯金が不正に引き出される被害が相次いだ問題で、日本郵政グループに業務改革を助言している有識者会議は、当時の対応について検証結果をまとめました。従業員のリスクの感度が低く組織内で情報の共有が十分できていなかったことが問題につながったと厳しく指摘しています。
日本郵政グループの有識者会議は、ゆうちょ銀行で去年、連携する電子決済サービスやデビットカード・クレジットカードの「mijica」で口座から貯金が不正に引き出される被害が相次いだことを受けて、専門のチームが当時の会社の対応などを検証し、29日報告書をまとめました。
この中では▽ゆうちょ銀行ではサービスを担当する部門とセキュリティーの専門部署が連携できていなかったほか、▽従業員のリスクの感度が低く、顧客から寄せられた苦情などの情報が経営陣にすみやかに報告されずに被害者の補償の遅れにつながったと厳しく指摘しています。
そのうえで、「組織風土改革」が必要だとして▽人事の制度や研修制度を抜本的に見直したり、▽組織改革の経験がある外部の人材をアドバイザーとして登用したりすることなどを求めています。
日本郵政グループは今回の提言も踏まえ再発防止策や組織態勢の見直しを進めることにしています。
20201120 UPLAN 「表現の自由・学問の自由があぶない!ー菅政権の暴挙を許すな」 - YouTube
【表現の自由を市民の手に全国ネットワーク(表現ネット)】
105名全員任命を求める!! 表現・学問・思想の自由を市民の手に
プログラム:
「日本学術会議任命拒否」内閣府への要望、回答説明、ヒアリング
院内市民集会(報告:ゲバラTシャツ事件は今。学術会議任命拒否)
基調提起:
田島泰彦(元上智大新聞学科教授)
リレートーク:
醍醐總(NHKを監視・激励する視聴者の会)
小倉利丸(美術評論家)
清水雅彦(日本体育大教授・憲法学)
荻野富士夫(小樽商科大名誉教授・日本近現代史)
神田香織(講談師)
任命拒否された人、市民運動グループ
国会議員など。さまざまな視点から。会場から
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菅内閣による「日本学術会議への人事介入」に抗議する
2020年10月14日
表現の自由を市民の手に全国ネットワーク
日本学術会議が推薦した新会員候補105人のうち、6名の任命を菅内閣が拒否したことが明らかになった。
菅首相は、任命拒否の理由を問われても、「総合的、俯瞰的な活動を確保する観点から」などと意味不明な返答を行い、さらに「6人を除外する前の推薦者名簿は見ていない」と、誰が6人を除外したか、その過程を明らかにしていない。任命を拒否された会員候補者は、過去「安全保障関連法」や「特定秘密保護法」「共謀罪」を批判する表明を行ったことがある。政治的意図を持った任命拒否であることが窺われる。
日本学術会議は、政府からの独立が保障された機関であり、新会員の任命は、1983年の政府見解によっても、政府は「学術会議の推薦通りに任命する義務」がある。
したがって今回の菅政権による任命拒否は、憲法第23条(学問の自由)、日本学術会議法(学術会議の推薦による任命)に違反する暴挙である。
菅首相は、内閣官房長官時代の2019年、「あいちトリエンナーレ」への補助金不交付を示唆し、ネット右翼などによる電話妨害や放火教唆を誘導、「表現の不自由展・その後」の展示中止を主導した人物である。今回の6名の任命拒否も、安倍政権下、水面下で画策していた日本学術会議への人事介入を、首相就任とともに強行しようとしている。
日本学術会議は、学術研究者が戦前の侵略戦争に協力した反省の上に立って、戦後創立された機関である。1950年には「戦争を目的とする科学の研究は、絶対にこれを行わない」と宣言、2017年には安倍政権の兵器開発・輸出政策に反対し、「大学など研究機関の軍事研究」に反対する声明を発している。政権内には、学術会議のこのような姿勢により「日本の防衛装備品の技術開発がすすまず、中国に後れを取る原因だ」とする声があると報じられている。安倍政権は「戦後レジームからの脱却」と称して戦後民主主義的諸制度の改悪を進めてきたが、菅新政権もその政策をさらに露骨に継承しようとしている。すでに河野太郎行革相は「学術会議は聖域なき行政改革の対象だ」と宣言している。菅政権は、日本学術会議を人事面・財政面で支配下に置こうとしている。
私たちは、今回の人事介入は、戦前の滝川事件(1933年)、天皇機関説排撃事件(1935年)に匹敵する重大事態である。「学問の自由」への侵害は、市民の「表現の自由」への侵害に直結する。私たち「表現の自由を市民の手に全国ネットワーク」は、今回の菅政権の暴挙に断固抗議し、今回の任命拒否を直ちに撤回することを求める。私たちはこの問題の解決のために様々な官邸や行政への民衆行動、当事者学術会議の法的手段、各界声明や撤回行動、国会や自治体議会への追求行動など学問の自由を私たち自身の手に取り戻す運動を広く呼びかける。
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【茅ヶ崎美術展作品撤去要請事件】
2019年、神奈川県茅ヶ崎市教職員美術展でのこと。
市教育委員会が沖縄・辺野古の抗議行動を描いた版画作品の取り外しを要求。「政治的中立性を保てない」との理由である。
これに対し「沈黙しない茅ヶ崎市民ネットワーク」と「表現ネット」は表現の自由侵害を問う。
再三の抗議と質問を繰り返し。回答を求めているが、市教委側は面談を拒み応じようとしない。
【ゲバラTシャツ議員会館入館規制事件】
2020年8月24日正午過ぎ、衆議院第二議員会館で通行証を得て入館しようとした「議員会館前座り込み」の参加者が、警備員(衆議院が業務委託したALSOK職員)の3名によって入館を妨害された。
警備員は威嚇的に「入館はできません。あなたのTシャツ(ゲバラの絵のあるTシャツ)は裏返しにして着用しなければ入館させません」と言って入館を拒んだ。
警備員はその理由を「会館の規則」「政治的主張のあるもの、中立に反するもの」と説明。現場に駆けつけた警備員の隊長が謝罪したが、「表現の自由」、人権に関わる問題なので文書による明確な謝罪と検閲や再発防止の具体的な方策を求めて,謝罪を求める文書を衆議院事務局に提出。
すでに議員会館、警備業者と5回にわたる「話し合い」をもつも一方的に「詫び状」を送りつけ、その後の連絡をも拒んでいる。
当会は「公共放送にあるまじき民族差別扇動の書き込みに抗議し、謝罪と検証を要求する~『シュンひろしまタイムライン』に関する私たちの見解と質問~」と題する文書を9月1日にNHK広島放送局/「1945ひろしまタイムライン」担当宛てに発送しました。 →こちら参照
これに対し9月11日付でこちらの回答が届きました。
しかし私達はこれでは根本的問題は未解決と考え、本件の検証と審議をBPO(放送倫理・番組向上機構)に要請しました。
以下はその要望書です。(PDFはこちら)
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2020年11月5日
放送倫理・番組向上機構
放送倫理検証委員会 御中
NHK「1945ひろしまタイムライン」の民族差別的ツイートに関する検証と審議を求める要望書
NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ
代表 醍醐 聰
http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/blog/
私たちは標題の問題について、以下のとおり、貴委員会に厳正な検証と審議を要望します。
Ⅰ.問題の経緯
NHK広島放送局が開設し、同局の責任で編集された「1945ひろしまタイムライン」のひとつ、「シュンひろしまタイムライン」に次のような書き込みがされたことに各方面から疑問、批判が起こっています。
「朝鮮人の奴らは『この戦争はすぐに終わるヨ』『日本は負けるヨ』と平気で言い放つ。思わずかっとなり、怒りに任せて言い返そうとしたが、多勢に無勢」
(1945年6月16日)
「朝鮮人だ!!大阪駅で戦勝国となった朝鮮人の群衆が、列車に乗り込んでくる!」「『俺たちは戦勝国民だ!敗戦国は出て行け!』圧倒的な威力と迫力。怒鳴りながら超満員の列車の窓という窓を叩き割っていく」
(1945年8月20日)
NHK広島放送局は8月24日、これらのツイートが、「戦争の時代に中学1年生が見聞きしたことを、十分な説明なしに発信することで、現代の視聴者のみなさまがどのように受け止めるかについて配慮が不十分だった」、「手記を提供してくれた方が、1945年当時に抱いた思いを、現在も持っているかのような誤解を生み」という見解を公表しました。そして、現在は上記2ヶ所の書き込みは削除されています。
しかし、当会は、NHK広島放送局の8月24日付の見解公表で一件落着ではないと考え、本年9月1日に、同局宛てにこちらのような意見・質問を送ったところ、9月11日付でこのような回答が届きました。
Ⅱ.問題の根本に至る解決のために――貴委員会に対する私たちの要望——
こうした一連の経緯をみると、「シュンひろしまタイムライン」の取材・編集における、次のような根本的な問題は未解決のまま、残っています。
(1)差別と偏見を助長したツイートが制作された原因を是正するための検証と審議、意見・勧告の発出を要望します
差別と偏見を助長されたのは、書き込みの内容からして、在日朝鮮人だったことは明らかですが、これについてNHK広島放送局は8月24日に公表した見解でも、この点を明確にするよう求めた当会の質問に対する回答でも、ツイートが誰に対する差別と偏見を助長したものか、一切、明言していません。
そればかりか、「差別を助長しているのではないかという批判を受けた」、「視聴者のみなさまがどのように受け止めるかについて配慮が不十分だった」「・・・・かのような誤解を生み」と記し、ツイートを読む側の受け止め方次第では、問題は起こらなかったと解釈できるような釈明に終始しています。そこには、ツイートを制作し、発信した側の編集のあり方、ひいては朝鮮民族に対する差別と偏見の根源にある歴史認識の歪みを正し、自省する姿勢も、それを対外的に表明する誠意も見当たりません。
事実、NHK広島放送局の広報担当者は毎日新聞の取材に対して、「差別を助長する意図は全くなかった」と自らの主観を盾に非を認めない姿勢を取り続けています。(『毎日新聞』2020年8月22日)
しかし、NHK広島放送局が8月24日に見解を公表してから1ヶ月後の9月23日、在日本大韓民国民団は前記8月20日の投稿は民族差別を扇動するものであるとして広島法務局と広島弁護士会に人権救済を申し立てました。
また、在日本朝鮮人総連合会広島本部も10月23日、NHK広島放送局の投稿は在日朝鮮人らに恐怖と精神的苦痛を与えるとして、広島弁護士会に人権救済の申し立てをしました。
こうした動きはNHK広島放送局のこれまでの対応では、問題が解決していないことを物語っています。
私たちは司法的救済とは別に、貴委員会が放送倫理の問題として、「シュンひろしまタイムライン」による民族差別・偏見の助長を検証され、是正を促す措置を講じていただくよう、要望します。
(2)NHKが手掛けるインターネットコンテンツの品質管理の瑕疵を是正するよう促す意見・勧告を要望します
NHK広島放送局の責任で編集された「シュンひろしまタイムライン」に前記のようなツイートがされたことは、人権上、重大な問題であると同時に、NHKのインターネットコンテンツの制作・編集上の品質管理に重大な瑕疵があったことを意味します。しかし、これまでのNHK広島放送局の対応には、この点に関する内部検証が欠けており、このままでは再発を防げるという保証がありません。
そもそも、学校教育にも厳しい国家統制が及んだ時代に、中学生だった軍国少年が担当教官の検閲も受けながら綴った日記を、現代の高校生に、各々の感想も織り交ぜながら短文で再現させ、戦争の実相を想像させるのは至難のことです。下手をすると、軍国少年の日記に投影した時代の制約を理解できないまま、現代の高校生に歪んだ歴史認識を生む恐れも拭えないものです。
NHK広島放送局の担当部署にこうした企画の難しさ、危険性が認識され、周知されていたのか、十分な検証が不可欠です。
ちなみに、「NHK放送ガイドライン2020」(インターネットガイドライン統合版)は「インターネットサービスの品質管理」の項で、次のように定めています。
「インターネットにおいても、NHKが発信する情報である限り、公共放送にふさわしい良質な情報であることが求められる。・・・・インターネットで提供するコンテンツは、放送法・実施基準および『NHK国内・国際番組基準』、本ガイドラインを順守して制作する。」
「すべてのコンテンツは、公開する前に必ず責任者である管理職がチェックし、内容の正確性や公平性、表現などに十分配慮して公開する。(以下、省略)」
私たちは、こうしたガイドラインの定めがNHK広島放送局において順守されていたのか、厳正な検証と審議を貴委員会に要望します。
また、本年6月7日にNHKの「これでわかった!世界のいま」が制作した黒人アニメ動画に、黒人に対する偏見を助長するような場面やセリフがあったことに各方面から抗議の声が起こりました。この例も鑑みると、NHKが制作したインターネットコンテンツにさまざまな差別と偏見を助長する場面が生まれた原因を、全国規模で、管理職も含め、問題の歴史的な根源にまでさかのぼって、当事者の生の声や体験、要望を聞く場を幾度か設けるなどして、自己検証を深めなければ、同じことが繰り返される懸念を拭えません。
(ご参考までに、2020年6月17日に、黒人アニメ動画に関して、当会がNHK前田晃伸会長ほかに送った申し入れ書はこちらです。)
こうした懸念は、「シュンひろしまタイムライン」に登場したり、それを見たりした世代の子供を持つ私たちにとって、また、戦争や原爆の実相がメディアを媒体にして広く若い世代に正しく継承されるよう願う私たちにとって、黙過できない問題です。
「シュンひろしまタイムライン」で起こった問題をNHKが正しく検証し、その教訓を今後に生かすためにも、貴委員会による厳正な検証と審議、それを踏まえたNHKへの意見、勧告を要望します。
(3)取材・制作協力者との信頼が損なわれた原因の究明と見解表明を要望します。
「シュンひろしまタイムライン」が題材に用いた日記の作者・新井俊一郎さんは『朝日新聞Digital』の取材に対し、次のように発言しています。
「――「朝鮮人の奴(やつ)らは『この戦争はすぐに終わるヨ』『日本は負けるヨ』と平気で言い放つ」という6月16日のツイートも問題となっています。
朝鮮人の『奴ら』とかは一切話をしておりません。『軍国少年』シュンちゃんの日記だから、子どもたち(投稿を担当した高校生たち)がそういう表現で書いたのでしょうが、朝鮮人と論争になったとか、侮蔑的な思いで眺めたとか、そういう話も一切していません。いわんや、この言葉をネットに載せるなんていうことは、事前の承諾がないんですから。」
「4月に最初の番組を放送した途端、内容に疑問を持ったので、『新井の日記をシュン日記として出すのは、私の日記の偽造では』と言った。すると担当者が、『新井さんの日記を原作として、子どもたちとツイート一緒に創作をしている』と言った。私はそんなことを許した覚えは一切ないと激怒しました。」
(以上、「『シュン』の日記主、NHKに不信感 認識の食い違い」『朝日新聞Digital』2020年9月6日、7時00分)より)
こうした取材記事を読むと、75年前の軍国少年が記した日記を原作として、タイムライン制作者が現代の高校生と一緒に日記風の書き込みを創作する危うさを改めて思い知らされます。これについて、「NHK放送ガイドライン2020」(インターネットガイドライン統合版)は「取材・制作の基本ルール」の項で次のように定めています。
「報道番組やドキュメンタリー、情報番組などでは、正確な取材に基づいて真実や問題の本質に迫ることが大切である。虚構や真実でない事柄が含まれていないか冷静な視点で見極めようとする姿勢が求められる。」
「事実の再現の枠をはみ出して、事実のねつ造につながる『やらせ』などは行わない。」
原作者から「偽造」と怒りを買うようなタイムライン制作を「創作」と称して容認できるのか、1945年6月16日、同8月20日のツイートは、「やらせ」と言えないまでも「事実の再現の枠をはみ出した」創作に当たる疑いを拭えません。
まして、そのような行き過ぎが、特定の民族に対する差別と偏見を助長するような「創作」であった以上、放送論理上、黙過できず、厳正な検証と対処が必要と私たちは考えます。
貴委員会が以上のような私たちの要望を受け止め、NHK広島放送局制作の「シュンひろしまタイムライン」のツイートを人権上の問題としてのみならず、放送倫理上の問題としても厳正に検証・審議していただき、しかるべき意見・勧告を表明していただくよう、求めます。
以 上
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マスコミ報道から 東京新聞
「NHK広島の投稿でBPOに要望 市民団体、検証求める
https://www.tokyo-np.co.jp/article/66511
2020年11月5日 16時37分 (共同通信)
NHK広島放送局が原爆被害を伝えるために始めたツイッターの投稿が、在日コリアン差別をあおっていると批判を受けた問題で、市民団体「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」は5日、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会に、検証と審議を求める要望書を提出した。
同団体は醍醐聡・東京大名誉教授が代表を務め、要望書で「人権上、重大な問題でNHKの制作・編集上の品質管理に瑕疵があった」と指摘。広島放送局の対応は内部検証に欠け、再発防止を防ぐ保証がないと訴えている。
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参考「抗議デモの原因を歪曲し、黒人への偏見を助長した動画アニメ等の謝罪と検証を」:PDF版
http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/blog/2020/06/post-45ddb4.html
20201026 UPLAN「森下俊三氏のNHK経営委員としての職務上の重大な義務違反を究明するよう求める請願書」提出にあたっての院内集会 -
YouTube https://www.youtube.com/watch?v=8JP4CxG3qv0
日 時 2020年10月26日(月) 16時~17時30分(予定)
会 場 衆議院第二議員会館 多目的会議室(1階)
NHK森下経営委員長の臨時国会での招致を請願 市民団体など集会
毎日新聞2020年10月26日 19時44分(最終更新 10月26日 20時00分)
かんぽ生命保険の不正販売を報じた番組を巡り、NHK経営委員会が2018年に当時の会長を厳重注意した問題で、市民団体や学者らで作るグループは26日、国会内で集会を開いた。森下俊三経営委員長が委員長代行時代に、厳重注意を主導した発言が放送法違反の「番組干渉に当たる」などとして、臨時国会で森下氏を参考人招致して究明することなどを求め、衆参両院議長宛ての請願書を紹介議員となる野党議員に手渡した。
請願書には約2200人分の請願者名簿も付された。請願書では他に、森下氏が、関連する経営委議事録について、NHKの情報公開に関する審議委員会が全面開示を答申したのに、実質的に不開示とした問題も指摘。衆参議長に対し、森下氏を経営委員から罷免するよう、菅義偉首相に意見を提出することも求めた。
集会に出席した立憲民主党の杉尾秀哉参院議員は「経営委は透明性をもっと確保しないといけない」、共産党の本村伸子衆院議員は「公共放送として非常に重要な問題」と発言した。【松尾知典】
2020年8月26日 (水)の記事
「森下俊三氏のNHK経営委員としての職務上の重大な義務違反を究明するよう求める請願書」を出します。・・でお知らせした、
「NHK経営委員長・森下俊三氏の職務義務違反の究明を求める国会請願」は、各地の視聴者団体の共同した取り組みで、これまでに2,200名を超える賛同者(請願参加者)が集まり、10月26日から始まる臨時国会に、紹介議員を通じて、衆参両院に提出することになりました。
10/14日、衆議院議員22名、参議院議員29名に紹介議員となっていただくよう、依頼する文書を発送しました。
つきましては、臨時国会開会日の10月26日に、「NHK経営委員長・森下俊三氏の職務義務違反を質す世話人会」の主催で、次のような院内集会を開くことになりました。
概要は次のとおりです。
請願書提出にあたっての院内集会
日 時 2020年10月26日(月) 16時~17時30分(予定)
会 場 衆議院第二議員会館 多目的会議室(1階)
*世話人会からの出席者 (10月14日現在)
岩崎貞明 (「放送レポート」編集長)
小田桐 誠 (ジャーナリスト/大学講師)
小玉美意子(武蔵大学名誉教授)
杉浦ひとみ(弁護士)
楚山大和 (「日本の政治を監視する上尾市民の会」代表)
醍醐 聰 (「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」共同代表)
長井 暁 (NHK・OB/大学教員)
日巻直映 (「郵政産業労働者ユニオン」中央執行委員長)
*どなたでも参加可です。新型コロナウイルス感染予防のため、事前の健康確認、マスクの着用をお願いします。
紹介議員を引き受けていただいた国会議員の方々にも出席していただき、スピーチをしていただくとともに、会場で請願書と賛同者名簿を提出します。
チラシダウンロードPDF→こちら
当会は、NHK広島放送局が開設した「1945ひろしまタイムライン」のひとつ、「シュンひろしまタイムライン」に民族差別を助長する書き込みがあったこと、それについて広島放送局が8月24日に、公表した「6月16日・8月20日のツイートについて」と題する見解について「公共放送にあるまじき民族差別扇動の書き込みに抗議し、謝罪と検証を要求する~『シュンひろしまタイムライン』に関する私たちの見解と質問~」と題する文書(下記)をまとめ、本日、NHK広島放送局/「1945ひろしまタイムライン」担当宛てに発送しました。なお、文書の中で記した3つの質問について、9月15日までに、書面で回答をもらうよう、要望しました。
2020年9月1日
NHK広島放送局「1945ひろしまタイムライン」担当 御中
皆さまにおかれましては、ご多用の毎日をお過ごしのことと存じます。
私たち「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」は2007年に、公共放送における視聴者の権利拡大と、政治権力からの自立を求め、NHKがより優れた番組を提供するよう監視・激励することを目的に設立した視聴者団体です。
当会は、今回、貴局が開設された「1945ひろしまタイムライン」のひとつ、「シュンひろしまタイムライン」に民族差別を助長する書き込みがあったこと、それについて貴局が8月24日に、「6月16日・8月20日のツイートについて」と題する見解を発表されたことについて議論をし、「公共放送にあるまじき民族差別扇動の書き込みに抗議し、謝罪と検証を要求する~「シュンひろしまタイムライン」に関する私たちの見解と質問~」と題する文書をまとめましたので、同封いたします。
これをご一読の上、文中に記しました3つの質問についての貴局のご回答を9月15日までに、下記宛て(略)に文書でお送りくださるよう、お願いいたします。以上
NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ
共同代表 醍醐 聰
********************
(以下添付文書)
2020年9月1日
NHK広島放送局「1945ひろしまタイムライン」担当 御中
公共放送にあるまじき民族差別扇動の書き込みに抗議し、謝罪と検証を要求する~「シュンひろしまタイムライン」に関する私たちの見解と質問~
NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ
問題の経過
NHK広島放送局(以下、「NHK広島」と略)が開設した「1945ひろしまタイムライン」のひとつ、「シュンひろしまタイムライン」に次のような書き込みがされたことに疑問、批判が広がっています。
「朝鮮人の奴らは『この戦争はすぐに終わるヨ』『日本は負けるヨ』と平気で言い放つ。思わずかっとなり、怒りに任せて言い返そうとしたが、多勢に無勢」(1945年6月16日)
「朝鮮人だ!!大阪駅で戦勝国となった朝鮮人の群衆が、列車に乗り込んでくる!」
「『俺たちは戦勝国民だ!敗戦国は出て行け!』圧倒的な威力と迫力。怒鳴りながら超満員の列車の窓という窓を叩き割っていく」(1945年8月20日)
これについて、NHK広島は8月24日、「6月16日・8月20日のツイートについて」と題する見解を発表し、「『差別を助長しているのではないか』というご批判も多数いただきました」と断ったうえで、「戦争の時代に中学1年生が見聞きしたことを、十分な説明なしに発信することで、現代の視聴者のみなさまがどのように受け止めるかについて配慮が不十分だった」、「手記を提供してくれた方が、1945年当時に抱いた思いを、現在も持っているかのような誤解を生み」と謝罪しました。
しかし、私たちはNHK広島のこのような謝罪で問題が一件落着したとは考えません。
私たちの見解
1.差別を助長したのではないかという批判は、書き込みの内容に照らせば、在日朝鮮人への差別と受けとるのが自然ですが、NHK広島の謝罪文には、差別を受けた当事者である在日朝鮮人への謝罪が一言もありません。
また、それ以前に、「誰に対する」差別に当たるのかについての明確な認識が示されていません。これでは、「お詫び」の実が乏しいと言わざるを得ません。
私たちはNHK広島の責任のもとに制作された、「シュンひろしまタイムライン」が、公共放送にあるまじき在日朝鮮人への差別と憎悪を扇動する書き込みをしたことに厳重に抗議し、真摯な謝罪をするよう求めます。
2.NHK広島は8月24日に公表した見解の中で、「今後は被爆体験の継承というプロジェクト本来の目的を的確に果たしていくため、必要に応じて注釈をつける、出典を明らかにするなどの対応」をとるとしています。
しかし、そもそも、「1945ひろしまタイムライン」が、現代の若い世代に「戦争や原爆について、リアリティをもって考えていただく取り組みです」というのなら、広島の地での戦争や被爆体験をリアルに記録した日記、手記、歌集、文献は数多くあります。また、原爆投下当時、広島で被爆した在日朝鮮人の実相、被爆韓国人のその後(被爆者援護をめぐる在日朝鮮人への差別など)を調査した資料(注1)、研究文献もあります。
そうした中で、「シュンひろしまタイムライン」が、当時の軍国主義教育の下で、軍国少年の精神が染みつき(注2)、担任教員の「検閲」も受けた新井俊一郎氏の日記をあえて題材に選んだ理由はどこにあったのか、今後も新井俊一郎氏の日記を題材として使い続けるのか、再考する必要があると私たちは考えます。
質 問
1.上記「私たちの見解」の1で述べた点について、NHK広島は、「シュンひろしまタイムライン」の6月16日、8月20日の書き込みが在日朝鮮人に対する差別を助長するものだったと認識されているのかどうか、明確にお答え下さい。
2.上記「私たちの見解」の2で述べた点に関して、NHK広島は、新井俊一郎氏の日記を「シュンタイムライン」の題材として今後も使い続けるのか、より適切と考えられる題材に変更するよう見直す意向があるのかについて、お考えをお聞かせ下さい。
3.NHK広島は8月24日に発表された見解の中で、「今後は被爆体験の継承というプロジェクト本来の目的を的確に果たしていくため、必要に応じて注釈をつける、出典を明らかにするなどの対応」をとるとしています。
しかし、今後と言わず、元の日記にはない文章を6月16日、8月20日の「シュンひろしまタイムライン」に書き込んだ出典、あるいは経緯(誰かの後付けの判断なら、誰の判断か)を明確にされるよう、求めます。
以上3つの質問に対するNHK広島としてのご回答を、文書で、9月15日までに、別紙に記載した宛先へ郵送くださるよう、お願いします。 以 上
(注1)
まとまった代表的な文献として、市場淳子『ヒロシマを持ちかえった人々~「韓国の広島」はなぜ生まれたのか~』2000年、凱風社、があります。
(注2)
例えば、新井俊一郎氏の日記には次のような記述があります。
「4月10日(火) 雨、時々曇り
反省録『米英撃滅日誌』と名付けることとする。なんと言ふ良い名であらうか。
さうだ、いま我々日本国民の進んで行くべき道はただ一つ、米英撃滅あるのみである。自分は今まで日記をつけてゐたが、これから米英撃滅日誌と名を変へて新発足するのである。今までの日記の書き方は大分字が乱雑であった。しかれども今や自分は天下の附中生となったのである。その意味から言っても、立派に附中生らしく何事も行はなくてはならぬ。もう我々は国民学校の児童ではなくなったのである。立派な日本帝国の学徒となったのである。
本日も修身公民の教官のお話にもあった。我々は入学の喜びを心の底にしまひ込み、なほ 一層、勉学に奮闘すべきである。今度、良き帝国の一臣民とし、一人の防人(サキモリ)としての練習を積む教練といふものも出て来た。実に自分達に掛かってゐる所の帝国の信頼と帝国の運命とが、今の戦局、殊に沖縄の激戦を考へて見ると、非常に重大であるといふ事が分かって来るのである。東京などのやうな大都市は、殆ど連日のごとく敵の爆撃下にさらされてゐる。それに今度のB29の来襲の時、敵は戦闘機を連れて来て居るのである。つまりそれは、硫黄島の飛行場を敵が使用してゐるのだ。無念だ、残念だ。ただ米英撃滅あるのみ。今この日誌の第一頁を、沖縄方面あての特別放送を聞きつつ記す。」
「5月3日(木) 晴
本日発表あり。遂に独総統ヒトラー氏は、名誉の戦死を遂げられたさうである。あの祖国を守る、愛する祖国のために一生を捧げて来たヒトラー総統は、遂に自分の生命を祖国のために捧げたのである。とうとう我が同盟国の二総統は、生命を世界平和のため、祖国のため、日本と同じ道を歩み来て、その生命をも捧げたのである。我々は二総統のため、本当に哀悼の意を表す。」
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「シュン」の日記主、NHKに不信感 認識に食い違い:朝日新聞デジタル https://digital.asahi.com/articles/ASN956TL5N91PITB01J.html?pn=9
もしも75年前にSNSがあったら――。実在の人物の日記をもとに、広島への原爆投下を挟んだ日々の出来事や思いを、ツイッターに連日投稿するNHK広島放送局の企画「1945ひろしまタイムライン」がこの夏、批判を浴びた。「朝鮮人の奴(やつ)ら」などの記述が「差別を助長する」という指摘だ。日記を提供した被爆者が取材に応じ、NHKとの間で企画内容についての認識に食い違いがあったことがわかった。若い世代に戦争体験を届けようという試みだが、難しさも浮き彫りになった。(宮崎園子)
投稿のもととなる日記の主は、広島で被爆した3人の市民。その中で唯一健在なのが広島市南区の新井俊一郎さん(88)だ。
新井さんをモデルにした「シュン」が8月20日、こんな投稿をした。
《朝鮮人だ!! 大阪駅で戦勝国となった朝鮮人の群衆が、列車に乗り込んでくる!》《怒鳴りながら超満員の列車の窓という窓を叩(たた)き割っていく》
ネット上では「『朝鮮人』への敵意を煽(あお)っている」「ヘイトツイートだ」などと批判され、NHKがホームページで公開している新井さんの日記原文に同様の記述がないことから「このような創作は許せない」という指摘もあり、投稿は中断された。
75年前の実際の日記は、8月17~27日が空白になっている。ただ、新井さんが2009年に出版した手記には、8月18~21日に家族で広島から両親の故郷・秩父(埼玉県)へ移動する途中に大阪の駅で見た光景として、似た記述がある。
NHKによると、投稿は日記だけでなく、手記や本人への取材なども参考にしたという。だが、企画についての新井さんの当初の認識は違うものだった。
「シュン」の投稿が始まったのは3月26日。新井さんは事前にNHKに依頼されて、投稿内容を考える高校生ら10代の5人に、日記の背景などを説明した。しかし、NHK側からツイッターの特性などについての詳しい説明はなかった。番組の中で当時の日記が紹介され、子どもたちが感想などを述べ合うと考えていたという。
ところが4月3日、企画を紹介する番組を見て、初めてツイッターへの投稿内容を知り、驚いた。
NHKの担当者にただすと「『日記を原作として、子どもたちと一緒に創作をしている』」と言われたという。「私は激怒しました。日記の偽造だと」
新井さんはNHK側と話し合い、こんな条件を出した。「75年前の軍国少年の日記だと子どもたちにしっかり認識させた上で、子どもたちの言葉で書くのならば認めます。NHKの責任でやってください」
だが、ツイートは「炎上」した。8月20日だけではなく、6月16日の投稿も批判を浴びた。《朝鮮人の奴らは「この戦争はすぐに終わるヨ」「日本は負けるヨ」と平気で言い放つ》
新井さんの手記には似た内容があるが、書きぶりは異なる。《泥まみれの工事現場で彼ら朝鮮人たちは、平気で言い放っておりました。「この戦争はすぐに終わるヨ」「日本は負けるヨ」》
新井さんの日記や手記には「奴ら」という言葉は出てこない。「朝鮮人と論争になったとか、侮蔑的な思いで眺めたとか、そういう話も一切していません」
がんの治療で入院中の新井さんは、2010年から広島平和記念資料館などで証言活動を続けてきた。今回の企画も、戦争や原爆の現実が若い世代に伝わればと思って参加したという。
「NHKのやり方は意味があると思う。でも、まるで現在進行中の場面であるかのごとく昔の物語を追いかけるのは危険。(投稿内容を)責任を持って慎重にチェックし、出す出さないの判断をするのは、NHKの責任のはずです」
NHK広島放送局は8月24日、朝日新聞の取材に対して、「時代背景の説明などの注釈をつけずに発信したことは、配慮が不十分だったと考えています。今後、必要に応じて注釈をつけるなど、対応することにしております」と回答。同日、ホームページでも「現代の視聴者がどのように受け止めるか配慮が不十分だった」などとして新井さんら関係者に謝罪した。
「奴ら」という記述が生まれた経緯についても尋ねたが、同局は「現代風に表現した」と説明するにとどまった。また、「日本史の専門家や、SNSやメディアリテラシーに精通した複数の専門家に必要に応じて相談している」としたが、専門家の名前は明らかにしなかった。「シュン」の投稿は、今月2日に再開された。
ネットメディアに詳しいジャーナリストの津田大介さんに「1945ひろしまタイムライン」の問題について話を聞いた。主な内容は次の通り。
◇ ◇
NHKは、ツイッターの炎上について「日記をもとにしている」と、(モデルとなる日記を書いた被爆者の)新井俊一郎さんに責任を投げるような形になっているが、それは大問題。NHKに落ち度があったことは間違いないのではないか。
歴史認識と、それに根付いた現代日本にも続く在日コリアンに対する差別に深く結びついている問題だからこそ、歴史の専門家からきちんと考証を受けなければならない。
僕だったら企画についてどうアドバイスしたか。ツイッターの場合は(関連するツイートをつなげて投稿する)スレッド機能がある。誤解を招くような表現があったら、それに対して「当時はこうだったけれど」と注釈をスレッドでつける。ツイッターは140字の文字制限があるが、スレッドでつければ表示できる。ある程度誤解というのを防ぐことができる。
ただ、そもそも論がある。日記をツイッターに流していくという企画自体が良かったのか。ツイッターは、何かのテーマで連続してツイートしても、その複数のツイートを全部読めば理解できることでも、情報を受信した側は一個だけリツイートする。文面が寸断されやすい。デリケートな問題だからこそ、注釈とか丁寧な文脈と一緒に届けることが大事だ。
ツイッターは、文脈が寸断され、意図と違う形で流れていくプラットフォームなのだから、必要以上に慎重に議論を重ねてやるべきだったというのが僕の考えだ。ツイッターで「バズる」(話題になる)ことと、誤解が誤解のまま拡散していくのは表裏一体。NHKはその危険性について想像力が及ばなかったのではないか。
若者に間口を広げる戦争報道もやるべきだし、こういうチャレンジ自体は評価した方が良い部分もあるが、「若者に伝えよう」「間口を広げよう」ばかりが先行すると、今回のようなことが起こる。大切なのは、どっちにしても中身だ。
新井俊一郎さんは存命だ。ということは、確認ができる。「元ネタ」として使わせていただく日記があるのなら、それをどう伝えるか、なぜ若い人に伝える意味があるのか、番組制作者が丁寧にコミュニケーションをとる必要があった。そこが十分だったとは思えない。
差別の肯定ではなく、当時の時代の空気感を伝える意味でやっているのだろう。だが、ツイッターは140字の字面だけで判断してしまうし、苛烈(かれつ)なヘイトスピーチが野放しにされている場所でもある。NHKが望まない反応を呼び込むことは必至だ。だから、そこについてちゃんと抑止するものが必要だった。「奴(やつ)ら」みたいな演出がなぜ必要だったのか、十分に伝わるような説明をしないといけない。そこが理論武装できていないなら、やるべきではなかった。
一番大事なのは近現代史の専門家。そこがボタンの掛け違いだったのでは。ネットも近現代史も分かった人とディスカッションして、疑念点を指摘してもらった上で、合議制でやるべきだった。
問題となったツイートをそのまま残すなら、スレッドで意図を説明するのがいい。ただ、これだけ誤解が加速し、今もそこ(スレッド)に差別を肯定するようなヘイトスピーチがいっぱい連なったままだ。現実として、日本にたくさん住んでいる在日コリアンの人たちに対する加害がある。意図していなくても、結果的にNHKが加害者になっている。ツイッター社が(ヘイトスピーチを削除するという)対応をしないなら、NHKがツイートを削除し、ホームページで経過と意図、何が問題だったかを説明をするべきだろう。
モデルとなる日記を書いた被爆者の新井俊一郎さんとの詳しいやりとりは次の通り。
――「大阪駅で戦勝国となった朝鮮人の群衆が列車に乗り込んでくる」という8月20日のツイートが問題になりました。「こういうツイートをします」という事前確認は。
全くありません。第一、この言葉は、私の日記のどこにもありません。私の手記やNHKによるインタビューでは、似たような表現をしています。75年前の私のこととして。
――「朝鮮人の奴(やつ)らは『この戦争はすぐに終わるヨ』『日本は負けるヨ』と平気で言い放つ」という6月16日のツイートも問題となっています。
朝鮮人の「奴ら」とかは一切話をしておりません。「軍国少年」シュンちゃんの日記だから、子どもたち(投稿を担当した高校生たち)がそういう表現で書いたのでしょうが、朝鮮人と論争になったとか、侮蔑的な思いで眺めたとか、そういう話も一切していません。いわんや、この言葉をネットに載せるなんていうことは、事前の承諾がないんですから。
私の友人が「ネットが炎上しているらしいぞ」と連絡してきたんです。私からNHK側に「なんか大変なことになっているが、どうなってるんだ」と問い合わせて、初めて反応がありました。
――投稿を担当する高校生たちと新井さんが日記について話し合う「ワークショップ」は、何回くらいありましたか。
2月に初めて彼らと対面し、直接対面は2、3回。それからコロナが問題になってきたので、画面を通じての(オンラインでの)ミーティングになった。画面を通じての話し合いは2、3回はあったでしょう。
――基本的に1945年の日記と同じ流れで、2020年の同じ日に毎日つぶやく。一つ一つのツイートの、新井さんによるチェック作業は。
そんなことしていたら私、(自分の)仕事ができません。初めから「そんなことはできない。NHKが責任持ってやって」と言っているわけです。4月に最初の番組を放送した途端、内容に疑問を持ったので、「新井の日記をシュン日記として出すのは、私の日記の偽造では」と言った。すると担当者が、「新井さんの日記を原作として、子どもたちと一緒に創作をしている」と言った。私はそんなことを許した覚えは一切ないと激怒しました。すると担当者は、「創作」という言葉は使いませんでしたが、「つぶやきという形で、子どもたちの思いを書き加えたものを投稿させてもらいたい」と言い、私は認めたんです。歩み寄ろうと。「75年前の軍国少年の日記だと子どもたちにしっかり認識させた上で、子どもたちの言葉で書くのならば認めます。NHKの責任でやってください」と。これは私の責任だと思っています。あそこで歩み寄っていなければこんな事態は招いていません。
――「シュン」のアカウントの紹介文には、「75年前の中学1年生、新井俊一郎さんの日記などをもとに、今の広島の10代が想像をふくらませ、シュンとして伝えます」とあります。新井俊一郎の名前がある。
そうなんですよ。だから私の同級生はみんな「お前あんな日記書いてたんか」って。
――75年前は軍国少年だった。それを2020年にありのまま伝えるのはなかなか難しい。
はい。私は、私の日記についての子どもたちの感想とか、評価とかいうことをやっていく番組だと思っていた。
――ツイッターについてきちんと理解する必要がある。これまでのワークショップで、ツイッターなどSNSの専門家の方が介在したことはあったか。
聞いていません。SNS関係、私も素人で分かりにくいから、説明を聞いたこともなければ、SNSの専門家を見たことももちろんありません。
――ワークショップに参加したのは、新井さん、高校生たち、そしてNHKの人、と。
最初のときは、(「シュン」と同様に実在の人物の日記をもとにツイッターに投稿する)「一郎」さんや「やすこ」さん関係の大人の人も何人かいて紹介されましたよ。顔合わせだったんでしょうね。印象的なのは、子どもたち(高校生たち)と昔の話をしていたときに、ヒトラー、ムソリーニが死んだとき、私が日記の中で哀悼の意を述べているという話になった。そしたら担当者が「今でもヒトラーを尊敬していますか」と。そういうふうに思われてるんかなあと思ってがくぜんとした。
――注釈なしに投稿した点は、NHKも「配慮が不十分だった」としている。
もう一つは、現在進行形で出来事を追っているんですね。私に対して「広島に行っちゃあいけないよ」と声をかける。「危ない」と。そのまま追体験しているようになる。そこに「朝鮮人」って。
――新井さんはかつて、地元民放テレビ局に勤めておられました。
私もテレビ局でドラマ制作をしていましたから分かるんですが、「柱を立てる」という手法ではないでしょうか。今回の企画は劇作家の方が監修しているそうです。「柱を立てる」というのは業界用語で、一番最初に印象的な言葉を置くんです。その後、関連することをゆっくり拡張しながらドラマを作っていく。朝鮮人といったらみんな「?」とくるでしょう。後半になればなるほど、すさまじい状況を描いていますよね。子どもたちがすんなりこんなことを書くかな。大人の手が入ったと思いました。
――今回のことが起きた原因は何だと思いますか。
半分は、私が歩み寄ったがために問題を招いた。残りは、NHKが責任をもって番組を遂行していくと言った、その責任を文字どおり実行しなかったことにあります。子どもたちがツイートとして原稿を書くのはものすごく危険なことですよ。危険なことを承知の上で、必ずチェックをして慎重に、出すか出さないかを判断するということを含めてすべて責任を持つのがNHKのはず。スルーして出てしまった責任がある。
75年前の戦争体験を持った人間、あの当時の状況が分かってる人間だったら、こんなこと絶対にするはずがない。「厳重に子どもたちを監督指導します」と言われ、歩み寄った私も甘かったと思います。
――75年前の日記を今のツイッターに載せるときには、やはり工夫が必要だったのでは。
ディレクターだったらそんなことは当然考えるべきです。使う使わないか、使うならどう使うか。そこまでが才覚です。
――普段、戦争や原爆の報道など見向きもしないであろう人たちも、シュンちゃんのツイッターを追い続けた。良い影響はたくさんあった。エールも実際多い。
NHKのやり方は意味があると思います。でも、まるで現在進行中の場面であるかのごとく昔の物語を追いかけるのは危険。(投稿内容を)責任を持って慎重にチェックし、出す出さないの判断をするのは、NHKの責任のはずです。無神経にやったNHKさんが大きな隙を見せたなと思います。
――1945年当時と今では、75年の価値観や倫理観の隔たりがある。当時多くの人たちが同じように軍国少年、軍国少女だった。
取り上げるつもりならば取り上げるように、すべてについて練り上げた作品を出さなければ。危険だということは分かっているはずなのに、そこに思い至っていない。
それからもう一つ言いたいのが、今回の番組は、パソコンやSNSを使いこなせる人たちにはきっと面白いが、使いこなせない私たちのような老人たちにはわからない。最初から、パソコンを使いこなせない年齢層を除外して番組を作っている。全国あまねく、というNHKの本来の任務からかけ離れている。一部の人間しか理解できない番組を作ってよろしいのか。若者迎合がありありとみえる。
――迎合ですか。
若者に理解してもらうために、若者に迎合しているとしか考えられない。使っている言葉、ツイートやブログとかの言葉はそれじゃないですか。
私の日記には「行軍」という言葉がでてくる。行軍して水源地まで行き、そこで弁当を食べたと日記に書いているんだけど、子どもたちは「行軍」ということより、水源地に行って満開の下でお弁当食べておいしかった、気持ちよかったということに焦点をあてて書いている。当時私たちは、行軍して一糸乱れぬ歩調をそろえて行って、ほっとして弁当を開いた。見方がまるっきり違う。13歳の軍国少年が肩ひじ張って頑張ってる姿を想像してもらおうと思ったのですが。時代感覚が分からない。(宮崎園子)
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NHK原爆企画ツイートが炎上 問題の本質は | 週刊金曜日オンライン
http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/2020/09/08/antena-790/
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NHK、ひろしまタイムライン過去投稿「削除せず移設」2020年10月1日 22時46分
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NHK、批判受けた投稿をHPに転載し残す ひろしまタイムラインの「朝鮮人」記述
毎日新聞2020年10月2日 21時07分(最終更新 10月2日 21時08分)
NHK広島放送局がツイッターで展開している「1945ひろしまタイムライン」上で「朝鮮人」を巡る記述が差別的だと批判されている問題で、同局は2日、問題ツイートを含む8月までの投稿を削除した上で同局のホームページ(HP)上に転載した。「投稿を残しておくのは朝鮮人への差別を助長する」とツイートの削除を求める声が高まるなか、場所を変えてそのまま残したことについて同局は「一連のツイートを読みやすくするために元々予定していた」と話している。
問題となったのは「朝鮮人だ‼」「(電車に)座っていた先客を放り出し、割れた窓から仲間の全員がなだれ込んできた!」などのツイート。HPには戦時中になぜ多くの朝鮮半島出身者が日本に暮らしていたのかの簡単な注釈が初めて加えられたが、当時から今に続く朝鮮人への差別意識についての説明はない。ネット上では「差別的な投稿をまた発信している」などと批判の声があがっている。【南茂芽育】
https://mainichi.jp/articles/20201002/k00/00m/040/274000c
NHK広島の差別的ツイート 朝鮮総連も人権救済申し立て「恐怖と精神的苦痛」 - 毎日新聞
かんぽ生命保険の不正販売報道で、日本郵政グループから抗議を受けたNHK経営委員会が2018年、NHKの上田良一会長(当時)を厳重注意した問題で、当会を含む24団体は2020.6.8日
「NHK情報公開・個人情報保護審議委員会の5.22答申(第797号、第798号)を「尊重」して直ちに本件答申対象文書を開示するよう求める」「情報公開要求」をNHKに提出しました。→こちら参照 http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/blog/2020/06/post-df0a91.html
しかし、答申が出てから、経営委員会は3回の会合を経ても、いまなお、答申を受け入れるに至っていません。
私達は7月6日23の市民団体の連名で「改めて森下俊三氏の経営委員辞任と議事録の一般公開を要求する」要求書(→下記)をNHKと面談し手交しました。その後、11時から、弁護士ほか有志が衆議院第一議員会館で記者会見をおこないました。
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2020年7月6日
NHK経営委員会委員長 森下俊三 様
NHK経営委員会委員 各位
改めて森下俊三氏の経営委員辞任と議事録の一般公開を要求する
NHKとメディアを考える東海の会/NHK・メディアを考える京都の会/NHK問題大阪連絡会/NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ/NHKとメディアを語ろう・福島/NHKとメディアを考える会(兵庫)/表現の自由を市民の手に 全国ネットワーク/NHK問題を考える岡山の会/NHK問題を考える会・さいたま/時を見つめる会/NHKを考えるふくい市民の会/日本の政治を監視する上尾市民の会/マスコミを語る市民の会(宮城)/政府から独立したNHKをめざす広島の会/NHK問題とメディアを考える茨城の会/NHK問題を考える奈良の会/NHKを考える福岡の会/NHKとメデイアを考える滋賀連絡会/NHKとメディアの今を考える会/放送を語る会/ジャーナリズムを考える市民連絡会とやま/言論の自由と知る権利を守る長崎市民の会/「日本郵政と経営委首脳によるNHK攻撃の構図を考える11.5シンポジウム」実行委員会(2020年7月5日、12時30分現在)
(1)『毎日新聞』は6月29日の朝刊で、NHK経営委員会が上田良一会長(当時。以下、役職名はすべて当時)を厳重注意した2018年10月23日の会合の「議事全容」を掲載しました。
これは、正規の議事録ではありませんが、『毎日新聞』NHK問題取材班が「複数の関係者」への独自の取材に基づいてまとめたもので、信憑性が極めて高い内容と考えられます。
「議事全容」を一読して、際立つのは、森下経営委員長代行者が石原進経営委員長とともに、経営委員の個別の番組への干渉を禁じた「放送法」第32条を蹂躙する発言を繰り返し、会長厳重注意に至る議事を強行した実態です。
その最たるものは、森下氏が、「今回の番組の取材は極めて稚拙で、取材をほとんどしていない」(注1)と番組編集と一体の取材をあからさまに攻撃すると同時に、「郵政側が納得していないのは取材内容だ。納得していないから、経営委に言ってくる。本質的なところはそこで・・・」と語ったくだりです。
これは、森下氏が、ガバナンス問題よりも取材を問題視し、個別の番組の編集に踏み込み、干渉する認識と意図があったことを示す何よりの証拠であり、森下氏の一連の発言が「放送法」第32条に違反するものであったことは、もはや弁明の余地がありません。
(2)さらに、森下氏のみならず、現在も経営委員にとどまっている他の数名の委員が、個別の番組の取材・編集に干渉する発言をしていたことも見過ごせません(注2)。「クレームへの対応というより、番組の作り方で若干、誤解を与えるような説明があった」、「番組の作り方に公平さを欠く要因がなかったか」、「こういう問題では〔経営委も〕番組内容に踏み込まざるを得ない」といった経営委員の発言も、個別の番組への干渉を禁じた「放送法」に抵触することは明らかです。
(3)経営委員会が、会長厳重注意に至る議事録を全面開示するよう促した「NHK情報公開・個人情報保護審議委員会」(以下、「審議委員会」と略す)の道理ある答申にいまだに応えない間に、メディアが独自取材をもとに議事録に極めて近いやり取りを「議事全容」と題して報道したことは、情報公開の責務を果たさない経営委員会の背任を改めて浮き彫りにしたものです。
とりわけ、森下氏が、「放送法」第41条で議事録を遅滞なく公表する任を負わされた委員長の職責を省みず、「審議委員会」によって、事実上、ことごとく退けられた「経営委員会議事運営規則」に固執して、2018年10月23日の会合の議事録の公表を拒み続けてきている責任も重大です。
これによって、森下氏が経営委員会に対する視聴者、広くは社会の信頼を失墜させたことは、重大な背任と言わなければならず、もはや、森下氏に残された道は経営委員長の辞任にとどまらず、経営委員を引責辞任する以外、ありません。
そこで、私たちは以下のことを申し入れます。
申し入れ
〔1〕森下俊三氏は、「放送法」第32条を蹂躙する発言を繰り返すとともに、2018年10月23日の経営委員会議事録の公表を拒み続け、経営委員会が会長厳重注意という極めて異例の決議をした経緯の説明責任を果たさなかった責任を取って、直ちに経営委員を辞任するよう、重ねて要求する。
〔2〕経営委員会は「審議委員会」の道理ある答申を尊重して、開示の請求があった2018年10月23日の経営委員会議事録と配布資料を直ちに開示するとともに、それを経営委員会のHPにも掲載して、一般に公開するよう、重ねて要求する。
〔3〕2018年10月23日の経営委員会で、複数の経営委員が、森下氏ほど露骨ではないにせよ、委員が個別の番組の編集に干渉することを禁じた「放送法」第32条に抵触する発言をしたことも重大で、これら委員も猛省が必要である。この先の経営委員会で反省・自戒の意思を表明し、それを議事録に記載するよう、求める。
以上
(注1) 『毎日新聞』も記事の注記で指摘し、経営委員Bも発言しているように、実際には、番組取材陣はネットで情報を寄せた現・元郵政職員や郵政グループ幹部、さらには不正な契約をさせられた高齢者等に取材をしています。「稚拙」というなら、こうした事実を確かめもせず、NHKの取材のあり方を一方的に攻撃した森下氏こそ稚拙です。
(注2)石原経営委員長は2018年4月に放送された番組やネットの動画で「詐欺」「押し売り」といった言葉が使われたことに非常に抵抗感があると発言しています。しかし、番組では、「ノルマに追い詰められ、お客様を詐欺まがいで契約させるパターンはしょっちゅう見ます」(現役郵便局員Eさん)とか、解約すれば損失が出ることを告げずに解約させる「契約のころがし」や保険を貯金と誤認させるような説明など、「郵便局というだけで高齢者の場合、だましやすい」(元郵便局員Bさん)といった証言を伝えています。こうした日本郵政の営業手法を「詐欺」「押し売り」と表現するのは実態を端的に伝える言葉であり、これに抵抗を感じる石原氏の感覚こそ、歪んでいます。
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◆ NHKとの面会の模様 ◆
23団体からはM氏(元NHKプロデューサー/表現の自由を市民の手に全国ネットワーク)と醍醐代表が出向き、松沢明次経営委員会事務局副部長と面談しました。
面会には、弁護士ほか有志から杉浦・澤藤両弁護士が参加され、それぞれ、15分ずつ、提出文書の要点を説明し、多少のやりとりをしました。
(1)Mさんの発言
■森下委員長代行(当時)が、「今回の取材は極めて稚拙」と上田NHK会長に注意したことについて。
かつて放送現場に身を置いた者として、経営委員会でこのような議論が行われていたことに驚愕する。
経営委員が個別の番組について感想・意見を持つことは自由であろうが、それを経営委員会という公式の場で、しかも執行部を代表するNHK会長への「注意」という形で表明したことは、これが事実ならば明らかに越権行為であるし、放送法32条に違反する。
アベ政権になって、経営委員会には政権と仲の良い企業トップが送り込まれ、ジャーナリズムの在り方に見識のある人物は排除されている。これでは当該企業に今回のような問題・事件が起きたとき、NHKの取材は、経営委員会によって阻害されることになりかねない。経営委員会の在り方にも及ぶ問題である。
■議事録の全面公開問題について。
今年3月24日の経営委員会公表資料によれば、議事録公表についての対応で、視聴者に「誤解を与えてしまった」としているが、実は「不信を抱かせてしまった」のではないか。度重なる情報公開・個人情報保護委員会からの答申に応えないのは、「ブラカシ作戦」をしているのではないか。10月23日の経営委員会が、放送法23条違反の会議を行っていたとしたら、経営委員長、委員長代行のみならず経営委員全員の責任が問われるし、そのために公開に踏み切れないのではないか。全面公開して決着をつけるべきである。
(2)杉浦ひとみさんの発言
<NHKとの面談での発言>
まず、多くの人がNHKの報道は真実だと信頼していること,そのことを前提に聞いてほしい。
放送法32条は、経営委員会からの独立を確保するために、委員の介入を禁じているにもかかわらず、2018年のかんぽ保険の不正販売に関する番組について、経営委員会の中でその番組への介入があったとされていることは、重大な問題だ。
そのことを検証しようと、視聴者が情報公開を求めた。
NHKは、公の機関ではないので情報公開法などの適用はないが、受信料を払ってもらっていることに鑑み、情報開示を取り入れ、立派な情報公開マニュアルも作っている。
しかし、議事録の開示はなされず、視聴者から再検討の申立がされ、審議会が検討後、「開示するように」との答申をだしたのに、今なお開示されていない。
法の無視、制度の無視を放置したままではないか。いい加減にしてほしいという思いです。ちゃんと経営委員に伝えてほしい。
(3)澤藤統一郎さんの発言
<NHKとの面談の場での発言>
要求は2点。ひとつは、18年10月23日経営委員会の議事録全面開示であり、もう一つが、森下俊三氏の経営委員辞任だ。
これまでも、要求してきたことだが、両者の要求とも、ことここに至っては、受け入れざるを得ないものとなっている。
議事録公開は、本来的な経営委員会の義務である。しかも、6月29日の毎日新聞が、あすこまで詳細に議事内容を再現して、世に公表している。既に、経営委員会が議事録を秘匿している意味はなくなっているではないか。
また、毎日の記事を前提とする限り、石原さんも、森下さんも、明らかにNHK経営委員として不適格だ。公然と違法行為に及んでもいる。辞任は当然と考えねばならない。
いま、NHKに対する国民からの信頼は地に落ちている。これを回復する努力の第一歩が、森下さんの辞任ということになる。それなくして、信頼回復の術はない。
なお、申し入れ書を提出したあと、当会の醍醐が松沢さんと、次のようなやりとりをしました。
(醍醐) 明日の経営委員会は、前回、前々回と同様、首都圏以外の委員はリモート参加か?
(松沢) どうするか、目下、相談中。
(醍醐) 前任者の時、私たちが提出した文書を、FAXか画像伝送かで、会合の当日より前に全委員に届けてもらったことがあった。今回、当日、会合の場で渡ったのでは議論に先立って目を通してもらうことはできない。全委員に前もって届くようにしてほしい。
(松沢)確かに、そういうやり方をすることがある。ご要望は承知した。
(醍醐)前もって全委員に届けてもらえると考えてよいか?
(松沢)明日、その場で届くということにならないよう、今日のうちに届ける。
その後の11時からの記者会見の場で、杉浦弁護士が、上のようなやりとりがあったことを紹介され、「明日の会合の後の委員長ブリーフィングの時に、記者の皆さんから、確かに視聴者&有志の文書が届いたか、確かめてほしい」と発言されました。
◆ 弁護士ほか有志の記者会見の模様 ◆
11時∼12時 衆議院第一議員会館 第6会議室
有志からの出席者:
杉浦ひとみ(弁護士)、澤藤統一郎(弁護士)、児玉勇二(弁護士)、皆川 学(元NHKプロデューサー)、小田桐 誠(ジャーナリスト)
報道関係者
毎日新聞、朝日新聞、共同通信、しんぶん赤旗
(1)皆川 さん
(記者会見で)
■「会長は番組制作に関与しない」ことについて。
「経営と編集の分離」は、番組制作について。経営者は経営の方針で改編などの指示を行ってはならない、という意味である。これは日本のジャーナリズムが、戦前、戦争協力を行ったことへの反省の上に、戦後行われてきた「不文律」である。これはNHKもほかのメディアでも同じだ。しかし経営者はこの領域を踏みにじり、経営の論理を現場に押し付けようとしてきたのも、戦後ジャーナリズムの歴史だ。1960年代、社の方針を批判したビラを配布したとして、社員が解雇処分を受けた事件があった(山陽新聞事件)。しかし岡山地裁は、社員が自社の経営方針を批判する自由を認め、処分を撤回させている。自社の経営の方針をも批判できるジャーナリズムこそ本物のジャーナリズムであろう。
今回の事態は、経営委員会が郵政の言い分を仲介し、NHK会長に編集への介入を強いた事件である。「NHKでは経営と編集は分離し、会長は番組制作には関与しない」というのは、今でも大原則である。」
(2)児玉勇二さんの記者会見での発言
僕は「2000年のNHK番組改変問題から関心をもっていて、今回もコロナ報道にも関心をもってNHKの日曜日の政治討論番組を見ても、例えば専門委員会の尾身さんが保健所の大変さやPCR検査の少なさを発言してもあまり問題にされようとしない政府よりのコロナ特措法の政府の指定公共機関となっているジャーナリズムの問題性を感じたりして今日の記者会見に参加しました。
(3)小田桐 誠さんの(記者会見での)発言
森下委員長はじめ稚拙な経営委員が多いのではないか。放送法や公共放送とは何かを学ぶ格好の資料の1つが経営委員会の足元にある。NHK放送文化研究所の横山滋氏が2006年11月号の「放送調査と研究」に発表した「新聞記事に現れた放送の公共性」と題するレポートだ。1980年代半ばから20年間の朝日、毎日、読売の三大紙の「公共放送」「放送の公共性」というキーワードが出てくる記事を調査・分析したものです。横山はそれらの記事には、いくつかの合意があるとして、5点挙げています。
1、公益性・公然性。電気、ガス、水道、公共交通機関、郵便のように、誰もが接触や利用の可能性があるもので、NHKもその中に含まれる。「安全・快適な社会生活を営む上で、なくてはならぬもの」といった意味合いだ。
2、ユニバーサリティ、または非商業性。利用料金、NHKでいえば受信料は、自由競争や市場原理と異なる論理で決定されること。誰もが必要とするサービスであるから、安価にそれを手に入れることが出来なければならない。
3、信頼性・安定性・高品質。ジャーナリズム精神や文化的要素が欠如していないか、不断にチェックしていかなければならない。
4、説明責任、いわゆるアカウンタビリティ。「みんなのもの」である以上、支払い者・視聴者には、公共的財産や予算の使い道について、知る権利がある。各組織が正常に機能しているかについても同様で、説明を要求する権利がある。
5、不偏不党性。特定少数者の意見や主義・主張だけをいびつな形で反映したものであってはならない。一方で、少数意見を伝えることも重要である。
この五点は、まさに公共放送NHKが求められている姿だろう。
NHKが国会などで強調する「自主・自立」については、本当にそれを貫きたいのであれば、1962年に発足した臨時放送関係法制調査会で主張したように、独立した行政機関の設置を求めるべきだろう。いつまでもカネと経営委員・会長人事をにぎられた、政権にとって利便性の高い報道・言論機関であっていいのか⁉真の「自主・自立」を求めて行動してほしい。
(4)杉浦ひとみさん<記者会見での発言>
本日9時半にNHKへ、この研究者、法律家、ジャーナリスと、NHK退職者らの声明文を持参し、申し入れをしてきた。2人の窓口の方が対応してくれた。
この声明には、大きく2つのことが書かれている。
放送内容に経営委員が介入することで、国民の知る権利に資する報道が歪められないようにするために放送法32条が定められている。
2018年のかんぽ保険の不正販売問題を取り上げた「クローズアップ現代+」に対して、経営委員会が、郵政の意向を偏重して、この放送に対して介入したことが問題となった。
これは放送32条違反である。
そこで、本当にそのような議事があったのかを検証しようと視聴者が、経営委員会の当該議事録の情報公開をもとめた。
NHKは受診料をもらって放送している立場の公共性から、自ら情報公開の手続を設け、立派な情報公開請求のマニュアルを作っている。しかし、議事録は示されなかった。
そこで、視聴者は再検討を申立て、これを受けた情報公開の審議委員会が「開示すべき」との答申を出した。しかし、未だに明らかしていない。
これは、信頼を得ているNHKの報道の、自主自立の担保を欠いていることになる。NHKの存在理由の根幹にかかわる問題だ。
(5)澤藤統一郎さんの発言
<記者会見での発言>
経営委員会への申し入れの経緯については、杉浦さんの報告に付け加えることはない。
NHKの在り方は、2本の民主主義の在り方に大きな影響を及ぼす。上田良一前会長が口にしたという「NHKの大問題」は、実は日本の民主主義の大問題でもある。そのような立場から、2点の申し入れを行っていることを述べた。
経営委員会は情報公開可否の最終判断権を有し、必ずしも答申に従う義務はないという仕組みにはなっている。しかし、恣意的に情報公開審議会の答申を無視してよいことにはならない。自ずから、合理的な理由が必要で、理由に納得できなければ、情報公開請求者からの訴訟提起が考えられる。
その場合は、不合理な裁判で開示するよう求めることを考えてもよいと思う。行政文書公開を求める行政訴訟ではなく、NHKと視聴者間の受信契約に基づく、民事的な公開請求訴訟になるものと考えられる。
視聴者の権利として、「議事録を開示せよ」という作為を求める請求や、開示請求権存在の確認を求める訴訟や、開示の実行まで一日○○円を支払え、などという請求も考えられる。受信契約締結による視聴者の具体的な権利構成の問題となる。
これは興味深い問題として訴訟に発展すれば面白い。受任希望の弁護士はたくさんいると思う。
有志5人のスピーチのあと、記者から問題の核心に触れる質問が次々と出され、約30分間、意義深い質疑が交わされました。
記者会見が終わった後、有志の皆さんも手ごたえを感じられた様子でした。
なお、会場の受付に、視聴者団体連名の申し入れ文書も置いて、記者に配りました。質疑の中で、この連名文書についても、朝日新聞、共同通信から質問があり、杉浦さんから振られて、受付の方から、当会の醍醐がが多少、説明をしました。
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2020年7月6日 記者会見での質疑録
(共同通信)会場で配られている2つの文書の関係は?
(杉浦・醍醐)それぞれ別。この会見は弁護士ほか有志が開いている。
(毎日新聞)森下氏らは「過去の番組について感想・意見を述べたもので、番組に関する指示や意見ではない」と言っている。これをどう思うか?
(杉 浦)本当にそうなのかを明らかにするために議事録の開示を求めている。議事録を公開した上で説明すべき。「誤解を与えた」と帰結しているようだが、「誤解」ではなく、「不信」だ。
(小田桐)経営委員はいわば公職者だから、場所と自分の立場をわきまえて発言しなければならない。
(皆 川)当時は続編を制作中で、現在進行形の個別の番組について経営委員があのような発言するのは「これから作るな」と言ったに等しい。
(朝日新聞)議事録のことなどで、これまでに、たびたび申し入れをしてきたのか?
(澤 藤)何度も申し入れてきた。
(朝日新聞)それでも明日の委員会で何の反応もないときはどうするのか。
(澤 藤)明日の会合のあとの経営委員長のブリーフィングの時に、記者の皆さんからも質問してほしい。森下氏は責任を取るつもりはないのか、と尋ねてほしい。
(杉 浦)声明文は明日の委員会に先立って、予め目を通せるように、今日中に委員の手元に届くようにすると、NHKの窓口の方は約束してくれたので、「読んでない」は言わせないように。
(しんぶん赤旗)会長ほかNHK執行部は、自主自律は保たれていると言っているが、どう思うか?
(皆 川)自主自律は危険な状況。(郵政三社からの抗議に応えていないのは問題だと経営委員から言われて)上田会長が大企業からであろうと、一個人からであろうと、誰の質問も分け隔てせず同じ対応をすると言った姿勢は正しい。しかし、その後、後退した。
NHKのコロナ報道を見ても、指定公共機関の報道みたいで、民放のような事態の背景を追求する解説がない。NHKのニュースを見ることが少なくなった。
(澤 藤)誰からの自立かを考えなくてはならない。
上田会長は「経営委員会からは独立している」というつもりかもしれないが、それは間違い。会長が厳重注意されたら、現場は大いに萎縮してしまう。「こんな理不尽なことはありえないと言うべきだった。「権力からの自立」というなら、そうはなっていない。積極的におもねるか、消極的に避けるかのどちらかになっている。NHKの自主自律は経営委員会の介入によって、担保されてはいない。経営委員の構成も、偏頗だ。
国民の批判の中で。森下経営委員長辞任となることが〔自立の〕第一歩だ。
(小田桐)黒川検事長問題を報じるシブ五時の岩田明子さんの解説は、普段はアベ政権の方針について詳しく解するのに、黒川問題については何もコメントせず、解説にもなっていなかった。自主・自立というなら、NHKはかつての電波監理委員会のような独立行政機関を設けろ、としっかり主張すべきだ。
(毎日新聞)経営委員会が答申通りに対応しなくなった時、答申の重みはどうなると思うか?
(杉 浦)通常の国や自治体の情報公開の場合には、答申を無視するようなときには裁判で開示するよう求める。NHKについても、自ら情報公開制度をおいて義務を課しているのだから、裁判を考えてもよいと思う。
(澤 藤)行政訴訟というよりも、契約関係にもとづくNHK視聴者として民事の公開請求、あるいは開示請求権の確認を求める訴訟(確認訴訟)になるのではないか。そのような訴訟なら、やろうという弁護士はたくさんいると思う。
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(参考)
「改めて森下俊三氏の経営委員辞任と議事録の一般公開を要求する」~昨日、23の市民団体の連名で提出~: 醍醐聰のブログ
<報道>
市民団体、NHKに経営委の議事録開示求める かんぽ生命の不正販売報道巡り
毎日新聞2020年6月8日 21時11分(最終更新 6月9日 04時23分)
かんぽ生命保険の不正販売を報じた番組を巡り、NHK経営委員会が2018年、当時の上田良一会長を厳重注意した問題で、市民団体「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」(共同代表=醍醐聡・東京大名誉教授)など24団体は8日、厳重注意を決定した際の経営委の議事録などの開示を求める要求書をNHKに提出した。
要求書では、NHKの情報公開制度に基づき開示請求のあった議事録などの関連文書について、NHK情報公開・個人情報保護審議委員会が5月22日に「速やかに開示すべきだ」とする答申を出したことを受け、答申の尊重と関連文書の開示や一般公開を求めた。 【小林祥晃】
赤旗 2020年7月7日
2020.6.17日、当会を含む16の団体と38名の個人が連名で、前田晃伸NHK会長、正籬聡NHK放送総局長、「これでわかった!世界のいま」番組制作担当宛てに、
「抗議デモの原因を歪曲し、黒人への偏見を助長した動画アニメ等の謝罪と検証を」
と題する意見・要望・質問書を、賛同者名簿を添えて、発送しました。
なお、質問については、6月30日(火)までに、文書で回答をもらうよう、要請しています。
(6月25日(木) にNHKの回答が届きました。→こちら参照)
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2020年6月17日
NHK会長 前田晃伸 様
NHK放送総局長 正籬 聡 様
「これでわかった!世界のいま」番組制作担当 御中
抗議デモの原因を歪曲し、黒人への偏見を助長した動画アニメ等の謝罪と検証を
<問題の経過>
NHKの国際ニュース番組「これでわかった! 世界のいま」の公式ツイッターに投稿された動画アニメとツイッターに書き込まれた文章に対して、今、内外から厳しい批判が殺到しています。デモの原因になった警官の黒人殺害に触れず、黒人の怒りを暴動かのように描き、偏見を助長するものだといった批判です。
問題の動画は、同番組が2020年6月7日に放送した「拡大する抗議デモ アメリカでいま何が」の中で放映したものです。
NHKは、6月9日に問題の動画の「掲載にあたって配慮を欠き、不快な思いをされた方にお詫びいたします。NHKでは、人権を尊重し、取材や制作のあらゆる過程で細心の注意を払うよう取り組んでいきます」という謝罪を発表するとともに、問題の動画を削除しました。
しかし、問題の本質に触れない、このようなおざなりのお詫びがいっそう批判を広げています。
<私たちの意見>
(1)問題の動画は、1分20秒という限られた時間とはいえ、目下、アメリカ内外で、黒人・白人の枠を超えて、広がっている抗議デモの真因(白人警察官による無抵抗な黒人男性の殺害)に触れず、貧富の格差に対する黒人の怒りが原因であるかのように事実を歪曲した内容でした。しかも、アニメの主役として登場した黒人は筋肉質で粗暴なふるまいをする人物と受け取られる描き方でした。
こうした動画は、同番組の公式ツィッタ―に書き込まれた「白人警察官には黒人に対する漠然とした恐怖心があって、今回の抗議デモの発端となったような事件がなくならないとも言われているんだ」という説明と平仄を合わせた印象操作と受け取られてもやむを得ません。
問題の動画と書き込みは、黒人の人権に対する「配慮に欠けた」というレベルの問題ではなく、黒人がアメリカ社会の中でたどってきた歴史認識の欠如に加え、黒人への偏見を助長した悪質極まりないものです。NHKの上記お詫びには、こうした認識が完全に欠落しています。
(2)さらに見過ごせないのは、同番組の公式ツィッタ-に書き込まれた次の一文です。
「アメリカ社会は、考え方の違う両者が互いにののしり合って、どんどん分断が深まっていってしまったんだ。」
なんという無知蒙昧な一文でしょうか。番組の公式サイトによれば、「解説するのは取材経験・専門知識が豊富なデスクや記者」と記されていますが、あまりの取材不足、不勉強、不見識にあきれるほかありません。
(3)ジョージ・フロイドさん殺害に抗議するアメリカのデモは、平和的理性的な方法で全米各地に広がっています。人種差別を煽るトランプ大統領の言動には、現・元政府高官や与党共和党の間からも公然と批判が起こっています。世界各地で、黒人・白人の違いを超えて、抗議のデモが広がっています。
こうした事実のどれを見ても、抗議デモが「考え方の違う両者が互いにののしり合う」ことから生まれたものでないことは明らかです。
(4)6月7日の放送番組に関わるアニメ動画、書き込みと同様のことは、香港の一国二制度や米中の対立を描いた動画や書き込みにも見受けられます。いずれも、問題をあまりに単純化し、図式化した、粗暴な内容です。
これほど問題の本質を歪曲したアニメ動画や書き込みを流布し続けるようでは、「これでわかった! 世界のいま」という番組の看板に偽りありと言わざるを得ず、このような番組を存続させることは有害です。
<質問と要望>
(1)前田晃伸会長は6月11日の会見において、「不快な思いをされた方におわびをしたい。番組内容を改めて確認し、人権についての局員の研修を行い、再発防止につとめる」と発言しましたが、問題の根源に及ぶ謝罪とは思えません。
そこで、前田会長、正籬放送総局長、「これでわかった!世界のいま」番組制作担当に伺います。
・本件番組に関わる動画アニメとツィッタ-への書き込みが各方面から批判を招いた真因は、人権への「配慮の不足」ではなく、人種差別問題の本質に関する番組スタッフの「稚拙で歪んだ認識」にあると理解されていますか?
・謝罪すべき対象は、「不快に思われた方々」ではなく、NHKの全ての視聴者であるという認識はないのですか?
・何を謝罪すべきかと言えば、NHKが「放送倫理の確立に向けて」の中で誓った「放送倫理」人権を尊重する、正確を期す、品位の保持に努める に背く動画と記事を流布した事実だという認識をお持ちですか?
・問題の動画アニメと書き込みは、人種差別について「誤解を与えた」のではなく、「偏見を助長した」という認識をお持ちですか?
以上について、皆様の見解をお聞かせ下さい。
(2)NHKが一片の謝罪とお詫びで済ませず、問題の根源にまで踏み込んだ番組の検証を行い、その結果を、人種差別の撤廃に取り組んでいる人々、外部の有識者、ジャーナリストらも出演する検証番組として、多くの人々が視聴しやすい時間帯に放送するよう、求めます。
上記の質問、要望に対するNHKとしての回答を2020年6月30日までに、文書で、別紙宛てにいただくよう、お願いします。
以上
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@@6月17日に私たちが連名で発送しました文書について、6月25日(木)、NHK(根本拓也報道局長・田畑祐一報道局国際部長の連名)から、回答が届きました。
下記文書①(画像)の下線はすべてこちらでつけたものです。
また、6月14日放送の「これで分かった! 世界のいま」の冒頭で田畑国際部長が読み上げた「お詫びの文書」②はこちらを参照ください。
紙の上の反省ではなく、それをこれからの放送にどう活かすのかこそが問題ですが、①と②の文面を照合しますと、回答①は、大部分、田畑国際部長名のおわび文書②を踏襲したものです。
ただし、①で当方が下線を引いた箇所は、②の田畑文書にはなかった文です。
また、②にあった「多くの方に不快な思いをさせてしまった・・・」がなくなっています。
2020.6.8日、当会を含む24団体は下記の「情報公開要求」をNHKに提出しました。
この文書は https://bit.ly/2BEbjKF からダウンロードできます。
また「NHK情報公開・個人情報保護審議委員会の5.22答申」は
https://www.nhk.or.jp/koukai/condition/toshin/798.pdf にあります。
*******************************************
2020年6月8日
NHK会長 前田 晃伸 様
NHK経営委員長 森下 俊三 様
NHK経営委員 各位
NHK情報公開・個人情報保護審議委員会の5.22答申(第797号、第798号)を「尊重」して直ちに本件答申対象文書を開示するよう求める要求書
共同提出団体名(24団体)
NHKとメディアを考える滋賀連絡会/NHKとメディアを考える東海の会/NHK問題大阪連絡会/NHK・メディアを考える京都の会/NHK問題を考える奈良の会/NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ/「日本郵政と経営委首脳によるNHK攻撃の構図を考える11.5シンポジウム」実行委員会/NHKとメディアを語ろう・福島/NHKとメディアを考える会(兵庫)/表現の自由を市民の手に 全国ネットワーク/NHK問題を考える岡山の会/NHK問題を考える会・さいたま/政府から独立したNHKをめざす広島の会/放送を語る会/時を見つめる会/NHKをただす所沢市民の会/NHKとメディアの今を考える会/NHKを考える福岡の会/NHKを考えるふくい市民の会/言論の自由と知る権利を守る長崎市民の会/日本の政治を監視する上尾市民の会/マスコミを語る市民の会(宮城)/NHK問題とメディアを考える茨城の会/ジャーナリズムを考える市民連絡会とやま/
【事実経過】
視聴者が2019年9月26日、NHKに対して2つの文書「2018年4月24日放送の『クローズアップ現代+』や日本郵政グループについて、NHK経営委員会で行われた議論の内容が分かる一切の資料」及び「2018年度以降、NHK経営委員会が上田良一会長に対して行った厳重注意について、経営委員会で行れた議論の内容が分かる一切の資料」の開示請求を行ったのに対し、NHKは「議論のための資料、および議事録(非公表部分)」については、「NHKの事業に関する情報であって、開示することによりNHKの事業活動に支障を及ぼす恐れがある」として開示できないとしました。
これに対し、視聴者が不開示とした部分について「再検討の求め」(NHK情報公開規程第17条)を提出しました。
この求めについて、NHK情報公開・個人情報保護審議委員会(委員長=藤原靜雄・中央大学大学院教授、以下、審議委員会という。)は2020年5月22日、「一部開示ではなく開示が妥当」との答申(第797号及び第798号、以下5.22答申という。)を提出しました。
NHK情報公開規程第21条は「審議委員会の意見の尊重」との見出しのもとに、次のように規定しています。
「NHKは、審議委員会の意見を尊重して、再検討の求めに対する開示・不開示の判断を行う。」
本件に即してこの条文を適用するならば、「NHKは、審議委員会の意見を尊重して、再検討の求めに対する開示の判断を行う。」ことになります。なぜならば、審議委員会が「開示が妥当」との判断を行ったのですから、その意見を「尊重」するならば、「開示の判断を行う。」以外にありません。もし「不開示」との判断を行った場合は、審議委員会の意見を無視し「尊重」したことにならないからです。
この条文に規定されている情報公開制度の趣旨に反して、NHKが5.22答申と「真逆の判断」を行い、それをNHKの最終判断であるとするならば、5.22答申及び審議委員会設置の意味(存在理由)は失われてしまいます。
ちなみに「NHK倫理・行動憲章」(2004年制定)においても、その「行動指針」で「視聴者のみなさまの信頼を大切にします。」として「NHK情報公開基準にのっとり、事業全般にわたる情報をわかりやすく、積極的に公開します。」と視聴者に約束していることを、本件判断に当たって、経営委員会は再確認していただきたいところです。
実は、私たち視聴者団体は、従前、かんぽ生命保険の不正販売を報じた番組「クローズアップ現代+」を巡り、NHK経営委員会が2018年10月23日、番組内容への介入となる発言とともに、当時の上田良一会長を厳重注意した問題で、その意思決定の際の経営委員会の議事録など関連文書の開示を求める行動を行ってきました。しかし「議事録は残していない」とする森下俊三経営委員に対し、私たちは今年4月と5月に署名を添えて辞任を求めました。
しかし、経営委員が「議事録はない」「番組の中身について一切話していない」などと発言してきたのに対して、森下俊三経営委員長は2020年3月5日、衆院総務委員会で「番組や動画について意見を述べた」などと一転した答弁を行い、経営委員会の混乱ぶりを天下に明らかにしたのでした。
【今回の5.22答申の画期的な内容】
今回の5.22答申は、NHKの不開示理由を退け、経営委員の説明責任や経営委員会の情報公開に関する責任について、視聴者の立場を考慮したうえで、次のように明快な主張を展開しています。
「視聴者や広く国民の福祉のためわが国の公共放送の適正な運営と発展にそれぞれが重い責任を負うものである。したがって当然のことながら、視聴者・国民に対し自らの経営委員としての言動については、広く説明責任を負っていると言わなければならない。特に、NHK会長に係るガバナンスの問題というような重要な運営上の問題について、各委員がどのような意見を持ち、どのような議論が行われ、どのような結論に達したのかについては、より強く透明性が求められることは論をまたない。少なくとも、本件を、議事録非公表の場でなければ各経営委員が率直な意見が言えないような類の問題と位置づけるべきものではない。会長を対象とする『役員の職務の執行の監督』という極めて重要な権限行使に係る議事において、すべての委員がその重要性を踏まえて発言しているはずのものである。…過去に会長に対して、経営委員会が『注意』や『申し入れ』を行った場合、その議事録は公表されている。したがって、本件文書が公開されることによって今後の同種の審議、検討または協議が円滑に行われることを阻害するおそれがある、とするNHKの見解は肯定できない。」
「本件対象文書が関係する一連の事件については、 新聞報道、国会での審議を通じ広く視聴者・国民の強い関心を招くに至っており、NHKの公共性、透明性、経営委員会の議事の経過等に対して一部で疑念が呈され、視聴者に対する十分な説明責任を果たすことが求められている状況を勘案すると、むしろ議事録を速やかに開示することが、今後のNHK及び経営委員会の運営にとっても必要なことと言っても過言ではなかろう。NHK情報公開制度は、受信契約の強制を伴う受信料徴収が行われており、かつ、公共放送を担う機関であるというNHKの立場を踏まえて構築された独自のものである。本件文書の開示はその目的に適うものであろう。」
【私たち視聴者団体の要求】
以上のことから、私たち視聴者団体は、5.22答申がNHK情報公開制度の目的に適ったものとして開示すべき本件関連文書について、直ちに請求者への開示を行うとともに、その一般公開を一刻も早く求めるものです。
私たち視聴者団体が強く求めるのは、今回開示を求めた請求者に開示する議事録、配布資料は、これを経営委員会のHP上でも公開し、視聴者・国民誰もが閲覧できるようにすべきである、ということです。
以 上
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市民団体、NHKに経営委の議事録開示求める かんぽ生命の不正販売報道巡り
毎日新聞2020年6月8日 21時11分(最終更新 6月9日 04時23分)
かんぽ生命保険の不正販売を報じた番組を巡り、NHK経営委員会が2018年、当時の上田良一会長を厳重注意した問題で、市民団体「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」(共同代表=醍醐聡・東京大名誉教授)など24団体は8日、厳重注意を決定した際の経営委の議事録などの開示を求める要求書をNHKに提出した。
要求書では、NHKの情報公開制度に基づき開示請求のあった議事録などの関連文書について、NHK情報公開・個人情報保護審議委員会が5月22日に「速やかに開示すべきだ」とする答申を出したことを受け、答申の尊重と関連文書の開示や一般公開を求めた。 【小林祥晃】
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澤藤統一郎の憲法日記 » NHKは、自己に不都合な文書をこそ開示しなければならない。
http://article9.jp/wordpress/?p=15048
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6/8日 NHK放送センターに出向き、30分間、面会し要求書を手交しました。
提出文書の要点を説明した後の主なやりとり。
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醍 醐「最近の面会では、提出する文書に添えて、面会の時の当方の意見、要望もメモにして届けてもらっているので、今日もよろしく。」
醍 醐「今日、出かける前に、提出する文書を添えて、今日の面会のことを報道関係者に通知した。明日、経営委員長あるいは経営委員に取材があったとき、『えっ、そんなの来ていたの。知らない』というようなことがないよう、明日の経営委員会で、この件が議題になる前に全経営委員に届くようにしてほしい。」
経営委事務局「必ず、そのように届ける。」
醍 醐「これまで経営委員のみの会合の議事録は公開されなかった。そのわけは、NHK役員が出席していない会合は正規の経営委員会ではない、という解釈が経営委員会にあるからか?」
視聴者部:「経営委員もNHKの役員なので、執行部役員が出席していない、という意味では?」
醍 醐「そのとおりです。」
事務局「『経営委員のみの会合』も正規の経営委員会だと考えている。議事録を公開してこなかったのは、『経営委員会議事運営規則』の中に、経営委員会が認めた場合は開示しないことができるという定めがあるのを適用したもの」
醍 醐「しかし、その規則で挙げられた不開示の理由の妥当性を、今回、審議委員会答申は各論的に吟味し、経営委員会の言い分をことごとく退けた。それをどう受け止めるのかが問われている。」
「そもそも、上位の放送法で定められた情報公開の趣旨に反するようなことを経営委員会が申し合わせて、それをまかり通らせるのは放送法の精神を潜脱するものではないか?」
事務局「経営委員も答申を承知している。」
醍 醐「各経営委員には答申が届けられ、それを読んだうえで、明日の経営委員会に出席すると考えてよいか?」
事務局「そのように考えてもらってよい。」
醍 醐「NHKのHPにある『情報公開』のサイトの中に<情報公開の実施状況>というページがある。
(注) https://www.nhk.or.jp/koukai/condition/index.html
このページの各年度ごとの実施状況を見ると、NHKが(一部)不開示としたものを審議委員会が(一部)開示すべきと判断した場合の最終結論が示されている。ただし、私が調べた限りでは2013年度分以降。
これを見ると、審議委員会が答申で、NHKの判断を一部または全部、退けたケースについて、『NHKは、すべての事案について、審議員会の答申どおり最終判断を行った』と版で押したような結論が記載されている。すでに知っておられると思うが。」
事務局「調べていなかった。」
醍 醐「さらに言うと、今回、議事録を公開したとしても、答申で言われたから、今回限りということではなく、経営委員のみの会合であっても公開するを定着させるべきだ。今回の答申の趣旨を読み取れば、そのような判断になると思う。」
醍 醐「話は前に戻るが、そもそも、経営委員会が審議委員会の答申通りに議事録等を全面公開するのか、24団体の中では危ぶむ声がある。今日、要求書を提出することにしたのは、そのような危惧、経営委員会に対する不信があり、答申通りに開示を、と念を押すため。」
事務局「議事の中身については、ここで私から、どうとも言えない。」
醍 醐「経営委員会が会長に対して『厳重注意』の決議をしようとしたとき、上田会長(当時)は『そんなことをしたら、NHKは存亡の危機に立たされる』と発言したと報道された。
かりに、経営委員会が、答申にも背いて議事録の公開を拒んだら、経営委員会こそ、厳しい批判にさらされ、存亡の危機に立つと思う。明日は、そのような認識で議論をするよう伝えてほしい。」
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以上のやりとりのあと、森下俊三氏の経営委員辞任を求める用紙署名の追加集約85筆を松沢氏に手渡し、6/9日の経営委員会の場で届けてもらうよう要請しました。
放送法を踏みにじり、NHKの番組制作を妨害した森下俊三氏のNHK経営委員辞任を求めます:
「森下経営委員の辞任を求める署名運動の会」
https://mori-jinin.cocolog-nifty.com/blog/
呼びかけ団体(計24団体。2020年3月21日、15時00分現在)
NHKとメディアを考える滋賀連絡会/NHKとメディアを考える東海の会/NHK問題大阪連絡会/NHK・メディアを考える京都の会/NHK問題を考える奈良の会/NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ/「日本郵政と経営委首脳によるNHK攻撃の構図を考える11.5シンポジウム」実行委員会/NHKとメディアを語ろう・福島/NHKとメディアを考える会(兵庫)/表現の自由を市民の手に 全国ネットワーク/NHK問題を考える岡山の会/NHK問題を考える会・さいたま/政府から独立したNHKをめざす広島の会/放送を語る会/時を見つめる会/NHKをただす所沢市民の会/NHKとメディアの今を考える会/NHKを考える福岡の会/NHKを考えるふくい市民の会/言論の自由と知る権利を守る長崎市民の会/日本の政治を監視する上尾市民の会/マスコミを語る市民の会(宮城)/NHK問題とメディアを考える茨城の会/ジャーナリズムを考える市民連絡会とやま/
次期NHK会長の選任と次期経営委員長が選任される日が近づいています。
時期、構成員にはズレがありますが、どちらの人事も選任の母体はNHK経営委員会です。
そこで、私たち15の視聴者団体(*)は添付のような2つの連名要望書を、11月25日(月)10時に経営委員会事務局と面会して提出してきました。
(連名文書提出版)次期経営委員長選任にあたっての要望.pdf
(連名文書提出版)次期NHK会長選任にあたっての要望.pdf
どちらの要望書も、直近の日本郵政事件に見られた経営委員会首脳の背信的な言動、NHK執行部の自律なき対応を厳しく自戒した上で、NHKの自主自律を貫く資質を備えた人物を選任するよう、求めています。
具体的には、NHK会長については、
1.メディアとしてのNHKの会長に求められる資質を持ち合わせた人物
2.経営と放送の分離の原則を理解し、この原則を貫ける人物
3.視聴者への応答責任を自覚し、実行する意思と能力を持ち合わせた人物
4.異常な受信料徴収の実態を改める意思と実行力を備えた人物
を選任するよう、求めています。
経営委員長については、政治的公平、民主主義の発達に資する資質を備えていることなどの要件に適う人物を選任する(これに不適任な2名の経営委員は選任しない)よう、求めています。
経営委員会事務局と面会記録は経営委員長、会長選任への要望提出(報告)2019.11.25.docx.pdf を御覧ください。
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(*) 15視聴者団体
NHKとメディアを語ろう・福島
NHKとメディアを考える会(兵庫)
NHKとメデイアを考える滋賀連絡会
NHKとメディアの今を考える会
NHKとメディアを考える東海の会
NHK・メディアを考える京都の会
NHK問題大阪連絡会
NHK問題を考える会・さいたま
NHK問題を考える奈良の会
NHKを考える福岡の会
NHK を監視・激励する視聴者コミュニティ
政府から独立したNHKをめざす広島の会
時を見つめる会
放送を語る会
メディアを考える市民の会・ぎふ